第八章
広く薄暗いその部屋は、豪壮な十九世紀風の装飾でいろどられている。部屋の中央付近に、立体映像がうかびあがっている。
しかしシルエットとなっていて、顔はほとんど判らない。やや痩せた、少し背の高い男だ。
背もたれの高い椅子に座る五人ほどの紳士は、神妙な面持ちである。
そのリーダー格らしい、四十ぐらいのプラチナブロンドの紳士が、申し訳無さそうに弁明している。きれいな英国英語だった。
「現在、クライネキーファー重工の株を買い進めております。
これとカイザーへの賞金がくわわれば、当初のもくろみは達成可能です」
しかしシルエットは静かに言う。ドイツ訛りのある品のいい英語だった。
「カイザーの人気が高まっている。
リターンは掛け金の百四十パーセント程度だろう」
「でもクライネキーファー重工の株価は、三十パーセント以上あがると予想されています」
「アンナ破壊に失敗し、つづいてカイザーへの介入もしくじった。新日本の株をかなり買ったが、無駄になってしまった。
結局成功したのはワシコングだけだな」
「はい。オートマトンの株の空売りで、損失は取り戻しました」
「それをすべてカイザーにつぎ込むわけか。しかし万が一カイザーが負ければ、どうする。君達に預けた大切な資金が消えてしまう」
「そ、そんなことは。万が一アンナが勝ちそうになれば、試合そのものを無効にしてしまう方法もあります。あくまで最終手段ですが。
それに、アンナにダメージを与える計画も進行中です」
「あくまでもダメージだな。破壊してしまっては第三回バトル・ステーションそのものが開催できなくなる。
そもそもワシコングも、修復可能な程度のダメージを与えるとの計画ではなかったのか。ワシコングやアンナまで破壊すれば、試合そのものがなくなってしまう」
「その、手近にある燃料などに突入するよう、プログラムされておりましたので。
ミサイルなどの爆発力までは、計算できませんでした」
「ともかく君たちの使命は、人類史をかえる偉大なる計画のための資金集めだ。
そのために莫大な額を預けてある。それを失うようなことがあれば、それは我々に対する裏切りであるのみならず、人類史と未来に対する犯罪だ」
「心得ております。アンナについては、おまかせください。出場可能なていどに、ダメージを与えてやります」
五人は立ち上がって頭を下げた。二人ほど、細かく震えていた。
アンナは高く飛んで、そのままドロの中に倒れこんだ。迷彩シャツと迷彩半ズボンは泥色に染められ、「人形のように」美しい顔も泥パック状態だ。
「だめだ、そんなやり方じゃ」
浅い沼の傍らで見つめていた教官の真奈が、叫ぶ。
「銃をかかげて静かに伏せるんだよ。見てごらん。三十五年式がドロだらけだ。銃身にどろが入るとマズいよ。これは前にも教えたよな」
アンナは立ち上がった。シャツが体に張り付いている。
「でもドロでもなんでも嫌がらずに飛び込むのは、さすがだよ。
美人だいなしだね。大先生が見たら卒倒するよ。あっちの川でどろを落とそう」
真奈も川にはいって、アンナの体に水をかけてやった。
「しゃがみなよ。髪もドロドロだ」
迷彩シャツの色がやっと見えてきた。
そのときヘリの音が響いてきた。今時珍しく、音がおおきい。
「統自かな? 今日は演習ないって言ってたけど」
アンナは見上げた。
「整備状況が悪く、ローターにきしみがある。古い民間ヘリだ。
ヤシマの生産中止になったタイプと推定される」
ヘリは真奈たちのほうに近づく。
「こっち来るな。会社のやつじゃない。取材かな」
「真奈、退避したほうがいい」
「どうしてだい。まさか」
ヘリ横のドアがスライドして、機関銃の銃身が見えた。
「攻撃の可能性大。状況を本社に連絡」
「それよりも早く、川から上がるんだ」
突如古く黒いヘリから、発砲してきた。アンナは真奈の前に立ちはだかる。三十八口径の弾丸数発が、アンナの人工皮膚を破る。
「二発命中。内部構造にダメージはない」
「反撃しな! 許可する!」
アンナは突撃銃を右手だけで構えた。
「人間への攻撃は許されていない。ヘリの無力化を行う」
アンナはヘリの後部ローターに、銃弾を集中させた。小さなローターはふきとんでしまう。後部ローターを失ったヘリは、回転をはじめた。
あわてたパイロットはヘリを強硬着陸させようとする。
「うまい。今のうちに森の中へ」
二人は森の中にかけこんだ。ヘリは低木を何本もおって着陸し、ローターで周囲の木々をなぎ倒してしまう。強風が森をゆらす。真奈には武器もない。左手首のユニ・コムに叫んだ。
「本社、誰か出て! 攻撃されてる」
「菅野だ。無事か」
「黒いヘリに攻撃されてます。ただちに救助を」
「こっちも大事だ。国際テロ組織『真実の夜明け』が、爆弾をしかけたと声明を出したやがった。今は退避と捜索でおおわらわだ」
「真実の夜明け? なんでわが社に」
「バトル・ステーションは世界の貧困層を差し置いて……いや、狂人のたわごとに理由なんてない。攻撃はどんな感じだ」
「黒いヘリが不時着しました。多分こっちも国際テロ組織だよ」
「……爆弾云々は陽動か。目的はアンナだ」
「え? でもどうして」
「真実の夜明けの背後には、国際的な投資家ネットワークが潜んでいるとも、先進国の発展を阻害しようとする連中が操っているともいわれている。
こっちが爆弾騒動で気をとられているうちに、クソ!」
菅野は社員達が工場から避難していくのに逆らい本部棟へとひきかえしていく。
「統合自衛部隊にも出動を要請する。どうせ爆発物処理班も出てくるんだし」
しかし敵テロリストは待ってくれない。
「真奈、不時着したヘリから武装した人物が降りつつある。木々のむこう、会話の数を確認すると四人のようだ。東欧なまりの強い英語。東南アジアらしいなまりも混じる」
「どうやってあんな凶悪な連中をあやつってるのかしんないけど、まずいよ。
アンナ、突撃銃貸して。どうせあんたに人は撃てない」
「残弾数は十発だ」
「友軍がかけつけるまで、時間かせぎになればいい」
「再確認。敵勢力は四人。突撃銃、軽機関銃などで武装。距離八百メートル。こちらを計器捕捉しているらしく、確実に徒歩で接近している」
「ともかく逃げよう。国道へでたほうがいい」
「菅野だ。情報統監部の田巻二等佐官に泣きついた。ただちに特殊部隊を急行させているが、東富士からでも十分はかかる」
「特殊空中突撃団ですね。十分か、なんとか樹海を逃げまわってるよ」
そこへ小型ロケット砲が飛来、至近で爆発して木々をなぎ倒した。轟音が森を震わせ、硝煙と土煙が視界を閉ざす。
とっさにアンナが立ったまま、真奈を抱きかかえるようにした。
「真奈。敵はユニ・コムの電波を追っている」
「当分無線封止か。こっちはここらの地理に精通しているんだ」
二人は枯れた沢を下り始める。時折数百メートルむこうから、銃撃してくる。
木々にはばまれて、あたるはずもない。相手の射撃はうまくない。
「アンナ、あんた人は攻撃できないけど、威嚇ぐらいできるんだろう。
そこらの手ごろな木をひっこぬいて」
アンナは一抱えほどあり、高さ十数メートルになる木をなんとかひきぬいた。
「命令。敵対勢力の進行を阻止せよ。投げつけてやれ」
アンナは両手でかかえ、葉の茂った木を投げつけた。すこし回転しつつ二三百メートル飛んだ木は、他の木を数本なぎ倒して落ちた。
追っ手からはかなり距離があったが、黒い四人のテロリストは驚いた。
「奴ら、肝を冷やしただろうね」
「真奈、おかしい。相手の追跡速度がおそすぎる」
「こっちが早すぎるのかな。まさか待ち伏せしているってことは」
銃声が響く。真奈の周囲を赤く輝く銃弾が飛び交う。
「くそ。待ち伏せてやがった」
真奈は頭に血がのぼって、突撃銃を連射してしまった。たちまち弾が尽きる。
「くそ! 敵もさるものね。目的はあんただよ。あんただけでも逃げな」
「ともかく退避を推薦する。沢から出て逃げよう」
「奴等は先進国の存在そのものが、環境汚染と地球的規模での貧困、騒乱の原因だとか主張している。だから先進国の経済を支える最先端の科学技術を破壊してまわってる狂信者だ。
国際連邦の支援うけてるって噂もあるんだ。まったく厄介な相手だよ」
「真奈、あなたを肩に乗せれば、時速六十キロで走行できる」
「ありがたいけど、目的は貴様の破壊なんだ。むしろ自分が囮になるから、貴様はその脚力で逃げ切りな。奴ら、自分には別に興味ないだろうけど」
「攻撃する武器は、緊急用の拳銃と煙幕手榴弾二個しかない」
「だから攻撃しないって。一度停止」
二人は巨木の影にかくれて敵の様子をさぐった。
二時の方向五百メートルに、ヘリからおりた武装兵士四人。五時の方向からあらたな敵二人ないし三人。武装は不明、足音から距離は三百メートル以内。
お互いに通信しあって、こちらへむかっている」
「挟み撃ちのつもりか。あと五分はふんばればいい」
真奈は青い夏空を見上げる。雲がひとつ、のんびりと流れている。
「いい、以下反論は却下。自分は拳銃で発砲しつつ、七時の方向に走りだす。アンナはこの場で音を立てずに待機」
「それでは真奈が危険にさらされる」
「奴らが自分をおいはじめて五分待ったら、十一時の方向へ森の中をつっきりな。
特別空中突撃団所属の機が来てるはずだから、連絡してこっちの位置を報せて。
あっという間に片付けてくる。いいね」
「異論はあるが了承した」
「けっこう、じゃあいくよ、相棒」
と真奈は飛び出した。待ち伏せていた連中がいるあたりへ拳銃を数発発射した。
木々のむこうから弾丸が飛びくる。真奈は煙幕手榴弾を投げて、木々のあいだににげこんだ。明るい森の中、なまった英語での通信が飛び交う。
アンナは片膝をついたまま耳をそばだてた。北から迫っていた四人も、進行方向をかえたようだ。相手の荒い息使いも聞こえる。
ふとアンナは北西の空を見上げた。ダクテッドファンの独特の爆音が響く。
「ジャスト機の爆音確認。機種はヤシマ重工の汎用タイプと推定。直上到着まで五分以上。
真奈は十一時の方向へ走れと命じたが、状況変化にともなう変更を自律判断。
九時の方向を目指す」と走り出した。
ロシア製突撃銃の先につけた茶筒状のものを、テロリストの一人が発射した。
真奈はふりむいて、拳銃を乱射する。「あまこまⅡ型改」の音がする。見上げたとたん、頭上でなにかが小さく炸裂した。真奈は反射的に下草に伏せた。その上に、頑丈な網が下りてきた。
「こちらアンナ。わたしよりも真奈の救出を優先させてほしい」
アンナは直上をホバリングする「あまこま」機に、通信した。「あまこま」の機長は菅野からだいたいの状況を聞いていた。
「わかった、人間を優先させる。元統自らしいな。君はそこで待っていてくれ」
だが「あまこま」が南へとむかってほどなくして、森の中から携帯地対空ミサイルが飛び出してきた。よける間もなく、機の側面に火花を散らす。
小型でさほど威力はなく、装甲ダクテッドファン機は墜落しない。しかし左ローターから黒煙がふきだした。安定がたもてない。しかたなく「あまこま」は引きかえすしかなかった。
アンナは森の中を走る。やがて森の中で真奈の拳銃を見つけた。それをひろいあげたとたんに、木陰から激しく銃撃をうけた。人間を直接攻撃することのできないアンナは、逃げるしかなかった。
続いて小型地対空ミサイルが水平に飛んできた。音を感知してとっさに伏せたアンナのすぐ上をとび、近くの木にあたって爆発した。
今度はヘリの音がする。アンナが見上げると、統合自衛部隊Japanese Unified Self-defense Troops=「JUST」の攻撃ヘリが東からやってくる。
テロリストは長さ一メートルほどのヤシマ製三十一式個人携帯至近距離地対空誘導弾を肩にのせて構えた。最後の一発だった。
それが発射されたとたん、攻撃ヘリの電動ガトリングが火をふいた。発射筒を飛び出したミサイルはたちまちその射手とともに分解され、爆発した。
さらに空にむかって発砲を続けるテロリストに、短くガトリングが火を吹く。うしろにあった低木数本とともに、さらに二人が瞬時に分解されて飛び散った。
「特製人工皮膚にかなり弾丸がめり込んでいるが、内部構造にほぼ問題はない。弾丸はとりのぞいておくぞ」
森のなか、ややひらけたところに大型のダブルローターヘリが着陸している。新日本機工の運搬用だった。
その貨物室の台のうえで、アンナは「緊急手当て」を受けていた。菅野が応急処置をしているのを、赤穂浪子が少し心配そうに見つめている。
「本格的な調整は、戻って南部先生にやってもらったほうがいいわ。
興奮しているから落ち着いてから」
「真奈の捜索が優先される。残存テロリストは推定三人。
おそらく真奈を拉致して南へ、樹海のはずれをめざしている。その理由は不明」
「……五百瀬くんがなぜ拉致されたかはわからない。あのタフな女のことだが…」
「今は州警察がおいつめているわ」
菅野のユニ・コムが鳴った。本社の室田社長からだった。アンナは電波を受信していた。
「五百瀬君が! どこです、無事なんですね」
アンナが起き上がった。
「わたしが行こう」
「だめよ、敵はあなたを狙っている」
「だから真奈を人質にとった。菅野室長。人名救助が優先されるのではないのか」
「それはそうだが……ともかく現場に行くしかないか」
旧県道に面して古いモーテルの廃墟がある。そこに三人のテロリストが閉じこもっていた。浅黒い東南アジア人は、たとたどしい日本語を話す。
「おまえはアンナの有名なトレーナーだな」
真奈は古いチェアに座らされ、うしろ手にしばられていた。
「あんたたち、アンナをおびき出すつもりだね」
「大人しくしていろ。おまえが目的ではない」
「なぜアンナを。あなたたちはなぜ科学技術を憎むんだい」
「科学技術をうみだし世界をめちゃくちゃにした先進国に、天罰を与える。先進国は科学技術によって軍事力を発展させ、アジアやアフリカ、南米を侵略した。
それだけじゃない。医療技術と食糧生産力の進歩は人口を爆発的に増加させ、それがさらなる戦争と侵略を招いたんだ。科学の進歩こそ貧困と争乱の元凶だ」
「医療技術の進歩まで、敵に回すのかい」
「そして増えすぎた人間は自然から収奪し、破壊し、汚し続けている。すべて先進国が元凶、先進国を支えてきた科学技術そのものが諸悪の根源だ」
「そんなムチャクチャな理由で、アンナを壊そうって言うの」
「壊しはしない。ダメージを与えるだけだ」
「なんだって、なんでそんな手間なことを」
「契約、ビジネスと言ってもいい。我々は世界を解放し、人々に真実の覚醒をもたらすために活動資金がいる。
貧しい地域にほどこしを与えるためにな。これはいわば小遣い稼ぎだ」
「結局金のためかい。そのためにアンナを」
「おとなしくしろ。アンナを壊すとは言ってない。本当はいまいましいロボット工場ごと、戦術核で破壊してやりたいがな」
「その戦術核だって、科学技術の産物じゃない」
「毒をもってなんとやらだ。この地球を産業革命前の美しい姿に戻してやる」
「そんなことしたら、医学の力でなんとか生きている人たちはどうなるんだい。人類の築きあげてきた文明は。みんなダーウィン適応のためだって習ったよ」
「……ともかく世界が本来の姿に戻るだけだ」
「おかしいよ、やっぱりあんたらはおかしいよ」
「リーダー、警官隊が増えた」
南米系の青年が叫んだ。
古い廃モーテルは川沿いの旧道に建っている。旧道は閉鎖されバリケードが両端に作られている。
川の対岸、森の中にも武装警官が配備され、ありの抜け出る隙間もない。封鎖線の中にはいれず心配そうな菅野たちのところに、完全武装の巡査長が寄ってきた。
「新日本機工の方はおられますか」
「開発室長取締役の菅野です」
「テロ集団『真実の夜明け』が、人質を帰してほしいなら逃走車を用意しろと言ってます。
あとアンナをこちらによこせとか。アンナって誰です」
「わたしです」
と身長百九十センチ超の美女が、装甲車の陰からあらわれた。
「そうだ、アンナをゆっくりとよこせ。いっさい武器は携帯させるな」
浅黒いテロリストのリーダーは、古風な無線で呼びかけている。菅野は警察無線の受話器をわたされた。
「五百瀬くんは無事か」
「いきのよすぎる女は、椅子にしばりつけてある。d危害を加えるつもりはないが、いざとなったらもろともに吹き飛ばす。
デカい化け物を、こちらにゆっくりと歩かせろ」
菅野の前に、警官が幕状モニターを巻物のように広げて立っている。そこにカメラがとらえた廃モーテルの様子がうつっている。
玄関横の窓があいていて、なにかがのぞいている。警官がうしろで操作するとその部分が拡大され、輪郭が補正された。筒のように見える。
解析結果が画面の右下にあらわれる。
「クライネキーファー重工製個人携帯地対地空ミサイル・パンツァーシュレックⅢ型C」
菅野は息を飲んだ。
「ア、アンナを破壊するつもりか」
「すこし痛めつけてやる。生意気な機械人形をな。なんでもあのでくの坊を作った男は、女神を作り上げたとか言ってるそうじゃないか」
「それは……」
「ともかく女を帰してほしければ、バカ人形にとりにこさせろ。ロボットと人間、どっちが大事なんだ? そのあとで我々は自爆する」
「自爆だと、いったいなんのために」
「無駄です、室長」とうしろから声をかけたのは赤穂技師だった。
「やつらは正常じゃない。それに精神コントロールされていて、死を恐れない」
「し、しかし」
「先進国連合の独断を牽制するために、国際連邦が操ってるって言われてます。
でも今の行動はあきらかに国際的な情報ブローカーや、その背後にいる詐欺的な投機マフィアに操られている。目的はアンナの機能低下よ。無力化じゃないわ。
はじめはワシコングに優勝させようとしたけど、アンナ破壊が失敗してワシコングを破壊したとあと、カイザーに賭けているんですよ。
でもアンナを破壊してしまえば、バトル・ステーションそのものがなくなってしまう。テロリストの狂った犯行に見せかけて、アンナに傷をつけたいんです」
「し、しかし。五百瀬くんが」
「しかたないわね。武器の携帯が不許可なら、アンナに防護服を着せて行かせるしかないか。
でも敵はアンナを傷つけたあと、真奈をおとなしくかえしてくれるかしら」
浪子は警察装甲車の陰で待っているアンナのもとに近づいた。
「アンナ。あなたの教官を助けるために博打をうつけど、いい」
「命令に従う。あなたが攻撃をしかけるのか。わたしに人間は攻撃できない」
浪子は少し驚いてから、小さくため息をついた。
「警察が手をだしかねているからね。………ね、あなた、いつからわたしのこと気が付いていたの」
「あなたの能力についてか。はじめて接触して十三時間で結論にたっした。
当時は通常歩行に、わずかなゆらぎが残っていた」
「そう、さすがね」と不敵に微笑んだ。
「武器携帯許可ないけど、あなたの武器をすこし借りるわ」
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