第52話 アイカの落胆(その二)(28)

 次期彼女の夫になる予定の健太へと、情け容赦のない台詞を、実の弟であるシンへと告げる。


 いくら彼が次期王になるとしても、一族の誇りをかけて戦えと。

 如何にも、彼女らしいというか?


 一族最強の戦士だと国内や他国からも称えられ、恐れられている。一騎当千の猛者らしい台詞を──。


 彼女は弟のシンへと、下知としてくだすのだよ。


 またそうなれば?


 多々あるオークの種族の中でも、武に優れる一族の血を引くシンは、自身の体内の中に秘める力を最大限解放──。


 そのまま勢い良く、大勢の観衆が見守る円の中心へと移動するのだ。


 でッ、シンの相手をする時期王さまの健太はと言うと?


 相変わらず自身の瞳に涙を溜め──。


 そしてポロポロと垂らしながら。

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