背中 さんじゅうしち

 美術の時間に面白いことを習った。

 昔の絵の具は、色付きの粉を油で溶いていたんだって。

 今もそういう絵の具はあるんだって。

 鉱石とか、貝とか、虫とか、いろんな原料で。

 そうだ、縁の下のしわくちゃなもの、あれを原料にしたら、どんな色になるだろう。



 私の絵が美術展に入選した。

 とくに、色がいいという選評だった。

 やはり、自作の顔料は違う。独特の風合いを出してくれる。

 大好きな大ちゃんのためだもの。とっておきの絵の具で描かないと。

 さあ、次の絵の準備をしよう。



 橋田先生はとても親切だ。

 顔料の素材を取った後の不要な部分を、全部、先生の庭に埋めてくださった。

 とっても邪魔だったから、本当に助かった。

 さあ、安心して次の絵を描けるわ。

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