第60話 女王アイカへの不信と不満……(1)

「うぎゃ、あああ~。痛い~。痛い~。誰か助けてください~。お願いだからぁあああ~。あああ~。父さん~。母さん~。助けてよ~。お願い~。ううう~。ううう~。家に帰りたい~。帰りたいよ~。今直ぐに……」


 まあ、相変わらず、戦士シンとの相撲で、絶叫をあげる健太なのだが。彼が家に帰りたいと泣きながら申しているのは。この世界の屋敷……。女王アイカの屋敷ではなく。自身が産まれ育った世界……。


 そう~、今頃~。別の世界で~。神隠しに遭い。帰らぬ我が子を心配しながら。何度も警察署へと足を運び、息子の探索を嘆願──。


 二人とも休みになれば、日本の地元の商店街や駅などの街頭で、『息子を探している! 探して欲しい!』と、ビラ配りをしながら心配をしている父や母が居る家のことを指しているのだよ。


 そんな泣き言ばかりを吐き、漏らす健太のことを女王アイカは、「ハァ~」と溜息を多々漏らす。


「本当にどうしようもない。情けない男だな~」


 と、落胆しながら観戦しているのだが。


 女王アイカ自身も、健太とシンの相撲の試合を見て──。


 健太が余りに不甲斐ない。貧弱な様子だからと、彼女自身が落胆するぐらいならば。


 そろそろ二人の試合をとめた方いいのでは?


 と、我等は思う?


 だって~? このまま、女王アイカと健太との間に溝ができるだけ終わるならばいいのだが?


 健太とシンの試合を見て──。健太に落胆をするわけではなく。元々こんなシンの一方的な試合になると読んでいた者達……。


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