バイト先輩の助言

匠と桜は上半身裸の山田の家に上がった。誰もいないようだし

一人暮らしのようだ。しかし一人暮らしにはかなり広い家である。

そんな疑問を抱いた桜が問う


山田さんの実家ですか?


いや、俺の家、一人暮らし中だよ。


こんなに広いと寂しくないですか?


もともと彼女と同居してたんだ。

今は別れて毎日寂しい思いで過ごしてるけど


山田は泣きそうな顔で匠達をリビングルームに案内して

お茶を出してきた。


どうぞ


どうも


ありがとうございます。


マッチョのリビングルームだから運動器具でも

おいてあると思ったんですが綺麗に片付いてますね。


桜がそう聞くのも納得がいく、外でも激しい運動を

してた男の家に運動器具一つないで綺麗に片付いているからだ。


トレーニングルームは地下室にあるんだよ、見てみる。


見せびらかしたがる山田と興味津々の桜、そんな二人と違って

何の興味すら抱かない匠、山田はそんな二人を連れて地下室に

行く、そこにはジムと呼べるくらいの施設が備わっていた。


マジか、地下にこんな


興味を抱かなかった匠も地下に完璧なジムが備えられていたのをみて

驚きを隠せない。


俺は家にいるときはここでトレーニングしてマッチョ仲間達とトレーニング

するときはジムに行くんだよ。全部見たし上に上がろう


自分のトレーニングルームを見せ満足した山田は匠達を連れてまたお茶を

飲みにリビングルームに行く。

あ、もう3時間過ぎてるか、山田は時計を見て素早く厨房に行き

プロテインのような粉をシェイカーに入れ混ぜて飲む。


それなんですか

気になった桜が山田に問う


これね、神の粉


神の粉?


正式名称はプロテインだけどマッチョ達は神の粉と呼んでいる

簡単にタンパク質をどこでもいつでも摂取できるからね。


何で飲むんですか


人間の筋肉を作るとき必要なのはタンパク質でさ、俺のようなプロは

3時間おきに十分なタンパク質を摂取してるんだ。


山田は自分が持っている筋肉知識を説明するが訳わかんない桜は

そうなんですか、と興味なさそうに返事をするだけだった。

山田はプロテインを飲み終えたあと桜達が座ってるテーブルに

きて腰を掛ける。


君たちももう高校生だし将来とか今から考えておいた方がいいと思うよ

今からやっておくと有利だからね


僕はもう決まってます。ずっと無言だった匠が自慢げに話す。


僕は公務員になりますよ、安定的な生活のために、だから

勉強を頑張ってます。


馬鹿真面目君は将来も馬鹿真面目だね、

桜ちゃんは?


私はまだ何も考えてません、やりたいこともないし

普通に大学に進学してそれから会社に入社そのあと結婚ですかね、


二人共、若いのに夢がないな、俺が聞いたのそんな夢じゃなく

自分が本当にやりたいと思う仕事があるかってこと


どんな意味ですか


馬鹿真面目君は公務員に安定的な生活だけをみて

やりたいと思ったでしょ?


はい、会社に入って首になる可能性もあるし、スポーツ選手とか

夢見たって将来が不安定だし、、、


それも一理ある、でもそれで仕事は楽しくできそう?


楽しくやるよりは安定的な給料と生活が優先でしょ。


山田が夢馬みる話をしてくるからムカつく匠は

自分の主張で言い返す。


俺はそうは思わない、お前たちはまだ若い、無限の可能性がある

本当にやりたいと思う仕事、楽しいと思う仕事を見つけて努力する法が

いいと思うよ。


つまり勉強なんかしないで運動とかやれってことですか?


違う、そんな意味じゃない、勉強が好きで楽しければやった方がいい。

科学者や数学者など、皆勉強が好きで勉強をやってるしそういった職業に

ついてる、しかし一般人は大体学校の勉強なんて嫌いだしお前のように

安定した生活のためや、最初から夢など諦めて勉強してるだろう。

それだったら若い時は若い時は夢に挑戦した方がいいんじゃないかなと俺はそう考えてる。


山田の話を聞いて深く考える桜、それに対してまた反論したい匠だった。


山田さんの言う通り私やりたいこと探してみます。探してもなかったら

普通に行きますけどね


あ、それがいい


僕は自分の考えを曲げるつもりはありません

そんな叶えられるか、どうかも分かんない夢より

やりたくなくっても安定的な仕事をやります。僕は夢より現実を見ますので


そこまで考えるんだったら俺からいうことは何もない。それがお前の決意だし

人生だからね、俺はただ人生の先輩として助言してあげただけ


~~~~~~~~~~~~~


山田が自分の主張を全部話してちょっとだけ沈黙が流れる

その空気に耐えられなかった桜が何か話そうとする。


私もやりたいこと探そうと思うんですが、山田さんは何でいまの仕事を

するようになったんですか。参考にしたいんですが


俺も中学1年までは普通に勉強に励み遊ぶときはゲームや友達とバスケなどしながら普通に時間を過ごしてた。そして中2になって成績優秀でこの顔だからね。

女の子にもてすぎたんだよね、、


サングラスをかけて一度も顔を見せてくれない山田が自分がイケメン

だと言う、そんな彼の顔に興味津々な桜が問う


じゃサングラス外して顔見せてください。


嫌だ、断る、俺の顔を見ていいのは俺の女だけだ。今はいないけど

もし桜ちゃんが俺の彼女になるんだったら見せるけど、付き合ってみる。


私軽い男はダメなんです


ひっひひひ、桜ちゃんに振られちゃった。と楽し気に冗談半分で言い返す山田


それで、どうなったんですか、ちょっと話の次が気になる匠が二人の話に入る


そうだね、成績優秀でイケメンの俺を妬むクラスの不良が俺をいじめのターゲットにしたんだよ。そっから俺は体育倉庫などに連れられ殴られたり、パシリにされたり、対抗して勝てずにもっと殴られる日々、その時俺は強くならなきゃいけないと

思ったんだ。それでジムに通い、学校では授業中に握力のトレーニング、休憩時間はパシリをしながら有酸素運動、昼休みは不良に殴られて痛みに耐えられる根性と

体つき、そしてタンパク質摂取、学校が終わったら毎日地獄の筋トレと栄養を取った。


勉強はしなかったんですか?

山田の学生生活を聞いて勉強は諦めたのか疑問を持った

匠が問う


いじめられて、ストレスで勉強する精神状態じゃなかったんだ。

それで半年が経ち力を付けた俺は不良のボスだった男が一人にいたときを

狙い今まで溜まった分のストレスを全部ぶちまけた。そしたらその不良のボスは

全身血塗れで重症を負って入院、残った奴らも全員地獄送りにしたら停学になるとこだったが俺が今まで携帯であいつらの声を録音しておいた証拠とクラスメイトの

一人が証拠写真を先生に見せてくれて停学は免れた。

しかしその噂が他の不良達にも届いて俺に挑戦する奴らが一人、一人、増えてきた。それで俺は生き残るため毎日地獄の筋トレとタンパク質豊富な食事をして

勝って、勝って勝ちまくった。それで俺に挑む不良もいなくなって平和にくらすことができた。


山田の話を聞いた桜が興奮した。まるで不良マンガのような話ですね

それで、平和になってからはどうすごしたんですか?


山田も興味を持てくれる桜と匠をみて自慢げにどんどん自分の過去を話す。


平和を取り戻した時には俺の体はもうマッチョになっていた。

そしたら通っていたジムとトレーナーさんがコンテストに出てみる気は

ないかと言われ、高校生のボディビル大会に出て優勝した。

その時俺は思ったのだ。自分をいじめから守ってくれた筋肉に

自分をボディビル大会で優勝させてくれた筋肉にありがとう、ありがたい気持ちを

そして俺は大好きな筋肉と将来を共にしようと決意して今の俺がいる。

話はここで終わりだ。


山田の話が終わり突っ込みを我慢してた匠の突っ込みが灼熱しようとしていた。


無茶苦茶だ。あんたどんな人生生きて来たんだよ。

もしかして僕達にもそんな風にしてやりたいこと探せってことじゃないだろうな


もっと突っ込みたがっていた匠だが

このくらいの突っ込みが無口である匠の限界だった。


もちろんそうだけど、やりたいことは何時の間にか運命のように

自分の前に現れる。しかしそれに気づくか、それとも気づいたもやらないのか

はお前たち次第だ。


勉強になります。無邪気に感想をいう桜、それに対して我慢ならない匠


何が勉強になるんだよ。話が大きい過ぎて信じられないんだけど

そんな過去があったら小説や漫画にした方がいいんじゃないですかね、


本ならもう出版してるわよ、俺が主人公でな


はぁぁ、山田の話に「何言ってるんだこの人」と思いどこまでが嘘で

真実なのか、それより話についていけそうにない匠だった。

匠とは逆に無邪気に信じる桜


本当に本あるんですか?山田さんが書いたんですか


本はあるけど、俺が書いたんじゃない、友達の中で小説家がいてさ

俺の話をまとめて書いてくれたんだ。今持ってくるから待てて


「まじかよ、本当に本あんのかよ、いや、適当に不良マンガでも

 持ってきて騙すつもりだろう」


山田はあまり信じてない匠達を驚かせようと思い楽し気に2回の部屋に上がって

いじめられっ子マッチョになりました。というタイトルのマンガと小説を持って匠達がいるリビングルームへ戻って来る。


ほら、これだよ、いじめられっ子マッチョになりました。読んだことある。


あ、これ知ってる。面白かったです。そういえば主人公の名前も山田理だった。

読んだことあるという桜、主人公の名前まで語る。

しかしそれでも信じてない匠


ただ名前が同じなだけど、さっき話した内容はその本のストーリだったんじゃないですか?


桜ちゃんマンガじゃなくこのラノベ小説は呼んだことある?


私小説はあまり読まないので


じゃ二人共、この小説のあらすじを読んでみて、と言いながらいじめられっ子マッチョになりました。の一巻を匠に渡す山田、そしてあらすじを読み始める匠だった。























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