第7話 昔 ”産後うつ” になりまして ②
プチ家出をしたのを きっかけに、当時住んでいた近所の児童施設に 3年間ほぼ毎日 昼前~閉館の夕方まで 入り浸りました。
入り浸った施設は 未就学児対象で、少なくとも 常時5~6組ほどの親子が訪れており スタッフも5~6人いました。
施設は広くゆったり作られており、イベント等があると、20~30組の親子が入れるほど。
施設に通うにあたり、私が決めたことが 3つありました。
1.家に居るのが辛くなったら、すぐに施設へ行く
2.施設では無理をしない。居心地が悪かったら ガマンしないで他へ行く(※幸いにも 近所に小規模ながら児童施設が、他に2か所ありました)
3.無理して友達を作らない。
初めて (その後 入り浸ることになる) 施設に行ったのは、第1子が3ケ月の頃。
「 まだ歩けない子供の部屋 」
と言われて 案内された和室は 誰も居らず、ふすまの取り払われた向こう側では、歩いたり 走ったりする子供が見えました。
しかし、その日は 小雨が降っていたせいか、いつまで経っても 私のいる和室には誰も来ませんでした。
3ケ月では満足に玩具で遊ぶこともできない我が子を、ただ ぼんやり見ながら
「せっかく来たのに、面白くもない」
「子供と2人、顔 突き合わせて。 これじゃあ、家に居るのと変わらないじゃない」
「まったく!もう少し、気分転換できると期待していたのに!」
と、心の中で舌打ちをしていました(今 思うと ”友達を作らない” とか言いながら、何を期待していたんだ?? と、ツッコミを入れたいですが )
その日は、30分で 施設をあとにしました。
しかし、帰る道すがら 家では数分でも抱っこしないと 泣き続ける我が子が、
” 施設で30分、畳の上で寝かせたまま 泣かなかった!! ”
そのことに気付き、じゃあ、もう1度行ってみようか という気持ちになりました。
それでも、次に足が向くまで 10日ほどかかりました。
施設では、誰とも喋らなくとも、色々な発見がありました。
子供だけを見ていればいい施設での時間、暇で 周りを見渡したら、外の緑の鮮やかさに 気付いたり。
月齢の上の、他人の子供を見ながら 我が子も あんなことができるようになるのかと、ちょっと空想してみたり。
聞こえてきた母親たちのお喋りに
「ふ~ん、あそこのお店、コロッケ美味しいんだぁ。行ってみようかな」
「えぇ?そんなことで悩んでいるの?どうでも よさそうだけどなぁ」
と、心の中で呟いたら、ほんのちょっと 心が軽くなっていたり。
施設スタッフに
「子供を見ていてあげるから、トイレにいってらっしゃい」
と言われ、ほんのわずかの1人の時間に嬉しくなったり。
「 いつ来ても、アナタだけは いるんだから~! ココの ” 主 ” みたいね!」 と、軽口をたたいてくる友人が、いつのまにか隣にいたり。
そして、気付けば 3年。
” 産後うつ ”で事件を起こしそうだ!助けて!と、駆け込み寺のようにして通い始めた施設は、いつしか安らげる楽しい場所になりました。
けれども、帰宅して安らげる・楽しい気持ちが持続したか? といえば、否でした。
我が子にイライラして 声を荒げ、手もあげました。
泣く我が子と一緒になって、大声で泣き叫びました。
そして 翌日、この精神状態はマズイぞ~!
犯罪者になってしまうぞ~!
と、フラフラの身体と心をひきずって 施設へ行く。
そんなことの繰り返しでした。
そんな繰り返しの中、沢山の母親・子供・施設のスタッフの姿を見て、言葉を聞いて、聞いてもらっているうちに
イライラ ドロドロ ばっかりの私の心は、少しずつ 少しずつ 浄化されていきました。
人との付き合い・触れ合いは、疲れることもあるけれど、反面 こんなにも力になるのだな。そう感じました。
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