第5話 女はつらいよ

ある人に教えてもらった言葉があります。時折、思い出す言葉です。


やってみせ、

言って聞かせて、

させてみせ、

誉めてやらねば、人は動かじ


~山本五十六~


さて、父親の家事・育児参加が叫ばれる昨今、我が家でも、叫ばれております。


私達夫婦が、親になって8年。


その間、私は、主人に対し 「 家事・育児をやれ!!」 と、大小の戦を、一方的に、仕掛け続けております。


最近の大戦は、以前から予定にあった、舅と姑が自宅に来るという日。


数日前から、主人に


「明日は、自宅の見える所だけでもキレイにしたい!」


「家事・育児の手伝いを頼むよ!」


と、念を押したにもかかわらず、居間の片付けを少しした後、自室から、主人が出てこない。


私が寝坊してしまったこともあり、予定よりスタートが遅れてしまった!


気付けば、舅・姑の到着予定時間まで、残り1時間強。


朝食の皿は、テーブルに置かれたまま。


兄弟喧嘩で負けたと、4才児が泣いて、私から離れない。


主人が片づけた場所など、とうの昔に元通りの荒れ放題。


頼みの8才児は、まさかの二度寝。


洗い終わった洗濯物は、カゴに入ったまま、ベランダに放置。


外出したいと叫ぶ、5才児。


あぁ、私、ノーメイク。服も着替えていない。


いったい、主人は、自室で何をしているのかと、のぞくと・・・


あろうことか、呑気に寝転がって、本を読み、読み 「本の整理をしているんだ」 と。


やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、・・・ほ・・ほ・・・誉め・・・誉めて・・・


誉められるかぁぁ!!!


どこを、どこを、いったい、どこを誉めればいい?


数か月ため込んだ雑誌の山を、今、今、このときに、見計らったかのように、断捨離しようとしてくれて、感激!とか??


この状況を理解しない、奇想天外・意味不明なところが、永遠の少年のようで、惚れ直すとか??


そして、私の脳が、瞬時にくだした決断は


(私の言うことを)さっさとやれと、

脅してやらねば、

奴は動かじ。


その後の、夫婦及び、家庭内の険悪さは、ご想像にお任せします。


こういった戦のあと、


”自分のしたことに、一点の曇りなし!!”


”全ては相手が悪いのだ!!”


と、思うのですが


しばらく経つと、ちょっとだけ反省するのです。


”自分だって、あんな風に怒られたら、嫌だよなぁ” と。


山本五十六氏は、こんなことも言っています。


苦しいこともあるだろう。

云い度いこともあるだろう。

不満なこともあるだろう。

腹の立つこともあるだろう。

泣き度いこともあるだろう。

これらをじつとこらえてゆくのが 男の修行である。


主人は、私からの怒涛の口撃に、防御はいつも


「わかっているよ!」


「今、やろうとおもっていたんだよ!」


男はつらいよ。

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