解決編 第9話
29.
その後、東京へ戻った十姉妹と重吾だったが、翌日には再び魔女狩りが行われた地下施設の近くへと戻ってきていた。
「警部の言うところの三番目の魔女、正体不明の遺体の彼がこの近くに住んでいたというのは驚きですね」
「ああ、もっとも予測はしていたよ」
その十姉妹の言葉は本当で、東京に帰ってすぐに翌日の飛行機を重吾に準備させていた。
東京へ戻ったのは三番目の魔女の現住所を誰に知られることなく調べるためであった。
十姉妹は全ての真相を知ってから本部へと報告するつもりで、三番目の魔女が誰であるのかは重吾もまだ分かっていない。
地下施設から歩いて数分、ボロアパートの二階へとやってくる。
その一室が三番目の魔女の住処。大家に話はつけてあるので合鍵を受け取っている。
がちゃりと扉を開けると中は薄汚れた壁に囲まれたフローリングのワンルーム。
「何にもないですね。まるで死ぬ準備をしていたみたいだ」
重吾が言ったように部屋にはほとんど物が置かれていなかった。
あるのは部屋の中央にはあるブラウン管のテレビとビデオデッキだった。
「随分と古風ですね」
テレビの上にはこれ見よがしにVHSテープが置かれている。
十姉妹はテレビの電源をつけて、ビデオデッキにVHSテープを入れた。
「おそらくここに魔女狩りの真相が記録されているはずだ」
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