解決編 第8話-1

28.


「ここで最初に死んだのは十塚剣だが彼は押しつぶされて殺されていた」

 重吾が十姉妹の意味深な発言についてもう一度問いかける前に、十姉妹は追いついてきた重吾に告げた。

 重吾の問いかけを無視したわけではない。最大の謎については最後に取っておくのが十姉妹だった。

 重吾はいつも焦らされる側だが、それが十姉妹という人間だと分かっていた。

 答えを告げない十姉妹を怒ることもしなければ、質問を蒸し返すこともない。

「ええ、左の壁と右の壁に血痕がついています。壁が動くとのことなので、それによって轢死したのではないかと推測されています」

「まあ、その通りだろうね。ここに捻りは何もないよ。ナンパに失敗した腹いせに十塚剣は彼女を道路へと押して事故に遭わせた。だから車が衝突したように見立てたのだろう」

 最上階はシンプルな造りでVRゴーグルをつけてもつけなくても白い部屋のまま、動く壁が入口付近にあった他には中央に爆発した装置らしきものがあるだけだ。

「それで警部、ここに正体不明の死体があったんです」

 重吾が指した場所はその装置の近くだ。

「装置が爆発して上半身が吹き飛び、誰なのか判別不能ということだね」

「はい、そうです」

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