第116話 他国からの訪問者(13)

 だって~? この場にいる女性達を凝視すればわかる通りだよ~。


 彼女達の主さまである健太の諫めや下知を皆はちゃんと聞いたのだから。


 それにさぁ~?


 女王アイカの屋敷でも、自分自身に尽くす健太の言葉に耳を傾けないのは、女王アイカのみで。


 他の女性達は、女王アイカ分け隔てなく尽くしてくれる健太の話しにもちゃんと耳を傾けるし。労いの言葉や仕草……。妻らしい振る舞いで、健太の心を癒すのに。


 この雷神ライも女王だから。女王アイカと何も変わらない人物……。


 そう~? 自分達とは違う、美しい象牙色の肌に、幼い少女のような華奢な肢体を持つリアルドールにフィギュア……。


 只のお飾り、アクセサリー……。


 それこそ? 酷い言い方をすれば女王アイカの要求不満を解消するための性玩具(おもちゃ)としか、雷神ライも健太のことを思っていないのかも知れない~?


 まあ、我等がこんなことを皆で思いながら雑談をしていると。


「……貴女もあの女性(ひと)と、変わらない人物なんだね……」


 健太は周りいる女性(もの)達に聞こえるか、聞こえないかぐらいの声色で独り言を呟くのだよ。


『グッ』と、奥歯を噛みしめながら。


 すると雷神ライの口から?


「今何か言ったかい~? あんた~?」


 と、疑問詞が漏れる。


「うぅ~ん、別に何でもないよ~? 何でも~?」


 健太は、自身の心の奥底にしまい込んでいる。ある女性への不信感と不満……。


 それと? 疑惑と猜疑心……。


 この国の王になるかも知れない健太が、自身が思ってはいけないこと……。ある女性に対しての憎悪を、また自身の心の奥底にしまい込み──。暗い顔色から、またいつもの『ヘラヘラ』した笑い顔へと代え──。


 雷神ライへと自身の顔を突きだすのだよ。


 自分のことが気に入らなければ、気が済むまで殴れと言わんばかりにね。


 それも~? ある女性に対しての当てつけにも見える~?


 いくら幼い自分だからと言っても、何となく? 二人の様子を見ていれば。


 今迄恋をしたこともない幼い自分でもわかる。


 なのに~? 彼女は、幼い自分だから絶対にばれないとでも思っているのだろうか~?


 自分を騙すように陰にかくれ密会……。


 他人の目を誤魔化しながら二人で仲良くヒソヒソと会話をしているようだが。


 そんな陰に隠れてまで逢い会話をしたいのならば。


 いっそう健太自身を殴り殺して欲しいと。彼はある女性に対して、最近不服に思っているのだよ。


 悲しいことにね。


 だから健太は、この場で雷神ライに殴り殺されても良いと思っているから。


 彼女に対して、笑いながら自身の顔を差し出すのだよ。


 こんな感じでね。


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