第28話 ルークの魔法、ソルドの決意 ~決行2~

 二人がいよいよ剣を交えようとした時

「ソルドは手を出さないで」

 ルークが剣を握ってソルドの前に出た。

「御意」

 ソルドが剣を収め、下がる。

「ガイザス、覚悟!」

 ルークは叫び声と共に斬りかかる。しかし相手は百戦錬磨のガイザス。剣筋を見切られているのだろう、ルークの攻撃は全て受けられ躱される。

「どうした、貴様の正義とはそんなものか?」

 余裕を見せるガイザス。

「では、こちらも攻めさせてもらうか」

 ガイザスの剣が一閃するとルークは一発で吹き飛ばされてしまった。攻撃を防いで折れた剣を杖によろよろと立ち上がりながらルークはブツブツと小声で何か呟いている。

「何をブツブツ言っているのだ? 泣き言か?」

 言いながら悠々とルークに近付くガイザス。

「これで終わりだ」

 ガイザスが剣を振り上げる。と、同時に爆炎がガイザスを襲った。ルークはよろよろ立ち上がりながら爆発の魔法の呪文を唱えていたのだった。


 爆風で吹き飛ばされ、瓦礫に埋もれるガイザス。

「やったか?」

 ソルドが身を乗り出した時瓦礫の中から声が聞こえた。

「これで終わりか?」

 ガイザスは悠々と立ち上がると余裕の笑みを浮かべた。

「ルフトの王子が攻撃魔法を使うとはな。少し驚いたよ」

 ガイザスはまたもや剣をルークの頭上に振り上げる。

「あと一太刀浴びせる力が残っていれば……な。惜しかったな、さらばだ」

 剣が振り下ろされる。

「ルーク様!」

 ソルドが剣を抜くが間に合う訳が無い。ルークは覚悟を決めて目を瞑った。


「これでルフトの王子、ルークは死んだ。君は一人の男としてステラ王女と結婚でも何でもするがいい。ただし、またガイザスに攻め入る様な事があれば……その時は君を殺さねばならない。わかってくれるな?」

 ルークの頭に当たる寸前で剣を止めたガイザスはそう言うと剣を収めた。そしてソルドに向き直った。

「ヒルロンはロレンツ王の生命は奪ってしまったが、私はルーク王子の生命は奪わなかった。

これで鉾を収めてもらえないだろうか?」

「ガイザス殿……」

 ガイザスの事を呼び捨てにしていたソルドが『ガイザス殿』と言葉遣いを改めた。

「貴公は私が思っていた暴君とは全く違う方でしたね」

 その意味を理解したのだろう、ガイザスも口調が変わった。

「ソルド殿、わかってくれたか」

「はい。貴公には感服つかまつりました。しかし……」

 ソルドはガイザスに敬意を表してはいるが、何かまだ腹に抱えている様だ。

「しかし?」

「貴公に立ち会っていただきたい」

 話を聞いても尚ガイザスに挑もうとするソルド。ガイザスは悲しそうな顔で呟いた。

「わかってはもらえぬのか?」

 それが聞こえたのだろう、ソルドは答えた。その顔はさっきまでの復讐者ではでは無く、一人の武人としての晴れ晴れした顔に変わっていた。

「いえ、貴殿の思いはよくわかっております。ただ、それ以上に血が滾ってしまいました。ルフトの騎士ソルドでは無く、一人の剣士ソルドとして勝負がしてみたいと」

「ふむ……君はそっち側の男なのだな」

「はい。一手ご教授お願いします」

「なるほど。では私も王では無く、一人の剣士に戻るとしようか……授業料は高くつくぞ」

「持ち合わせはこの生命より他はございませんが」

「よろしい、来なさい」



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