第74話 女王アイカと健太の朝の日常……(2)

 だから我等は~。


『……ん?』


『あれ~?』


『何~?』


『何々~?』


『何だ~?』と。


 皆でワッと、騒めきながら。騒がしい音が鳴る方へと視線を変えてみることにする。


「むにゅ~、むにゅ~。早く~、こちらにこい~。建太~。今直ぐにだぁ~」


 我等が騒々しい音の鳴る方へと視線を変えると。


 今度は女王アイカの声が聞こえてきたのだ。


 それも? 自分自身が、『もうこんな、貧弱で弱々しい男(者)など、いらぬ~。この国から追い出してやる~』とまで思った。


 元王さま候補の健太の名を呼んでいるのだよ。


 だから数週間前の出来事……。エリエ集落で起きた大惨事……。


 女王アイカの一族の戦士の一人であるシンとの相撲で。女王アイカに良い所を見せる訳でも無く。瀕死の状態……どころではないか?


 冥界へと誘われ、シルフィーの蘇生魔法『リザレクション』にて、また現世へと帰還をした少年健太の名を呼ぶから、我等は驚愕するのだよ。


 だって~? 今~? 女王アイカが健太の名を呼ぶときにさぁ~?


 普通に彼の名を呼ぶのではなく。女性らしい~。甘え声色でね~。


 それもさぁ~? 優艶な声色で健太を呼ぶものだから、我等は驚愕したのだよ。


 だって~? 彼女の中では、一応健太は過去の男性扱いになっている筈なのだよ~?


 エリエ集落で起きた大惨事の時の彼女の、最弱男である健太への落胆した態度と思い……どころではないね?


 自分の夫になる筈の少年に対して、侮り、蔑む態度を思い出せば~。


 我等は正直、女王アイカが健太のことを自身の甘え声色……だけではなく。


「アッ、アン、ア~ン」


 と、嬌声交じりで。彼を名指すこと自体驚愕をしているのだよ。


 と、いうことは?


 先程の男性の唸り声……。


 と、いうか? 未だにしている。


「うぐっ、ぐぐぐ~。ぐぅ~。あぐ~」


 と、いった。少年の唸り声は?


 女王アイカの、年上の女性らしい優艶な振る舞いに対して、健太が耐え忍びながら嬌声を漏らしているのかも知れない?


 と、我等は思うと?


 自分達の心臓が『ドキドキ』と、音を立て──。高鳴り始めたよ。


 だから我等は、二人の邪魔にならぬように、『ソォ~』と、覗いてみて──。堪能をすることにするよ。

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