第34話 オーク種族に古くから伝わる習わし事(3)

オーク種族に昔、太古から伝わる結婚、婚姻の習わしなのだが。


健太が産まれ育った国。


近代日本の男性が女性に告げる結婚のプロポーズの一つである。


「おい、お前。俺と一緒になって。俺の下着を洗ってくれ」と。


古い時代、中世の頃だと。


「俺は、お前のことが好きだ! 好きだから。俺のふんどしを洗ってくれー!」


みたいなノリの、結婚。婚姻のプロポーズなのだ。


特にオーク種族は、女王アイカを見ればわかる通りだ。


男王よりも女王の方が、国の政、政務に対して権限があるように。


健太の産まれ育った日本の男尊女卑思想とは違い。


女尊男卑思想だから。


いくら、オーク種族の男性が好きになる。


そう。気に入った女性ができても、相手の女性の方が、男性の事を気に入り。


「うちは、あんたの事が気に入ったから。悪いんだが。うちの大事な宝物。衣服を洗ってくれるかい?」


と、告げてくるまで、只ひたすら待つ。


オーク種族の男達は、永遠に待ち続けるしかないのだ。


好きなあの娘の気が変わるまでね。


だから、健太が両手で抱える。


愛情篭った篭を凝視すればわかる通り、と、いうか?


彼の、此の国の男王としての人気の高さがわかる筈だ。


だから前回の失態……。


そう。女王アイカの嫉妬心と嫉みから。


夫健太を他界、死なせてしまった女王アイカは、あの日から健太の事──。


自身の夫の事が気になって仕方がないのだ。


自分自身が夫健太に対して、大変に酷い事。惨い事をしたから。嫌われる。捨てられるのではないかと。


顔色を変えている女王アイカだから。


つい最近は、夫健太との逢引きを兼ねた洗濯に付き添う事も多々ある。


これ以上健太の妃が増えないようにする為に。


日夜、妹、従妹達と相談。


妃達が代わる代わる健太の警護についているのだが。


今日は他国からの来客があるので、健太一人が洗濯へと向かう最中でね。


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