第79話ミルク(搾りたて)

「あっ、メグミちゃん今日は何だか乱暴よ、どうしたの? プールでもイライラしてたし」


「ん……ぷはっ、ちょっとね、色々まま成らないからイライラしちゃって、ごめんねリズもしかして痛かった?」


「んっ、大丈夫よ、痛くは無いわ、少し吸うのが激しいから、ビックリしただけ」


「そう、良かったわ」


「ぷはっ、メグミちゃんはあれでしょ、シルフィやあの貴族の姉妹、いや違うわ、あのメイドさんやマーメイドやスキュラも、こっちに来てから可愛い子、綺麗な娘が多いですものね、なのにちっとも仲良くなれない、それが不満なんでしょ?」


「あら? そうなの? なーに私達だけじゃあ不満なの?」


「違うのよアリアさん、メグミは気が多すぎなのよ、この間も他の娘の係をしたがってたのよ? もう私達3人も面倒見てるのに! 本当に浮気者! メグミは少しは現状で満足したら? ねえそれより私も早く! 絞るのはまとめてでいいでしょ? 今度はあたしの番よ」


「はぷっ、ちょまってジェシカ、ねえサアヤ、なんでわかるの?」


「あの顔見てれば誰でも分かりますよ、けどシルフィは難しそうですわ、私にさえ何か警戒……いえあれは何かに怯えているのね、そもそも『5街地域』の外の子がここに居ることが不自然ですもの、冒険者組合に匿われるようにここに居るのも不思議です、何かあったのでしょうね、あの貴族の姉妹もそう、何故他国の貴族をこの地域の冒険者組合で匿っているのか……」


「んんなほぉ? んくんく、ぷはぅ、相変わらず濃いわねジェシカ、そうなの? 匿う? やっぱり匿ってるんだあの子たち、そうよね、お客として此処に居る雰囲気じゃないものね、でもなんでこんなところで? 要人警護って言ってたけど、ならヘルイチ地上街、若しくはいっそ地下街の方が良いんじゃないの?」


「アリアさんソロソロ搾りましょうか? はいお願いしますね、 メグミちゃん、分かってないと思いますけどヘルイチ地上街は人の出入りが激しすぎます、あそこはこの地域の中心ですからね、不審者が紛れ込んでも分かりませんわ、他国の人達も結構訪れてますからね、そして地下街は問題外だと思います、シルフィもそうですが貴族には地下街は辛いでしょうね」


「地下街って綺麗って聞いてるけど? どの階層の地下街に行くのかにも寄るでしょうけど、100階の地下街は空中都市で湖の上に浮いていてすっごい綺麗なところらしいじゃない? なら別に問題ない気がするけど?」


「ほらメグミちゃん、喋ってないで吸ってください、なんで何時も私が最後なのよ! ねえジェシカ、偶には変わって頂戴、良いでしょ? 週一でもいいから!」


「ええーーー、うっ、泣かないでよサンディ、分かったわよ、週一ね! それ以上は嫌だからね」


「やった♪ メグミちゃんほらジェシカが良いって、あっ、もう吸いながら頷かないで」


「全くメグミちゃんは分かってませんわね、あ、アリアさんどうですか? こんな感じで良いですか? そう、良かった。

 で話を戻しますけど、地下街は一般人にはキツイでしょうね、魔素って慣れてる私達には何でもないですけど、普通の人にはね毒ってほどではないですけど、濃い魔素を吸い込むと『魔素酔い』って症状になって頭痛や吐き気が酷いんですよ、アレです高山病みたいなものです。

 いきなり地下100階なんてあの子たち完全にへばってしますでしょうね、魔物なんて倒したこともないような子達ですもの、シルフィも倒したとしても地上の魔物位でしょうしね、魔素の濃さが段違いです。私達が低階層から徐々に下の階層に潜っていくのも魔素になれるためってのもあるんですよ」


「ねえ、メグミちゃん、あのね、さっきね……」


「んん? っんはぁ、なにリズどうしたの?」


「あのね、さっきね、あのターニャって子がそこで覗いてて、私達のしてること見てビックリして大慌てでどこかに行っちゃったんだけど……」


「え? あっ……」


バンッッッ!!


「何をしているの! メグミ! サアヤ! どういうことなの! 説明しなさい!」


扉を蹴破る勢いで開いた『ママ』はアリアの搾乳中のサアヤと、サンディの乳首に顔を寄せ、さっきまで吸い付いていたメグミの姿を見て、激おこだった、『戦慄の挨拶』ミホと違って実際に角があるわけではないが、メグミにはその額に角が生えているかのような幻覚が見えた。


「メグミちゃん、サアヤちゃん何してるの? ターニャちゃんがメグミちゃんがリズちゃんを襲ってるみたいなこと言うから……何事なの? これは」


「ありゃ? メグミちゃん達、皆に説明してなかったの?」


「え? いやちゃんと牛乳屋さんで搾乳のお手伝いしてるって言ったんだけど?」


「で? なんでそれがサンディちゃんのおっぱいに吸い付くことになるの?」


「え? だってこうしないと搾乳出来ないから」


『ママ』の横から顔を出したノリコは不思議そうに尋ねる、


「何? ねえ、メグミちゃんは牛乳を……搾乳してるのよね?」


「そうよ? ほらサアヤがアリアさんの搾乳してるでしょ? ちょっと吸って出やすくして、この後私も搾乳するのよ? どうしたの?」


平然と答えるメグミに、『ママ』の追求は緩まない、


「メグミ、心に疚しいところが無いのなら、なんでコソコソ隠れてやってるの?」


「え? だって流石にねえ? サンディ達だって乙女よ? リズも居るんだし、人前で堂々とは出来ないでしょ? ねえ?」


「そうね、私達がお願いして、人の居ないところでやって貰ってるわね、流石に大勢の前でやって見世物になるのはね」


「いや、サンディ、これは違うわね、メグミちゃんの説明不足ね、だから『ママ』さんは心配して怒ってるんだ、『ママ』さん、ノリコちゃん、貴方達は知らなかったんでしょ?」


「アリアさん、貴方がついていてこうってことは何か事情があるのね? 良いわ説明してください」


「ん、『ママ』さんが冷静な人で良かったわね、では説明するわ、私達『牝牛人族』はリズ位の第二次性徴以降は母乳が出るのよ、いや違うわね、母乳が貯まって、出さないとダメなのよ、でねその量が多いのよ。

 こんな体ですからね、他に仕事も出来ない、胸が邪魔で、胸が重くて、まともな仕事は出来ないのよ、だからその特徴を生かした商売を自分達でしているの、それが牛乳屋さん。

 メグミちゃん達にはそのお手伝い、搾乳を手伝ってもらっているのよ、決して疚しい行為ではないわ、私達はこの仕事に誇りを持ってるわよ? 美味しいといって私達の母乳を飲んでくれるお客さんが居る限り、誇りをもってこの仕事を続けるわ、だからメグミちゃん達を叱らないで」


「メグミちゃん、貴方の何時も買ってきてた『牛乳』ってアリアさん達の『母乳』だったの?」


「そうよ、美味しかったでしょ? 私はお風呂上りにこれが無いともう生きていけない位大好きよ」


「ノリコお姉ちゃんは私の母乳だとお嫌ですか?」


リズが不安そうな顔でノリコを見つめる。『ママ』はこめかみを押さえて、頭痛を押さえるように言葉を吐き出す、


「これは、必要な行為で、決して猥褻な行為じゃな無いのね? メグミ、貴方は決して邪な気持ちは抱いていないのね?」


「何言ってるの『ママ』? 見たらわかるでしょ? 必要だし、崇高な行為よ! けどね、それとこれとは別、こんな美乳から母乳が吸えるのよ? スケベな気持ちを一切抱くなってそんなの無理に決まってるでしょ? 私は機械じゃないのよ? 心を持った人間だわ、なら! 美しいものを美しいと感じるし、淫靡でイヤらしいものはそういった目で見るわ、その行為も一緒ね、楽しめるなら目一杯楽しむのがわたしよ!!」


唖然とする一同を前に、メグミは堂々とその胸を張る、アリアのフォローを台無しにして、そう言い切る。『ママ』は恐ろしいものを見る様にメグミを見つめ、その視線がサアヤに向く、サアヤは慌てて、


「私は違いますからね! メグミちゃんと一緒にしないでください、私は邪な気持ちは抱いていません」


「そりゃ、サアヤは豊乳目的だものね、でも少しうれしいでしょ? アリアさんの母乳が吸えて」


メグミはアリアの見ている前で堂々とサアヤに聞く、


(なっ! メグミちゃんあなた私も道連れにする気……いや違うわね、メグミちゃんは自分で地雷原に突っ込むけど、人を巻き込んだりはしない、単なる好奇心? 分からないわ……)


「そうね、確かにメグミちゃんの言う通り、嫌じゃないわ、アリアさんの綺麗な柔らかい胸から、美味しい母乳を吸うのは嫌じゃないわ、確かに嬉しいわ、けど邪な気持ちでもないわ」


「サアヤ、貴方まで何を……」


「『ママ』さん、確かにメグミちゃんの言い方だとちょっと困るんだけど、けど仕事だから嫌々されるよりは、喜んでしてくれる方が私達だって嬉しい、そうでしょ?」


「私はメグミちゃんに吸って貰って嬉しい、だって優しいもの」


「アタシは、メグミがちょっと百合なのは知ってるから別にイヤらしくても構わないよ」


「私もそうね、まあこの仕事を手伝ってくれている娘達は大体が百合よ? 私達だって男性は苦手だし、お互い楽しんで仕事してるのだから別に構わないと思うのだけど、私間違ってるかな?」


「まあ、メグミちゃんみたいに極端な子は少ないけど多かれ少なかれね、けど私達は嫌じゃない、それじゃあダメなのかな? ねえ『ママ』さん」


こめかみを押さえた『ママ』は頭を振りながら、


「そういう事でしたら、今回の件は不問とします。メグミの件は、此方の躾けの問題ね、甘やかしすぎたのかしら?」


「そんな事言わないで、『ママ』もノリネエも一度吸ってみれば良いのよ、そうしたら分かるから、ね、サンディ良いかな?」


「私は構わないけど……良いの?」


「ほら、ノリネエ許可が下りたわ、ほらほら、グイッといきねえ、ほら大丈夫だから」


「え? ええっ! あの、ちょっと、ううっ、良いの? ハプッ」


ノリコはメグミに手を引かれてサンディの前に連れてこられ、そのまま顔を胸に押し付けられるようにしてサンディの乳首を口に含む、すると諦めたのかちょっと興味があったのか、軽く吸ってみる、


「ん? んんん? んーーーー!」


「どう? 凄いでしょ! サンディのを直に飲むの堪らないでしょ?」


「どうゆうことなのメグミ、ノリコもなんで夢中で吸ってるの?」


「『ママ』! 何事も経験よ! ほらもう一つ乳首は空いてるわよ、ほら『ママ』も!」


「何を言ってるの? 私は別に……」


「『ママ』牛乳今まで料理にも使ってたでしょ? 美味しいケーキにだって使ってる、良い? 美味しい素材をその口で味わって、覚えておくのは料理の基本でしょ? 家事の精霊の名が泣くわよ?」


「ううぅ、一口だけね」


(ちょろい! ノリネエと一緒でちょろいわ! 掛かったわ、『ママ』まで掛かった、バカね、サンディの母乳は極上よ! この世の物とは思えない極上の味よ、これで『ママ』も堕ちたわ)


メグミ内心など知る由もない『ママ』一言断りをサンディに入れてから、ゆっくりとサンディの胸に顔を近づけて、その乳首を口に含む、そして一口、その顔が驚愕に染まる、目を大きく開き、更に一口、


「どう? 凄いでしょ? サンディの母乳はどうかしら? 何時もの何人かの母乳がブレンドされた牛乳とは全く違うでしょ?」


「プフッ、なんなのこれは! これは凄いわ! え? 本当に母乳? 何? なんなのこの飲み物は!」


「ふふん、でしょ? サンディは極上、ジェシカは特濃、リズはその清々しさと飲みやすさに特徴があるのよ、日によって微妙に味が違うのも面白いのよ、多分体調や食べたものによって成分が微妙に変わるのね、嵌るのもわかるでしょ?」


『ママ』は一度離した口を再びつけて再度吸い込む、少し顔が上気して赤い、すっかり夢中だ。その時扉の方で物音がする、見るとターニャ愕然とその光景を見ている。そして一言、


「なんで?」


「あら、ターニャじゃない、どうしたの? そうだ貴方もせっかっくだから吸っていきなさい、ってサンディは一杯ね、うーーんリズはターニャには荷が重いし、ジェシカお願いできる?」


「ん?」


「私は良いよ、ほらターニャちゃんおいで、ジェシカ姉ちゃんがおっぱいを上げよう」


「ん?!」


混乱するターニャをメグミがジェシカの前に引っ張っていく、そして胸の前に立たせると、今度はジェシカがターニャの頭を抱える様にその口に乳首を寄せていく。


「ほら、ターニャ、遠慮せずに吸ってごらん、『ママ』やノリネエだってやってるでしょ? ほら美味しいわよ?」


「そうだよターニャちゃん、お姉ちゃんのは美味しいぞ? ほら吸って」


「んぷっ」


その口に乳首が押し付けられる、チロッと漏れた母乳が口に入ると、それを舌で味わったターニャの耳と尻尾がピンッと立つ、そして夢中でその母乳を吸い始める。


「オゥッ、ターニャの舌はあれだね少しザラザラしてるんだね、ふふっ、夢中で吸ってる、あれだねえ、なんか子猫見たい」


「虎っ!!」


絶対に譲れない物がそこにはあるらしい、口をいったん離して一言、言い放つと再び口を付ける。それを微笑ましく眺めながらメグミはリズの胸に手をやり搾乳を始める。


「リズも吸って欲しかった? どうする搾乳止めて吸っても良いけど?」


「んっ、私はいいよ、うっ、ねえ、メグミちゃん、また扉の隙間から誰か覗いてるよ?」


見ると扉が少し開いたままになっていたらしい、その隙間から、カグヤと『カナ』の目と視線が合う、その扉の向こうから声が聞こえる、


「タツオ君は絶対にこっちに来たらダメよ! そこ、そこら辺でこっちにだれも来ないように見張ってて! 絶対にこっちに来たらダメですからね!!」


アカリが慌ててタツオに指示をしている、


「なあ? 何やってんだ? ターニャが騒いで『ママ』さん連れて行ったきり戻ってこねえし、その向こうに居るのか? 何があったんだ?」


「いいからそこで大人しく見張ってなさい、良いわね! くっ、ダメね心配だわ、私も一緒に見張るわ、そっちはカグヤちゃんお願いね!」


「えーと、こっちは『カナ』にお願いしますわ、先輩! カグヤも混ぜてください! 仲間外れはズルいですよぅ」


「あら、カグヤも来たのね、じゃあジェシカ、カグヤもお願いね、『カナ』扉を閉めてその前で見張りをお願いね、今度貴方にも飲ませてあげるから、今日は大人しく言うことを聞きなさい」


《イエス、マイマスター、今度を楽しみにしています》


バタンと扉が締まる、その向こう側では、


「何だ? みんな扉の向こうに居るのか? なあ何か飲んでるのか? なんだ?」


「いいから貴方はここに居なさい、あれは男の子が飲んだらダメなものです!! 女の子だけの飲み物なんです! いつか私が貴方にも飲ませてあげるからそれまで我慢よ!」


「何だ? なんだそりゃ? 女だけの秘密か? まあいっか、で何時まで見張ればいいんだ?」


「みんなが出てくるまでよ! そんなに時間はかからないから大人しく待ってましょうね」


「へいへい、飯の時間までに終わらせてくれよ? 腹が減って来たぜまったく」


そのタツオのボヤキにメグミはリズの搾乳をしながら、扉の向こうに叫ぶ、


「新鮮な美味しい牛乳飲ませてあげるから! 大人しく待っててタツオ!」

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