解決編 第10話-1

30.


「こんにちは」

 男が画面に現れる。

 撮影されたのはこの部屋だが明かりもないため妙に薄暗かった。男の顔は決していいとは言えず、それは画面の映りの悪さだけではないような気がした。

「このビデオを見てるってことは真相にたどり着いたか、それとも大家さんが家賃滞納でこの部屋を撤去するときにでも見つけたのかな。でも家賃が滞納されるまで三か月は余裕を持たせているし、警察がそこまで無能だとは思いたくもない。きっと警察の誰かがこれを見ていることを祈っているよ」

 ハハハハ、と男は軽快に笑う。

 暗い部屋で明るく笑う様は不気味でしかなかった。

「さて、僕が誰だか分かるかい? ここに辿り着いた時点でもう誰だか知っているんだろう? 高らかに答えてごらん?」

 男は手を添えた耳をカメラのほうへと向けて返事を待つが、十姉妹はそれに応えるような警部ではなかった。

「その通り、僕は柳井十二郎だ。で水出善良子との関係性は分かるかい?」

 柳井という男はまた、間をあけて聞く態勢を作るが十姉妹は何も答えない。

「まあそれはまだ言うまい。けれど僕が善良子の復讐をした。理由は分かるだろう。それぞれがそれぞれ水出善良子を追い詰めた」

 それから柳井の長い口上が続いた。

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