第3話 歯ブラシ探索騒動記

昨年のことですが、我が家の8才児が、自分の歯ブラシを、家の中でなくしました。


私は、以下の理由から、ブチ切れました。


<理由 1>


 物の紛失は、日常茶飯事で、その度に注意していた。 なのに、またかぁぁ!!!!


これは、まぁ仕方ない。小学生あるある話。でも、次はいけません。


<理由 2>


歯ブラシがなくなった事実に、当の本人が、涼しい顔で 「だったら、買えばいいじゃん」 と言い放った。


買えばいい?


買えばいいじゃん?


お前は、何様だ!!


たかが、歯ブラシ。


されど、歯ブラシ。


すぐさま、探せ!


見つかるまで、探せ!!


休むな!!!


食べるな!!!!


私語厳禁じゃ~~~!!!!!


ブツブツ言いながら、8才児、捜索すること、数時間。


途中から、キレまくりながら、私も、捜索参加。


何故だ、歯ブラシ。


何処だ、歯ブラシ。


出でよ、歯ブラシ。


疲れた、歯ブラシ。


捜索断念。


無念だ、歯ブラシ。


さて、こうなったからには、再発防止が、最重要課題です。


私は、2つの質問をし、その答えを8才児にもとめました。


その答えを考えることが、再発防止につながると、信じていましたが・・・


~質問 1~


何故、歯ブラシは、なくなったのか?


<母の(書いて欲しい)答え>


・歯磨きをしながら、マンガを読んだり、コマを回していたから

・歯ブラシを、元の場所に戻さなかったから


<8才児の答え>


・はしっていたから

・下をむいていたから


~質問 2~


歯ブラシが、今後なくならないようにするには、どうすればよいか?


<母の(書いて欲しい)答え>


・歯磨きが終わってから、次のことをする

・歯ブラシを確実に、元の場所に戻す


<8才児の答え>


・ちゃんと まえをむく

・ちゃんと あるく

・まわりを かくにんして あるく


・・・えっとぉ、これは、横断歩道の渡り方ですかね?


違う? あぁ。そう。


これで、歯ブラシは、なくさないようになる?


なる。あぁ。そう。


う~~~ん。ちょっと、考え直してみない?


いや、どこが違うって。 何て言うか・・・。


あぁ。そう。間違っていないわけね。


わかった。


よし。わかった。


よし。そこまで言うなら、間違ってないね。(絶対 間違ってる)


大丈夫だね。(ホントにいいのか?)


そして、その答えの紙を、戒めに、洗面所に貼り付けました。


・・・ときに・・・


記憶は厄介なものだと、思い知らされることがあります。


思い出して欲しいときには、てんで役に立たず、どうでもいいときに突然、威力を発揮する。


私が突然思い出した時期は、歯ブラシ捜索騒動の、だいぶ後。


思い出したことは、歯ブラシ捜索騒動の前夜の記憶。


私の手には、8才児所有の歯ブラシ。


古くなったからと、私はそれをゴミ箱に捨て・・・


いやいやいやいや、気のせいでしょう。


記憶は、厄介です。


この洗面所に張り付けた紙が、いったい誰への戒めなのか。


さぁて。

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