解決編 第1話-1
21.
数日後、とあるゲーム会社の社長の遺体が見つかり、この事件が発覚した。
その社長の自宅で行方不明になっており捜索届が出ていた十人の詳細なデータと彼らへと送ったとされる『魔女狩り』と呼ばれるゲームへと招待状や脅迫状が見つかったのだ。
その遺体は峰内十三という男で、水出善良子が自殺したのがきっかけで離婚した水出の父親だった。
送った招待状から行方不明の十人が集まったとされるビルへと辿り着き、監視カメラを探ると彼らはそこからとある地下施設へと送られたことが判明した。
警察は急いで捜索を開始したが見つかったのは十人の死体だった。
さらに行方不明者のひとりだった八月朔日淳の死体はその施設では見当たらず、地下一階には何かが爆発した跡と、身元不明の黒こげた死体があり、警察を困惑させた。
その後の捜査で八月朔日淳はそのゲームが開始する前日に死んでいたことが判明し、謎は深まるばかりだった。
そこで白羽の矢が立ったのが、いくつもの難事件の真相を解明してきた
十姉妹は、彼のことを尊敬してやまない
「ここです警部」
十姉妹がやってきたのは中国地方の一角だった。東京で気絶させられた参加者は深夜バスに偽装したバスによって遠く田舎町まで運ばれている。
深夜バスに偽装したのは仮に気絶した姿を見られても深夜バスだから寝ているのだろうと勘違いさせることができ、怪しまれないからだろう。
十姉妹の前に広がる一面の休耕地は土地価格が低く、地下に鉄道も走ってないため地下施設を作るにはうってつけだった。
被害者のひとりである一宮が秘密裏に残していたメモには『私たち十人が連れてこられたのは窓もないビルだった』と書かれていたが、集合場所のビルの前で誘拐された一宮たちはビルに監禁されていると勘違いしていた。
「行こうか」
十姉妹が短く告げると重吾は地面に埋まっている扉を開けた。
そこには下へと続く階段があった。
既にそこが入口だと資料で熟知していた十姉妹は改めて驚きもせず階段を下りていく。
階段を下りてすぐの通路は丁字路になっていた。
正面に進む道と左に続く道。
「左はエレベーターですよ。最下層に続いています」
「ならば、そちらからだ」
告げると重吾は走り出してエレベーターを呼び、停止ボタンを押して待機させる。
十姉妹が乗り込んですぐに扉が閉まり、重低音を響かせながらエレベーターは降下を始める。
「重吾くん。ここで復習と行こう。死体の腐食具合から、殺された順番を述べてくれたまえ。死因もだ」
「ええと……まず最初の被害者は五木裕規。この人は胸を穿たれて即死です。
次が二ヶ瀬留次。毒殺。
三番目が三条志津子でアナフィラキシーショックによるショック死。
その次が一宮蒔苗で溺死。
ええと……五番目が有川四葉で転落死。
次が七種奈々緒で、彼女は焼かれて死んでいました。
七番目が六鎗杏で惨殺死体で発見されています。
その次が九石風香で彼女は眠るように死んでいました。
九番目が十塚剣で彼は轢殺です。
そして十番目の焼失死体は損傷が激しすぎて誰なのか分かっていません」
「その通り」
エレベーターが最下層へと到着する。
「まずは二ヶ瀬の殺害現場から見ますか」
「いやまずは矛盾点からだ」
「矛盾点ですか?」
「ああ、キミが言った腐食具合から推測される殺害順は一宮が残したメモが真実とするならば間違っている。その矛盾点を見たい」
「矛盾点ですか……確かそのメモの通りだと最初の被害者は九石風香とされていますね」
「そうだ。そしてその次が五木、そして二ヶ瀬、三条と続いている。そしてそれらの遺体はこの最下層に運んだとメモにもあった。
メモ通り、五木、二ヶ瀬、三条の死体はシーツがかけられ、この最下層に並んでいた。
が九石風香の遺体はメモ通りではなく、遺体の腐食具合から見ると八番目に殺されている。これはどういうことか?」
「どういうことなんですか?」
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