第24話 宿への乱入者 ~決戦前夜1~

「さて、行くか」

「うん」

 決行の日の二日前、旅支度を整えたソルドとルークはガイザスへ歩を進めた。ワイン達も数人ずつに分かれてガイザスを目指している筈である。


 宿に着いたソルドとルーク。荷物を置いて一息付くと、ルークが呟く様に誤った。

「兄さん、ゴメンね」

「うん? どうした?」

「せっかく魔法学園に転入させてもらったのに、途中でこんな風になってしまって」

「ああ、記憶が戻ってしまった以上、卒業まで待ちきれないよな。まあ、これも運命ってヤツじゃないか? しょうがないよ」

「うん……」

 ルークの心は複雑だった。ガイザスへの復讐心、ソルドへの感謝とすまなさ、デイブ達との友情、そしてステラへの想い……

「みんな、怒るだろうな……」

 ルークが呟いた時、部屋の扉がいきなり開けられた。

「しまった! 鍵、掛けてなかった!!」

 後悔先に立たず。剣は荷物の底の方に隠してある。侵入者が敵であれば徒手空拳で戦うしか無い。ルークが攻撃魔法を使えば大騒ぎになってしまう。


「ルーク!」

 飛び込んできたのはステラだった。後ろにはデイブとエディ、そしてミレアとシーナの姿も見える。

「ステラ……みんなも……どうしてここが?」

「余計な事をしちゃったかしら?」

 ウンディーネがデイブの肩に姿を現した。

「お前が何かしでかしそうになったら教えてくれって頼んどいたんだよ」

「デイブ! 僕が何かしでかしそうにって?」

 デイブ達の突然の登場に、事態が飲み込めず困惑するルークが尋ねると、デイブが得意気に説明した。

「お前、ここんとこ全然学園来なかっただろ? メイティ、いやステラ様が様子を見に行っても留守ばっかりだったってよ。となると何かあったとしか考えられないわな」

 デイブが『メイティ』で無く、『ステラ様』と呼んだ。

「今、ステラ様って……じゃあ、ステラの事も?」

 ルークの疑問にミレアが答えた。

「デイブの剣の訓練でお城に行った時にね。ステラ様と入れ替る様にでメイティが現れたじゃない? その時、服は変わってても、香水の匂いは同じだったのよ。まあ、事情は大体想像付くから追求はしなかったけどね」

 それを聞いてステラは恥ずかしそうに言う。

「迂闊だったわ……でも、騙していてごめんなさいね」

「ステラ様、もう何度も謝られたじゃないですか。それにステラ様も苦しんでいらしたでしょう。もしかしたら、私があの時はっきりさせておけばステラ様が苦しむ時間が少なくなっていたかもしれなかったのに……」

「その気持ちだけで十分ですよ。でも、一つ言わせていただけるなら、気安くステラって呼んでくださいな。メイティだった時みたいにね」

「あっ、そうだったわね。ごめんなさい……ステラ」

 ミレアとステラの話が終わりそうに無いのでデイブが割って入った。

「まあ、そんなワケだ。間に合って良かったぜ。でもな、ルーク」

 デイブの顔が少し怒っている。

「なんで何も言わずに行っちまうんだよ。俺達は友達じゃなかったのか?」

「ルーク、王子だって思い出したら、ボク達庶民は用無しなの?」

 エディも悲しそうに言う。

「……そんなつもりじゃ……」

 言葉に詰まるルークにミレアとデイブが優しい言葉をかける。

「そんな訳無いわよね。ただ私たちを巻き込みたく無かったのよね。でも……」

「お前の敵は俺達の敵だ。付き合うぜ」

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