第9話 俺はM? あなたはS? エルフはドSです。
林道を突き進むと、大きな湖が現れた。湖が現れたと言ってもはたしてそれがどのくらいの大きさなのかはわからない。
なぜなら、既に辺りは真っ暗に染まりつつあり、闇が広がっていることしか確認できないから。地図を見てやっとわかったくらいだ。
そんなわけで本日は此処で休むことに決め、水場から少し離れた位置に拾っておいた木々を組み立てる。これも竜二が気がついていなかったら真っ暗の中、四苦八苦して探すことになっていただろう。ありがとう竜二。ありがとう眼鏡――
慣れた手つきで俺は木々を組む。焚き火などは昔から遊びでやっていたため、これくらいのことは余裕である。
「――うしっ。組み終わったけど……どうやって火つける?」
「……そこまで考えていなかったな。誰かマッチなんか持っていないよな?」
「――ったく。イテンリ竜二も使えねぇなぁ。俺がやってやるよ」
純がそう言って俺たちを押しのけてしゃしゃり出て来た。懐から丸い塊のような物を取り出し、ゴソゴソと何かを始めた。そしてカチッと言う摩擦音と同時に淡い光が漏れる
「ふぅー……どうだ? こんなこともあろうかと、ギルドのおっさんに火打ち石の使い方を教えて貰ってたんだぜぇ。感謝しろよお前ら?」
「うひょっ! 流石純ッ!!」
「ははっ。純は見た目と違って繊細なんだよな」
岳の言うとおり、見た目とは裏腹にとても几帳面で綺麗好き。それなのにあの腹立たしさは何処からくるのだろうか? しかしそこがまた良いのかもな。全く、憎めないやつだよ――こんな恥かしいこと言ったなんて言うなよ?
純の作った火種が木々に移り、勢いよく燃え上がった。暫くの間、何をするでもなく焚き火を見詰める6人の男たち
揺れ動く火を見ていると、心が落ち着く。だけど眠たくなるのが難点だが――
「――旅って意外に疲れるものなんだなぁ」
唐突に竜二がそう言葉を漏らした。他のみんなが頷くだけなので、俺が返答する。
「結構サバイバルには自身があったつもりだったんだけねぇ。テレビのサバイバル生活とかめちゃくちゃやりたかったし……」
「テレビかぁ……なんか懐かしいね。まぁ、でも今日だけで収穫はだいぶあったから良しと考えよう」
「確かに。まさか竜二が魔法を使う日が来るなんて……ははっ」
「僕もだよ。――ふふ」
岩のように動かなかった岳が思い出したように口を開く。
「――そうだ。どうせ暇だし、飯でも食いながらギルドのこと話そうぜ。隆生のは聞いたけど他の皆のは詳しく聞いてないし。どう?」
「わっちも聞きたいかな。――――どれだけ良い女がいたかとかもっ! ぐふふふ」
「僕も聞きたいなぁ――――――智久きもいから死んで」
「うひょっ――――――!!」
純は自身の布袋から取り出した干し肉を口に咥える。
「――ったくしょうがねぇなぁ。そんなに俺の武勇伝が聞きてぇのかよ?」
「いやべつに――――――――」
「そこまで言うなら俺様の素晴らしい話を聞かせてやろう。聞きたいんだろ隆生?」
当然の如く無視する純に俺は苦笑いを浮べながら頷く。
「それじゃ――――――――――――――――――」
その後、焚き火を囲いながらそれぞれのギルドでの出来事を話した。
まぁ、大まかに話すと――――純のギルド職『剣士』では、1日目は俺と同じく装備を貰って説明などを受けたらしい。
それ以降は、専属の師と共に武器の扱い方、手入れの仕方などの基礎的なことを学んだという。偉人の戦法なんかも教えてもらったという。
特に気になった事と言えば、その師とやらの禁書――俗に言うエロ本を見つけてしまい、当然の如く我等がチャラ男は黙っている奴ではない。ハイエナのように嗅ぎ付けるからなこやつは――そのことについてさんざん師を弄り倒したという。
その師は『剣士』の師の中でも一番の強面だったらしいのだが、純の一件で今はすっかりある意味で人気者らしい(笑)。流石と言うべきか、なんと言うべきか――――――
続いては同じ『剣士』の職についた浩太だが、剣士の中でも純が所属した軽量と重量で部門が分かれているんだとか。浩太は後者に属したため、直接純と会うことはなかったらしい。
そこでも1日目も変わらず、と言うか殆ど軽量の部門と訓練内容は変わらない。変わることと言えば、ゴリゴリのおっさんが軽量より多いということぐらい。まぁ、普通に考えればそうだろう。ドンマイっこうたっ!
次に話し始めたのは巨根の岳。岳は自身の体格を生かして『武闘家』のギルドへと所属した。
1日目は変わらないので省略。2日目以降は他の職とは少し違ったようだ。
武器などの扱いを受けるのだが、剣などを使うわけでもないため基礎は直ぐに終了したようだ。その代わりに、『武闘家』になるための弟一条件として、何故だがわからないが酒に強くなければならないという。
本当に何が関係しているのかさっぱりだけどそうらしい。
というわけで訓練3割、飲み会7割の訳のわからぬ1週間だったのだ。俺なら二日酔いで倒れるところだが、そこは岳。何においてもビッグ(意味深げ)な男――岳。
他の酒豪の師達を蹴散らして呑みまくったというのだ。そうだったにも関わらずビールを呑みたいといった彼には感服ですな。
そして次に話し始めたのは我等が参謀。竜二はご存知の通り『魔法使い』のギルドへと所属した。
1日目は省略で、2日目からは他の所とはだいぶ異なったようだ。
魔法使いは剣士などとは違い、基本的に後方からの援護が役目。そのため過度な訓練などはあらず、魔法の言葉『魔語』の勉強や魔力の流れなどについての勉強をしたらしい。さらにはその者の魔力の質などを調べんだと。
詳しくそのことについて話していたが、難解すぎて全くわからなかった。まさに俺には向いていないとことだろう。少しは魔法が使えるかもと期待したのは――――しょうがないだろう?
魔力は殆どの者が持っているらしい。現代でそのことが発見されない理由は竜二いわく固定概念と魔力を感じられる人がいないからだとか。
さらに魔法にはRPGのように、風、火、無、雷、水、光、闇、地の8つの性質が存在し、魔力量などによって使える魔法が決められるという。ちなみに竜二の魔力の量は平均的で、性質は風、火、無の三種類。
1ヶ月間の内殆どが勉強だったらしく、実際に身体を動かしたのは最終日だけだそうだ。そこで簡単な魔法を見せてもらい実際に使用したみたいだ。
実際は1ヶ月の演習で魔法を使えるようになる事は珍しいのだが、竜二には才能があったというわけだ。
何においても才能豊かな竜二だ。そのくらいのことは当然であろう。
そして最後に話したのが――問題児のイケメンだ。こいつは他の所とは全く違う。というか、異なる理由はこいつのイカレタ性格のせいだろう。智久は『聖職者』のギルドへと所属した。
1日目は他の所と同じように終わろうとしていたのだが、このカスはあることに気がついてしまった。
いや、見つけてしまったというべきか。どうやら聖職者のギルドには比較的女性が多いらしい。さらにはその人々が嘘のように美人だという。本当に腹の立つことだがな――――
そこまではまだ良い――――いや駄目なのだが、そこに1人の天使が現れた。俺が言ったんじゃないぞ? 永遠の虚根が言ったんだからな?
天使――又の名を幼女が智久の前に師として現れたらしい。何故師が子どもなのか。それは、女性や子どもとは元々信仰心が高く、高位の聖職者は殆どが子どもだと言うわけ。それに対して男の聖職者は少ないようだ。
勿論知っている通り、うちのイケメンはド変態だ。特に美幼女となれば何をするかわからない。
先ほどの会話を思い出してくれればいかに危険かをわかってもらえるはずだ。
当然の如く智久はその幼女に手を出すことを決意した。こいつの気持ち悪いところは、本当に手を出したい時はみっちりと計画を立ててやることである。ホームズも解けぬ様な完全犯罪をな。
その時の奴は正直言って男が惚れてしまうほどかっこいい男に成りすます。俺たちはその状態の智久のことを『やるぜ さすぜ 下野状態』通称『YSS状態』と呼んでいる。決して某男女議員の事をいっているわけではないぜ?
勿論天使(幼女)も例外ではない。信仰心の壁をなんなく乗り越えて幼女を虜にする変態。
心の中では様々な思惑が練られていることも知らずに落ちてしまう幼女――――――
智久は3日間かけて幼女を手駒に取った。そして奥底にぐつぐつと煮込ませていた欲望を曝け出そうと――――したのだが、絶妙なタイミングで他の師たちに見つかり、なんなく捕縛された。
その後は怖い聖職者の女性達(女性を怒らせてはいけないよ……)が、耳を押さえたくなるような恐ろしいことをしたらしい。まぁ、我等が変態は興奮しながら話していたがな――きもちわるすぎだろ。
そんなこんなで色々とありながらも、最後にはイケメンフェイスで仲良くなったと聞いた時は、呆れたが同時に羨ましくも思ったよ……ちくしょう――――
まぁ、だいたい他のみんなのギルドでの話はこんなものだろう。
お腹も満たされ、戦闘のせいもあってか、智久の話を聞き終わる頃には船をこぐ者が続出していた。唯一興奮さめやらぬ様子の智久を除いてはだけど。
「――――――ふぁ~。眠たすぎる……」
「そろそろ寝るかぁ――」
「うひょ!? なんでそんなに眠たそうな顔をしているんだいっ!? わっちがこんなにも興奮しているというのにっ!」
何時もなら誰かしら突っ込むところだが、眠気に耐えられずに言葉を口にすることはなかった。そのまま、布団もシーツもない床にゴロリと寝転がる。
真っ黒に塗りたくられた空には、現代と変わらぬ輝きを放つ星々が散りばめられている。
木々のざわめきや水面を揺らす音が鼓膜を流れる。未だに智久が何か喋っているが、それすらも心地良いと感じる。
次第に眠気は最高潮まで達し、俺は夢の世界へと落下していった。
――――――――――――ドンッ。ザワザワ。
葉の掠れる音。顔全体に感じる緩い振動。腫れぼったくなった目を擦りながら俺は起床する。背中に感じる生ぬるいぬくもりを背負いながら1つ大きな欠伸を落とす。
昨夜組んだ焚き火は既に消えており、焦げた臭いが鼻腔を刺激した。他の仲間たちはまだ眠っているらしく、静寂が横たわっている。先ほどの音は何だったのかと思いつつも、思考の停止した頭の活動を待つ。
しかし、寝起きの悪い俺の脳は突然の出来事によって、早くも覚醒することになったのだった。
キキキキキィィィィィイィ キキキキキィィィィィイィ キキキキキィィィィィイィ キキキキキィィィィィイィ
何処かで聞いたことのある声、ふと後ろを振り返ると――――――
「―――――マジかよ」
そこには遠隔の湖を背景に此方をじっと見詰める数十個の目玉。そのどれもがギラギラと殺意の篭った浅沙色の熱い視線を此方に向けている。
一気に覚醒する思考。俺は咄嗟に隣に置いた武器を取る。その行動自体、ギルド訓練の賜物と言えよう。
決して布切れを纏った魔物から目を離さずに素早い対応で仲間たちを起していく。
「みんなおきろっ!!」
「――――――ん~あと5分……」
「そんなこと言っている場合じゃねぇんだよっ!!」
ぐだぐだしていた仲間たちを叩き起していく。最初は愚痴を漏らしていた彼らだが、現在置かれている状況を知ると一気に飛び起き、それぞれ徐に武器を手に取った。
「あの量はやべぇだろっ……竜二っ! どうする?」
「――――――――数は10体か……どうにかして逃げるしかないでしょ」
「どうやってだよ?」
「そんなの僕だってわからないよっ!」
「――――っち」
俺は必死に頭を働かせる。すると、訓練で師から聞いた言葉が思い出された。『敵と遭遇したら、まずは決して目を離さずにできるだけ敵を観察しろ。そしてどんな情報でも手に入れるのだ』。
――――わかったよおっさん。まずは観察だな。敵の数は10体。その内の6体があの時遭遇した時と同じようなこん棒を持っている。残りの4体はナイフのような武器を所持しているな。あれが厄介か――――
それと――――――1体こん棒を持ったグループの中に怪我をした奴がいる。あれはまさか…………
「――――――くそっ! あの時の野郎が仲間を引き連れてきたのかよっ!!」
「えええええええええええぇ?」
「うるせー智久。それは本当か?」
岳にそう言われ、顎でそいつを指す。それを確認した仲間たちは其々怒りを露にした。
「だからあの時殺っておけば良かったって言ったじゃねぇか! ――くそっ!!」
「今更そう言ってもおせぇだろっ! そんなことより――――――――来るッ!! みんな来るぞっ!!」
俺たちが話している間に、こん棒を持った数体の敵が動き出していた。突っ込んでくる4体の魔物。かろうじて自身の役割を覚えていた竜二が慌てて指示を飛ばす。
「浩太と純と隆生は応戦してっ! 岳は智久の防衛っ! 僕も魔法を放つっ!!」
本来ならば俺たち三人の誰かが魔法使いの竜二の護衛をしなければいけないのだが、そんなことが頭を過ぎることもなかった。俺、純、浩太の3人は迫る魔物と対面した。
ビリビリと恐怖が肌を刺激するのを感じながらも、案外頭の中は冷静であった。まずは純が前へと一歩踏み出し、目前の1体の魔物へと剣を水平に振るった。
「うりゃああっ!」
キキキキキィィィィィイィ
そいつは後ろに軽く避け、攻撃は空を斬る。続けざまに2体の魔物が純へと迫るが、絶妙なタイミングで放たれた浩太の大剣が直撃する。もろに喰らった2体は悲痛は呻き声を上げながら右側へと吹っ飛んだ。
「うっしゃっ!! いいぞ浩太っ!!」
「うふふふ~僕をなめちゃいかないよ?」
俺は2人のように喜べる状態ではなかった。なぜなら残りの1体の魔物が迫っていたのだ。目前にまで迫るボロ切れの物体。そいつはやけに細い腕でこん棒を振り上げた。
反射的に身体をいなすことが出来た俺はこん棒を避ける。そのまま右手に持ったダガーを闇雲に魔物へ向けて突き刺した。
手に感じる気色の悪い触感。その感覚が罪の意識を掻きたてる。しかし、人間とは不思議なもので、そんな感情もたった数回程で初めよりも和らぐものなのだ。
当たり所が悪かったのか、魔物は後退することも叶わず地面に倒れた。
「うひょっ! 隆生と浩太すごいなっ!!」
「――――黙りやがれ祖チン下野っ! 俺だってやってやらぁ!!」
智久と純の声が妙に心を落ち着かせるのは何故だろう。常に対抗意識を燃やしてくる純は少しめんどくさいが――――
「うりゃあああっ!!」
純は野獣のように雄たけびを上げると、先ほどかわされた魔物へと詰め寄った。そして続けざまにブロードソードを振るった。しかし――――――当たらない。
「――――くそがっ! あたりやがれっ! ……はぁ、はぁ」
キキキキキィィィィィイィ
そいつがあざ笑うかのような鳴き声を上げると、後ろで控えていた他の魔物たちが一斉に動き出した。刹那、竜二の声が響く。
「初級風魔法――――かまいたちっ!!」
あの時と同じ魔法が放たれる。刃を得た風は物凄い速さで魔物の群れへと直撃した。しかし、直撃したのは2体だけ。他の奴らは仲間の身体を踏み越えて向かってくる。
さらには先ほど浩太が吹っ飛ばした2体も起き上がった。一斉に竜二の指示を仰ぐが、何かできるわけでもない。皆、それぞれ武器を構えるが心の中は恐怖に包まれているだろう。
くそっ! なんで俺たちがっ! こんな目に合わなければいけねぇんだよっ! くそがっ――!
湧き上がってくる恐怖と不満の連鎖。先ほどのように上手く相手を倒せる可能性もないわけではない。しかし、何においてもド素人の俺たちにはこの数は絶望的だ。
逃げ無ければ――死ぬ。そんなことはわかりきっているが、全員が逃げ切れるとも限らない。壮絶な恐怖を感じているが、仲間が死ぬくらいなら俺が死ぬ。
マンガのようにかっこいい事を言いやがってと思うかもしれない。だけど、この気持ちだけは強がりではない。
そう思うと、急にスッと全身の力が抜けて落ち着きを取り戻す。そして、微かに残っていた勇気を振り絞り、迫り来る魔物達へと一歩足を踏み込もうとすた矢先――――目の前では想像のつかぬ出来事が起きたのだった。
次々と地面に崩れ落ちる魔物たち。そして、ひらりと舞い落ちる葉のように駆ける1人の美しい女性。
バータルで見かけた女性とはまた違った美を持つ彼女は、数刻の間に俺たちが苦戦を強いられた魔物を全滅させてしまった。
そのどれもが急所一突きされており、ピクリとも起き上がることはない。突然の出来事に声を出すことも叶わない俺たち。
「――――――――ふぅ。終わったか」
少しハスキーであるが美しい声が彼女から聞こえた。たった今、何体もの魔物を倒したというのになんの感情も現さない女性。絹のように細やかな一初色の長髪を後ろに垂らし、真珠のように真っ白な肌色をしている。
服装は至って簡素ではあるが、お洒落に疎い俺でさえも似合っていると賞賛できる程である。
彼女は手に持っていた針のような武器を腰に差し、俺たちを見詰めた。
「――――――――――――」
「――――――――――――」
暫しの沈黙が場を支配する。俺たちが喋らないのを読み取ったのか、彼女が言葉を放った。
「何故、黙っている? 礼のひとつくらいあってもいいのではないのか?」
確かに――――その通りである。このままでは失礼だ。他の仲間も同じ事を感じたのか、竜二が代表して声を上げた。
「すみません。突然のことだったので驚いてしまって……助けてくださってありがとうございます」
俺たちも続けて礼を述べると、彼女は美しい薄紫の長髪をかき上げた。それによって露なる特徴的な耳を見て俺たちは再度、呆然としてしまった。
それもそのはず。彼女の両耳は人間の俺たちよりもはるかに長いのだから。
「――――ぇ、エルフ……?」
俺が思わず小説などで多用される生物の名称を漏らすと、すらり背の高く、細身の美女は鋭い視線を向けた。
「なんだ? お前らはエルフを見たことがないのか?」
俺が頷くとやけに男口調の彼女は怠惰な表情を露にする。どうやら言葉遣いだけもなく、性格も男っぽいようだ。
外見は最高。しかし、性格は男っ。しかし外見は美女だ。ということは――――そろそろあの2人が動き出すだろうか?
その2人とは――――――――
「うひょおおおおおっ! エルフッ!? あのエルフッ!? その口調といい、冷徹な視線といいっ! まさに女王っ! ぐへっへはははは。きちゃったよ……純ッ!! 今なら純の夢が叶うよっ!!」
「おおおおおおおっ!! うおおおおっ! きたぞぉ! きたぞぉ智久ぁぁぁぁ!!!」
腰を振りながら雄叫びをあげる2人はまさに珍獣。気持ちわるすぎる。エルフの女性も汚物を見るような視線を彼らに送っている。
エルフさん……許してください――――――はぁ、こっちまで恥かしくなるわ。アホめっ!
冷たい視線をもろともしない2人は直ぐに行動をおこした。何時もなら止めるが、今回ばかりは何もしたくない。
奴らと一緒だと思われたくない――――――てか、あいつらは何をしてもらうつもりなんだ?
まぁ、ろくなことではないだろうな。
目にも留まらぬ速さでエルフの目の前に移動した2人。エルフはそんな彼らに若干引きながらも逃げることはない。
流石である。2人はさらに息を荒くしてとんでもないことを言いやがった。
『女王様っ! 僕たちをその美しい足で踏んでくださいっ!(アヘ顔)』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます