秋の蒼穹

月は駆ける、月駆ける。君を切り裂き月駆ける。


ようは巡る、日は巡る。君を置き去り日は巡る。


もりの深くの荒野の森に青い秋空、包み放つ。


枯葉は飛んで、青をさえぎる。青い空に穴を穿つ。


枯れて尚、活き活きと空を飛んではしゃぎ回る。


ザク、ザク、ザク。


乾いた田んぼの稲根が鳴る。



月は駆ける、月駆ける。君を喰らいて月駆ける。


陽は巡る、日は巡る。君を焼き干し日は巡る。


杜は枝葉の骸骨に、枯葉は茶色い雪原に。


枯れ葉の穴は青に映える。青い空と仲がいい。


彼の名をほそぼそと心に浮かんで沈む。


サク、サク、サク。


色褪せた赤い枯れ葉が靴に鳴る。



地は狂い、私の心をかき乱す。金木犀に責められながら。


地が廻り、君も木々も枯れ朽ちる。蒼穹に包まれながら。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る