第5話 一軒家でのひとり暮らし

わたしは一人暮らしを始めるにあたり、一軒家の賃貸に住みはじめました。

片田舎とはいえ、学生用アパートを借りようと思っても月4、5万円からということで、バイトもできず、仕送りもなしで生きていくには辛かったのですが、ひょんなことから一軒家をその半額で提供してもらうことになりました。



大学の本キャンパスはこの街から離れた遠くの山の中にあります。一番近くのコンビニも山をくだった3km先のところ。自然に満ち溢れた環境で、大学付近では鹿や熊が出るのが日常茶飯事です。そんなこともあり、わたしは大学周辺を天上界と呼んでいました。


実は、隣町は国道2号線沿いに発展しているようで、若者向けの飲食店やカラオケ屋、ゲームセンターなどがあるので、どうしても天上界に住みたくない人たちは、自家用車を所持の上、そちらに住むのが一般的なようです。


しかしながら、車どころか免許もないわたしは天上界では生活なんてできません。食べ物が手に入らずに餓死します。また隣町に住んでしまうと、大学までたどり着けません。

そんなこんなで、わたしは山の麓の街に住むことになったのでした。


当時は毎日、片道バス30分700円かけて、大学に通っていました。一日、1000円以上かけて通うんだから、元を取らなきゃという貧乏根性で、勉強していたのが懐かしいです。

たぶんそのころから、交通費にお金や時間をかけることには、糸目をつけない人間になってしまったのでしょうね。今でも交通費全額自腹片道2時間でも、全然平気になってしまいました。

移動貧乏ですね。



わたしの住むこの街は過疎化が進んでいます。


バブル崩壊後、昭和の産業も廃れ、高校を卒業した若者たちは、大学進学や就職のために転居してしまいます。

ですから、この街には空き家が散見されます。

空き家にも固定資産税が発生しますから、放置するよりは貸した方が得なのでしょうね。


知り合いの知り合いのおじいちゃんが、二つ返事でお家を貸してくれることになりました。

二階建て、6K、風呂、トイレ、ベランダ、裏山の畑付き。

しかも、おじいちゃんのお家ですから、介護用に少しリフォームされていまして、お風呂がワンタッチ。

お値段なんと、2万円ジャスト。

住みます! おじいちゃん!



それから10年以上、一軒家に住んでいます。

一度引っ越したのですが、そこも一軒家を選びました。

前より、ランクは下がるのですが、3K、風呂、トイレ付き、2万8000円。それでも安ーい!



一軒家の魅力は、なんでしょうね?

やっぱり、家が広いとのんびりできることですかねー。

「部屋の広さと心の広さは関係ないはずよ」と、大森靖子も歌っていますが、ゆとりや余裕は物理的空間と関係ある気がすると個人的には思っています。

多少歌とか歌っても、気にされないしね。

ガンガン歌どりとか、お家でしてたりしますしね。

一軒家でも迷惑かな?



よく、ひとりで一軒家怖くないの?

って言われるんですが、こわくないですよ。

住めば都って、よくいうじゃん?

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