第4話 再会……(2)
だってさ、只今、己の顔を引き攣らせながら作り笑いを浮かべて漏らす健太少年のことを、この世界、大陸、此の国へと召喚をした張本人は、何を隠そう。この美と時の女神シルフィーなのだと健太自身も知っているし。彼女の誘われ、自分自身で決意、決めて、此の国の女王アイカの婿になる。収まったのは、彼自身の意思だからね。
では? 何に対して健太は不満があるのだろうか? と、言うことになるのだが。
今は話すべき時ではないので後日、チャンス、機会があれば話し。説明をすることにして話しを進めるのだが。
まあ、とにかく、余り良い顔、様子でない健太……。自身の顔を引き攣らし、作り笑みを浮かべる主、夫に対して、此の国の宰相、丞相であるシルフィーは、「あなた~。いきましょうか~?」と。
「いきますよ。あなた~」と。
自身の夫である健太とは正反対──大変に嬉しそう。余は~! 奥さまは~! 大変に満足! 満足と、言った様子で、健太も前を大変に御機嫌麗しく、艶やか、お尻フリフリ、モンローウォークで歩きはじめるのだ。
だから健太自身も「はぁ」と、己の両肩まで使用しながら溜息を漏らし。そして、己の気を取り直し。
「シルフィー。僕の女神さま~。待ってよ~」と。
未だ君は、変声期が終わっていないの? と、困惑しながら訊ねたくなるような、甲高い声音で、自分自身の妻。それも正真正銘の正室であるシルフィーの名を、昔のように無邪気に呼びながら追いかえるのだ。
「待って~! 待って~!」と。
更に自身の妻を呼びながら追うものだから。
此の国の宰相殿下は大変に嬉しそうに「フフフ」と微笑を浮かべ漏らしながら。
「いいえ~。待てません~。待ちきれませんから~。さきさきいきますね~。あなた~」と。
「フフフ」と甘え声色で、台詞を漏らしながら。彼女と彼との最初の出逢いを思い出しながら。嬉しそうに歩き続ける。女神シルフィーだった。
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