第107話 他国からの訪問者(4)

 う~ん、でも彼女は~? 少し時間(とき)が経てば、自身の紅のついた優艶な唇の端を吊り上げ、『ニヤリ』と苦笑──。


 でッ、その後は、自身の口を開いて。


「ちょっと、あんたたち~。私を籠からおろしてくれ~」と。


 自分自身が搭乗する籠を担ぐ、四人の強靭な男達へと下知をくだすのだよ。


 すると男達は声を合わせながら。


「はい~。閣下~。わかりました~」


 と、高貴な女性……。彼等四人からしてみたら、閣下と呼んでも可笑しくはない。女王アイカや丞相であるシルフィーと変わらぬ身分である女性に対して言葉を返しながら。ゆるりと籠を下ろしていく──。


 でッ、その籠が、自身が飛び降りることが可能な位置までくると。


 高貴で妖艶な女性は、籠から飛び降りて、真っ直ぐと急ぎ足で歩き始めるのだよ。


 だから我らは、『彼女~、一体~。何処いくの~?』と、思いながら。この場にいる皆で見詰め様子を窺う。


 すると彼女は?


 大きな竹篭を持つ健太──。


 彼を取り囲むオークの女性達に、「あんたら~。ちょっとごめんよ~」と、声をかけながら押しのけ──。


 そのまま、この国のアイドルである健太へと詰め寄り──。彼の真横へと立ち並ぶと、「僕~?」と、優しく声をかける。


 と、なれば? 健太はごく自然に彼女の方を向き──。


「何ですか~?」と、言葉を返す。


 と、同時に。高貴で優艶な女性は、そのまま、健太の唇へと。自身の唇を重ね──。彼の口の中にある舌を激しく貪り、絡み始めていくのだよ。


 健太の周りには、沢山の女性達がいるにも関わらず強引な振る舞い。


 そう~? 以前健太が、この世界に召喚をされた時と同じぐらい強引に激しく。女王アイカに、自身の唇を奪われ時と同じくらい健太は、この高貴で妖艶な女性に唇を奪われてしまったのだ。


 だから彼は余りに急な出来事……。


 彼が予想すらできない出来事が急に起こったために、声を漏らすこともできないで呆然として沈黙をしているのだ。


 う~ん、でもね~?


 高貴で妖艶な女性の、キスの相手をしている健太自身は、呆然としながら沈黙を続けることも可能かも知れないが?


 彼の周りにいる女性達は、そうはいかない。


 自分達でさえお預けになっている主さまの接吻を。どこの馬の骨かわからない女性に、あっさりと盗まれたのだから、彼女達は気が気ではない。


 だからすぐさま、ワッと、騒めき始めるのだよ。


 するとすぐさま、この中でも気の荒いオークのアマゾネスの女性が、高貴で妖艶な女性へと荒々しく。


「あんた~。うちの物に何を勝手にしているの~。いい加減にしなさいよ~」


 と、怒号を放つ──。


〈バシン~!〉


 ……ん? 高貴で妖艶な女性が刹那……?


 だって~? 何かしらを平手で叩いた。荒々しい音が、我等の耳に聞こえてきたから。


 多分~?


 自分達のアイドルの唇を許可なく奪った。高貴で妖艶な女性へと、今怒号を放った女性が。高貴で妖艶な女性の頬に張り手を入れた音だと思う?


 多分ね~?


 だって~? この後女性の悲鳴が、「きゃぁあああ~」と、聞こえてくるからね~。


 まあ、そういう訳なので?


 我等も余り女性同士が、男を奪い合う争いを見たくはないが。


 この物語を読んでいる者達に報告をせねばならぬから。仕方なくだが、見て確認をすることにするからね~。


 と、思うと同時に?


「あんたら~。誰に向かって~。怒号を放っているのかわかっているから言っているんだよね~?」


 ……ん? あれ? どういうこと?


『きゃぁあああ~』と、可愛らしく絶叫をあげたのは、高貴で妖艶な女性の方ではなく。


 彼女に怒号を吐きながら、殴りかかろうとした。勇んだ女性の方なのだよ。


『えっ? うそ~? どういうことなの~?』


 と、我は思うのだよ。


『ん? ふむ、ふむ~。なるほど~? そういうことなのね~? あい~。わかったよ~』


 と、いうことで。少々我の口から、皆に説明をすることにする。


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