おいでませこっくりさん

はじめに


ホラーです(たぶん)

そんなに怖くはないですが苦手な方はご注意ください

また、描写の中にこっくりさんをする場面がありますが、絶対に真似しないでください

絶対に、です

フリじゃないです

作者はこれをすごくビビりながら書きました(だからどうした)


よろしいでしょうか

それでは、どうぞ



『おいでませこっくりさん』



こっくりさんのやり方。

白い紙に鳥居とはい、いいえ、男、女、1〜0までの数字、五十音を書く。

紙の上に十円玉を置く。

十円玉に人差し指を置いて、「こっくりさん、こっくりさん。どうぞおいでください。もしおいでになりましたら『はい』へお進みください」と話しかけ、『はい』へ進んだら始まる。

終わる時は「こっくりさん、こっくりさん。どうぞお戻りください」とお願いして『はい』へ進み、最後に鳥居へ戻ったらお礼を言っておしまい。こっくりさんが帰ってくれなくても帰るまでお願いし続けること。

注意点は絶対に一人でやらないことと、終わるまで十円玉から人差し指を話さないこと。

終わった後は文字盤を48枚に破り捨てて、十円玉は三日以内に使ってしまうこと。


「と、いうことでこっくりさんをします!」

放課後の教室。テスト前で部活はなく、少し残って勉強しようとなったので葉子、佳奈、詩織の3人は机をくっつけて教科書を広げていた。

最初は3人とも真面目に勉強をしていたのだが、しばらく経った時から佳奈が唸りだし、スマホを少し触ってから突然冒頭のセリフである。

「佳奈、勉強に飽きたからってよくわからないこと言い出さないでよ」

わけがわからないという顔で葉子が言うと、詩織も賛同するように頷いた。

「そうだよ、佳奈。あと少しでテスト始まるんだし、今頑張っとかないと。補習は受けたくないでしょう?」

佳奈は部活でしているテニスが好きなので、いつもギリギリとはいえ赤点を取らないようにしているのを葉子と詩織は知っていた。補習を受けることになると、部活に出られる時間が短くなるのだ。

「ちょっとだけ!三十分くらいで終わるから!」

佳奈は手を合わせて2人にお願いする。

葉子と詩織は顔を合わせ、佳奈を見て、2人同時にため息をついた。

「このままだと終わりそうにないしね」

「三十分だけなら付き合ってもいいかな」

「やったー!」

「三十分だけだからね!」

葉子がしっかりと念を押して、3人はこっくりさんをすることになった。

教室にあった裏紙に鳥居と五十音、はいいいえ、男女、数字を書いて十円玉に人差し指を乗せた。

佳奈が息を大きく吸って小さな声で言った。

「いくよ」

「うん」

「わかった」

そして、こっくりさんは始まった。

「こっくりさん、こっくりさん。どうぞおいでください。もしおいでになりましたら『はい』へお進みください」

静かに佳奈の声が響く。不自然なほどに静かな間が空いたかと思うと、3人の人差し指の下の十円が動いた。

「おおー!動いた!」

実を言うと早く終わらせたいがために葉子が動かしていたのだが、佳奈は気がついていないようだ。

「質問したいことあるんでしょう?聞いてみたら?」

詩織も早く終わらせたいようだ。急かすように言う。

「そうだった!えっと、こっくりさん、わたしに彼氏が出来るのはいつですか!」

「聞きたいことってそれ?」

「ええー」

佳奈の質問に葉子も詩織も呆れた。

適当に済ませてしまおうと、葉子が1、ね、ん、と十円を進めた。

「一年後かー」

「そうみたいだね」

「遠いなー」

少し不満げに言う。

「他に聞きたいことってない?」

詩織が聞く。

「ないかな。よし、終わろう!」

佳奈が元気よく言った。

「こっくりさん、こっくりさん。どうぞお戻りください」

終わった・・・と、安心したそのときだった。

いいえ、のところに十円が進んだのだ。

「え?」

三人の声がそろった。

どうしてだろう。あわてた佳奈がもう一度「こっくりさん、どうぞお戻りください」と言う。葉子も十円をはいの方へ進めようと指に力を入れるが、おかしなことにピクリとも動かない。

「なんで・・・?」

詩織の呟きが聞こえた。

ピーガーガーガーガー

放送のスピーカーから急に音が鳴った。

「ひっ」

「きゃあ」

佳奈と詩織が肩をすくめた。葉子は目を見開いてスピーカーを見上げた。

テスト前の部活動は禁止されている。つまり、放送部が放送室にいるはずがないのだ。

今日は職員会議なので、先生たちは皆職員室にいる。

では、誰が?

まさかこっくりさんとでもいうのだろうか。

音はすぐに止み、恐怖で荒くなった三人分の息遣いが教室に響いた。

「・・・お願いです。お戻りください。わたしたちはこれ以上何も出来ません」

涙声で佳奈が言った。

すると、さっきまで動かなかった十円がはいへゆっくりと動いた。

安堵のため息をつく。

そして、鳥居のところに十円を持っていきおそるおそる指を離した。

「終わった・・・?」

「うん・・・」

「二度としない・・・」

パン!

「「「きゃあ!」」」

窓ガラスがきれいな丸の形に割れた。

三人はあわてて学校を出た。こっくりさんで使った紙と十円はルール通りに48枚に破ってから燃やし、十円は近所の神社の賽銭箱に投げ入れた。

しばらくは気が気でなかったそうだ。

テストはさぞ散々だったことだろう。


さて、ここまで話したが最後にひとつ。

この話は本当にあったことだ。



終わりに


マジでノンフィクションなので、変な遊びは気軽にしてはダメですよ!

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