第104話 他国からの訪問者(1)

〈ザッ、ザッザッザッ〉


 ……ん? 何やら~? 急ぎ足での、荒々しい足音が、我等の耳に聞こえてくるね~?


 う~ん、だから~。我等は~? 荒々しい足音が聞こえる方へと、自身の耳だけを向けるのではなくて~。我等の瞳も足音が鳴る方へと向けてみることにするねぇ~?


 と、思いながら。視点を変えてみると──。


 う~ん、どうやら~? 急ぎ足で、荒々しい音を立て、歩行をしているのは、健太のようだよ。


 それも~? 彼の只今の様子はね~?


 と、我等も説明をしたいのだが。


 それよりも先に? 健太の様子を見て──。集落に住むオークの人達から。こんな声が健太へと告げられるのだよ。


 こんな感じでね~?


「おっ! 今日もせいがでるね~。健太~?」


 と、労いの言葉が、彼へと告げられるのだよ。


 すると同時に、健太の顔が緩む……と、いうよりも?


 少年の顔はひきつり、強張っているように見えるのだが?


 我等の気のせいだろうか?


 まあ、我等がこんなことを思案していると?


「えっ? あっ、はい~」


 強張った顔をしている健太が、作り笑いをしながら。自身に労いの声をかけてくれたオークの御老体へと声を返す。


 すると更に? 健太を労う台詞が笑い声と共に多々注がれる。こんな感じで?


「お~い。頑張れよ~。少年~!」


「御方ファイト~!」


「健ちゃん~。頑張って~」


「キャ~! 健太様だわ~。健太様~」


「ああ~。本当だぁ~?」


「きゃあああ~。健太さま~。愛しているわよ~」と。


 まあ、後半は、健太への労いの台詞ばかりではなく。オークの若い女性達の彼への黄色い台詞も含まれているようだが~。


 まあ、相変わらず、この国のオークの女性のアイドル……。人気者ぶりを発揮しているようだね~?


 我等が健太君はね~。


 と、言いたいところなのだが?


 今の彼への労いの台詞……、声色を聞けば。


『あれ?』と、思った者達も多々いたとは思うのだよ?


 だって~? 健太を労う声色は、女性ばかりではなく。男性の声色も含まれていたから。皆も不思議に思ったに違わない。

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