第101話 王になれなかった少年の法……(21)
特にウォンの場合は、未だに女王アイカと丞相であるシルフィーは自分の物だと主張もされたし。深い間柄であったことや内容まで事詳しく聞かされて。
その場で健太は、自身の奥歯を『ギュッ』と、噛み締めながら。
自身の黒い、透き通った瞳を、何度も濡らしたこともあるのだよ。
女王アイカやシルフィーには、報告はしてはいないのだが。
先程も告げた通りで、いくら健太が気弱で貧弱、貧相な容姿をしていたとしても。彼もれっきとした男……。
それも? サムライの住む日本の男子なのだから。同じ屋根の下に住む女性達が自分よりも年上で、姉や母のような存在だとしても。絶対にウォンへの不満を告げ口するようなことはしない。
健太は賢い子だから。自分の告げ口一つで、国が二つに割れる可能性があるので、絶対に不満を漏らさないのだよ。
特にウォンに寝所を襲われ、無理やり凌辱されたシルフィーは。彼のことを良くは思っていない。
だから本意ではない自分とウォンとの交わりを愛する健太へと告げ口されているとわかると。
彼女は憤怒して、どう動くかわからない?
それこそ? 次期王になる健太への謀反の疑いがウォンにはあると? 宣戦布告をする恐れもある。
そうなると? 国が二つに割れて内戦が起こる。
そうなると? 一番苦しむのは民なのだ。
特に平和な国日本からきた健太は、戦を好まない。
ましてや? ウォンが自分へとしてきた不快感と嫉妬心に襲われ、募る二人の女性の話しの内容は、自分の心の中にしまい込んでしまえば、それで終わりなのだから。健太自身が耐え忍べばいいと思っているところがある。
う~ん、でもね~?
彼も流石に? 女王アイカの従妹さまや妹君達まで、自分のことを情けない男だと思っているのだとわかると。正直辛いようだ……。
だって彼は、自身の心の中で?
(僕と彼女達とは、種族も違うし……。僕はアイカさんがいつも告げているような。強靭な肉体を持つ戦士のような男ではないから……。エリエさんやウルハさん……。プラウムさんやサラさんも、僕を男として認めてくれないし。頼りなく思っているに違いない……)と。
彼は脳内で、悲しそうに独り言を呟いている。
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