第69話 女王アイカへの不信と不満……(10)

 それを聞き女王アイカは、義理の母の神々しい御姿を凝視して──。呆然としている様子ではあるのだが。ウォンからの問いかけに対して、自身の唇を開き──。説明を始めだすのだ。


 こんな感じでね。


「……ウォン。リザレクションと言うのは、母上様が使用できる魔法の一つ……。それも? 彼女の最大奥義である、死んだ者を冥界から呼び戻すことが可能な蘇生魔法なのだよ……」


 と、説明するのだが。女王アイカは、自身の横で立ち並ぶウォンへと説明を終えると同時に。自身の奥歯を『ググッ』と、力強く噛み締めながら苦々しい表情へと移り変わるのだよ。


 そして自身の脳裏でこんなことを思う?


(クソ~。あの女が、我が父を見殺しにしたと言う噂は本当のことだったようだな……。あの女狐目が……。我が父が病で床に臥せ、冥界へと旅立った時にはあの女は、蘇生魔法を使用できないと私達に告げた筈なのに……。自分が異世界から召喚をした男に対しては、何の躊躇いもなく蘇生魔法である『リザレクション』を使用できるのか……。あの女は……)


 まあ、女王アイカはこんな感じで。自身の過去を走馬灯が回るように思い出しながら。


 今自分自身の視線の先で起きている、シルフィーの神々しい行為を見て確認しながら。今と過去に起きた出来事を照らし合わせながら。シルフィーに対して憎悪……。苦々しく思いながら。シルフィーに対して不信感を募らせる。


「お、おい~。アイカ~? シルフィーの蘇生魔法って~? アイカの親父さんの時に……」


 そう~? 女王アイカが思い出した過去……。自身の義理の母でもあるシルフィーが病死をした父へとおこなった裏切り行為……。彼女の蘇生魔法の不可の件は、同じ一族であり従兄でもあるウォンも十分承知している。

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