第51話 アイカの落胆(その二)(27)

「エリエ姉さん。どうしよう?」


 女王アイカの一族であるシンには、健太の今後の立場……。王になる事を知っているし。王様イコール健太は、自分の実姉の婿になることも知っている。


 だから彼は咄嗟に、自身の実の姉であり。主でもあるエリエへと、どう対処したらよいか? と、訊ねるのだが。


 実の姉で、健太の妻になるエリエの口からは。


「家のひととは、全力で闘技をおこなえ~。分かったな、シン?」


 と、告げるのみなのだ。


「で、でも~。姉さん~?」


 それでも? 姉のことや、次期王である健太のことが気になるシンは。エリエに再度声をかける。


「でもではないぞ。シン! もしも貴様が、家のひと相手に手加減をすれば。貴様の価値が下がるのと、この領地が、この国の者達に侮られてしまうのだよ。だから駄目だ! 家のひと相手に手加減をしないで、全力で拳を交えて欲しい。お願いだから……」と。


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