第72話 女王アイカへの不信と不満……(13)
まあ、傍から見ている者達には、猛将である彼女の初心な気持ちには、誰一人と気がつかないと思うのだが?
それともう一人の健太の妻候補……。
と、いうよりも? 本人達、他集落の酋長達は、女王アイカとは違い。もう既に健太の妻だと思っているから。ウルハもシルフィーと一緒だよ。
特にウルハは、一族の中でも、シルフィーやプラウム親子にエリエ……。
そして? 末の妹のサラ達のような穏健派とは違い。
女王アイカの国の中に多々ある集落の酋長達の中でも。ウォンと一緒で、荒々しい強硬派の一人なのだよ。
だからウルハは、自分自身の夫のかよわい所を他人の目に曝け出し。笑い者にしただけでも、女王アイカのことを許せないでいるのに。
その後、戦士シンとの相撲を続行させて、自分自身の大事な宝物を、安易に冥界送りへとしたのだから許せる筈もなく。
(くう~。アイカの奴……。うちのひとをこんな目にあわせおって……。絶対に許さない……)
まあ、ウルハは、自身の脳裏でこんな不満を女王アイカへ思い募らせる。
それも? この国の丞相であるシルフィーと比べても変わらぬほどの殺意でね。
だからウォンが女王アイカへとおこなった安易な離反の策は。彼の思いとは裏腹の展開へと動き出す事になるのだよ。
だってこの後~?
自分のことを愛してやまないシルフィーの蘇生魔法『リザレクション』のお陰で。「うっ、ううう~」と、息を吹き返す健太なのだが。
今度は彼が薄っすらと瞼を開けていくと──。
そこには? 緑の肌色を持つ女性ではなく。白い雪のような肌色を持つ女性の美しい姿が映る……。
と、同時に。
「あんた~」と、声を大にして叫び、呼びながら。接吻の最中であるシルフィー押しのけて。自分の唇を重ね──。健太の唇と舌を貪り始めるウルハなのだが……。
今後は彼女が、女王アイカへと不信感を募らせている健太へと、急接近をすることは間違いない。
それも? 彼の傷ついた心を支えようと、妻的振る舞いで、この国の王になれなかった少年を支えようとするものだから?
この国はまだまだ嵐の如く荒れそうだね~?
日本からきた少年……。健太を軸に、各酋長や女王達の間でね~。
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます