第五章

 翌日、菅野開発担当取締役は赤穂技師、五百瀬トレーナーにアンナまで連れて、会社から車で二十分ほど離れた介護施設「桃源苑」を訪れた。

 菅野ははやりの自動運転電気自動車よりも、自分で動かす昔ながらの自動車を好む。しかしセダンの後部座席は狭く、小柄な真奈はともかく赤穂技師は窮屈そうだ。しかもアンナは助手席の椅子を一番後ろまで引いても、首をかしげて乗る必要があった。

 どうしても後部座席は一人分になってしまう。そこに女性二人が詰め込まれた。


「これはこれは、わざわざ新日本の開発責任者の方におこし頂けるとは」

 苑長であり経営者でもある医学博士の坂本は官僚的な権威主義者らしく、対応は丁寧だが冷たかった。

 身なりも持ち物も一流である。ただ視線は微妙に泳いでいる。

「ほう、これが天才ミナベ博士の傑作ですかな」

 坂本は目を細める。身長百九十強の完璧な美女は、相変わらず無表情だ。しかしかつて個々人の好みに応じて「ロボット愛人」を作っていた南部が、魂を削るようにして作った顔の造形は、見事である。女神の風格もあった。

「ロボ・ナースの脚や基本動作を応用した、とききましたが」

 赤穂浪子はすこし強い調子で言った。

「いえ、ロボ・ナースにアンナの技術を応用したんです」

 菅野は軽く咳払いすると、要件にはいった。

「さっそくですが坂本苑長、ことは重大で、当方でも調査をすすめています。警察から基本プログラムのコピーをもらって入念に調べました。

 しかし基本プログラムに……異常は見られなかったんです」

「基本的にはね。でもすこし厄介なことが見つかったみたいだよ」

「五百瀬さん、技術的なことはわたしが話すわ。

 坂本さん。確か串田さんの心臓停止をリングが知らせて、約十分後に職員がかけつけた。そうですね?

 その時、ロボ・ナース芳江は緊急連絡もせずに海岸に立っていたそうですわね」

 坂本は、赤穂の丁寧だが威圧的な物言いに、少し不愉快だった。

「はい。言ったとおりですよ」

「でもデータにはきちんと緊急対応マニュアルが残っていたわ。時にバグもなく。

 何故その対応をしなかったのかが、判りませんわ」

「それはこっちこそ聞きたいですな。ともかく事件は起こったのですから。

 いずれ州警察が、正式な調査結果を発表するでしょうが」

「坂本苑長。ナースを回収して、串田さんの死亡を確認したあとに、警察を呼ばれましたね。そのあいだに、プログラムを書き換えたりしていませんかしら」

 丁寧を装っていた苑長博士は、さすがにムッとした。

「なにを根拠に。なぜそんなことを」

「緊急事態に陥ったときの対応を遅らせる、あるいは拒否すると言ったような」

 菅野は静かに慌てた。

「赤穂くん、そこまで言ってしまっては……」

「でもそれしか考えられないんだろ」

 真奈は左手首のユニ・コムをみた。表のモニターにアンナからの報告が現れる。

「坂本氏の脈拍、三十パーセント上昇。上半身の発汗も部分によっては上昇。

 体温コンマ七度上昇。アドレナリン流量の増加が認められる」

「ほかのナースには異常ないってんだから」

「まったく失礼ですな、あなたたちは」

「しかし坂本さん。いままでこの小夜タイプは全国に百七十六台納入してます。

 でも今回のような事故は、はじめてなんですわ

 それに……プログラムを誰かが書き換えて、あとでそれを糊塗した形跡があります。コア・プログラムへの最終アクセスロゴが、なぜか消えているの」

「……わたしが、串田さんを殺したとでも」

 菅野がすこしあわてた。

「まさか。串田さんがなくなって最大の被害者は多分あなたです。

 でも串田さんって、若い頃は相当傲慢なやり手だったみたいですね。一代でレアメタルの貿易会社を興すために、相当な無理、いえあくどいこともやっている。

 離婚され、ご家族はいなかったみたいですね。愛人はその……」

「よく調べましたな。そう、かなりの財産を残しつつ、家族はいなかった。

 そして芳江と言うのはなんでも初恋の人、とか」

「ご存知なのかしら、その芳江さん」

「ご自分で話されてましたからな。

 遠い親戚にあたる、美しい年上の人だったとか。しかし身分や教育の違いがあって親戚そろってで反対、串田さんは家を飛び出したたそうです」

「へえ、今でも芳江って人の面影を追い続けてるんだ」

 真奈は部屋のすみに立つアンナを一瞥した。

「芳江さんは、どうされましたの」

「まあ、けっこうな家に嫁いだようですが。ご主人が遊び人で苦労させられたあげく、事故でお亡くなりになったとか。

 そのあとの心労で、芳江さんも若くしてなくなったと聞いています。

 串田さんも、籍こそ入れなかったものの結婚し、子供を一人つくったようです」

 坂本はわざとらしく咳払いした。

「じゃあ、家族いるんじゃない」

「それがその…家に帰らず無理な仕事ざんまい。芳江さんに似た女にはすぐに手をだす。ついに女医さんだった奥さんはその、見限って家を出たそうです。

 幼い子供を連れて。坂本さんは止めたし、かなりの養育費を払いましたが。

 以後は結婚もせず、六十いくつで倒れるまで仕事と道楽三昧。ここに来たときには廃人の手前でしたからな」

 三人の訪問客は黙ってしまった。

 沈黙を破ったのは、執務机の上にあるミニ・テレヴァイザーである。

「失礼。弁護士からです。すこしお待ちを」

 坂本は電話を自分のユニ・コムに回して、廊下に出た。真奈はふりかえった。

「アンナ、所長の通話を聞いて、こっちのユニ・コムに転送して」

 アンナは聴覚を最大にし、壁の向こうの通話をきいた。菅野たちもいっせいにユニ・コム内側のパネルをひらき、耳にあてた。

「手続き上は問題ありません。しかし、財産をすべてこちらに寄付すると言う依頼者の要求も驚きましたが、半分を元の会社に寄付すると言うのも、珍しいですな」

「ワンマンで、相当部下を泣かせたようですからな。入所されてからはひどく悔やんでおられましたよ。全部もらったのでは、こちらも気がとがめます。

 ともかく問題なければ、その線で。くれぐれも税金で問題おきないよう、お願いします。うちは二年前に査察がはいってて、エラい目にあいましたから」

 聞いていた真奈は、浪子と顔を見合わせた。

「遺産を……この苑にだって?」

「これで殺害の動機が出来たわね」

 ほどなく坂本苑長は戻ってきた。すこしうれしそうだった。三人の客は、妙に威儀を正して待っている。アンナはあいかわらずだ。

「さて、そろそろ仕事にもどらないといけませんので、よろしいですかな」

 菅野が言い出しかねていると、浪子が言った。

「串田さんは家族がいなかった。でもけっこう財産を残しているはずですが、それはどうなりましたか」

「……さて、プライベートなことにはお答えいたしかねます」

「財産が先生のものになるって話はどうだい」

「は、なんのことですかな?」

 顔色がかわるが、微笑んでいる。

「と、ともかく、警察の捜査を待ちましょう」

 と立ち上がる。三人も立ち上がり、逃げ出すような坂本医師を追った。

「だれかがプログラムを操作したという、確たる証拠でも出たら教えてください」

「まちなよ、まだ終わっちゃいない」

 廊下にまっさきに飛び出した真奈は、坂本の痩せた背中にぶつかりそうになった。広い廊下に出た苑長は、立ち尽くしていた。

 真奈や、続いて飛び出した浪子たちも驚いた。

 残った十数体のロボ・ナースが、苑長をとりかこむように立っている。いずれもリアルな人形のような美しい顔立ちだが、一応個性がある。

 ただ感情をあらわす機能はない。

「なんだおまえたち。仕事に……」

 一番手前に立つ、白衣を着たロボ・ナースが言った。

「苑長命令により、緊急対応プログラムを一次的に停止します」

 隣のナースも無表情に言う。

「緊急対応プログラム一時停止を確認。特別要求につき指令データを転送します」

「転送確認。個体七七六号よりの指令データを保護、再転送します」

「緊急対応プログラム一時停止を確認」「個体七七六号よりの指令……」「苑長命令により緊急対応プログラムを…」「苑長命令により」「苑長命令」「苑長」「苑長」「苑長……」

 硬直し血の気を失った坂本のうしろで、真奈たちも立ち尽くしていた。

 ロボ・ナースたちの声が、いっせいに止んだ。

「……だ、だれが。どうして指令を転送したんだ。そんな、なぜ」

「さ、どうするんだ、だんな。苑長命令でプログラム停止だって?」

 坂本は振りむいた。青ざめている。

「こんなことはありえない、そんな………なぜ」

 また前をむくと、表情を険しくした。

「苑長特別保護命令だ」

 機械ナースたちはいっせいに「はい」と返事する。

「後ろの三人は重大な精神障害の可能性がある。ただちに第三診療室に隔離せよ」

「了解しました」

 驚く真奈たちを、ゆっくりとロボ・ナースが取り囲みはじめる。

「お連れしますどうぞ」

「さ、どうぞ、お連れします」

「こちらへどうぞ」

 無論、暴力的な行動はとらない。丁寧に案内しようとする。顔には微かな笑みを浮かべ続けている。他の表情はとれない。

 真奈たちが戸惑っているあいだに、坂本は逃げ出した。

「ちょっと、待ちなよ!」

 真奈はナースたちをかきわけようとするが、重さ百三十キロのヒューマノイド・ナースは、動かない。

「ちょっと、よしなよ! どいて」

「直前命令の確認。この三人の精神状態を推測する基礎データを転送」

 ドア口に頭をぶつけそうなアンナが立っていた。

「新日本機械工業本社人事部厚生課の、社員基礎データへのアクセス許可を。

 取締役開発室長菅野さんのデータ閲覧許可を」

「わ、わたしの?」

「閲覧には役員決裁が必要です。声紋署名願います」

「……許可する」

「精神カウンセリングの最新データへアクセス。部分コピー。各ナースに転送」

「受信する」「受信する」「受信する」

「アンナ、貴様何やってんだい」

「そうか、わたしたちを隔離する必要ないことを、証明しているのよ」

 数秒後、口火をきったナースが微笑みのまま言う。

「特別隔離の必要を認めない。最新の苑長命令実行には、苑長の再確認と再命令が必要。行動を保留せよ。個人データは要請により即時抹消」

 ナースたちは囲みをといて、真奈たちを通した。驚きながら浪子も通っていく。

「アンナ、来な! ヤツをとっちめてやる」

「五百瀬君、手荒な真似は」


 苑で使う全自動セダンにとびのった坂本は、「警察署へやれ」と指示してから、運転席で左手首のユニ・コムを使った。

「あ、後援会関東事務局次長の坂本です。先生をお願いします」

 アンナと真奈は桃源苑の正面ゲートにむかった。自動的に固く閉ざされている。

「壊すしかないね」

「あ、あんたらなんだ。坂本先生になにがあった」

 ふりむくと杖に頼りつつ、あるいは自動車いすに乗った老人老女数人が、正面玄関に集まっている。一瞬真奈の顔がくもる。坂本は入所者に慕われているらしい。

「アンナ、肩貸して」

 アンナが片膝をついて頭をさげると、小柄な真奈は肩にまたがった。遠目には大人と子供ほどの違いがある。アンナは立ち上がると走り出した。そして二メートル以上ある正門を軽く飛び越えた。

「車のほうが早い。走行装置なしではわたしでも追いつけない」

「なら、攻撃しな」

「わたしは人間を傷つけられない」

「威嚇はいいんだろ。間違って傷つけてもしかたない。直接生命を脅かさない緊急行動は許されてるし、泥棒ぐらい捕まえられるさ。

 アンナ、停止!」

 真奈は高さ十メートルほどの木を指差した。

「石投げはまだまだ訓練が必要だけど、やり投げのほうがまだ得意だろう」

 アンナは低木を両手で根元からひきぬいた。それを長すぎる槍のように構え、二百メートルほど先を進む、車にむけて投げつけた。

 木は枝葉をつけたまま放物線を描いて飛び、木々や信号を飛び越えて車の五メートルほど前に枝葉のほうから、大きな音とともに落ちた。

 車は自動的に急ブレーキがかかる。運転席にいた坂本はベルトもしておらず、フロンドグラスで頭を打ってしまう。

「アンナ、連れてきて」

 走り出したアンナは、ぐったりしている坂本苑長を両手で抱き抱えて、戻ってきた。路肩でしゃがみこむ医学博士を、真奈は立ち上がって見下ろした。

「あんた資産家の串田さんを、殺したね。緊急行動をキャンセルして、早朝の海風に心臓と呼吸器の弱い老人をあて続けたんだ」

 うなだれた坂本は、か細い声で白状しだした。

「それがあの人の条件だったんだ。うちはおたくの高価なロボ・ナースを買いすぎて、経営が苦しくなりかけていた。

 そこで串田さんが、全財産を残すからと言って懇願したんだ」

「殺してくれってかい、そんな馬鹿な!」

「芳江の腕の中で死にたい。それが最後の望みだといわれた。

 容態が悪化すれば、契約している病院に強制的に搬送される。もうロボ・ナースに出番はない。しかし串田さんは、苦しかった人生の最後を、はじめて愛した人の腕で息たえたかった。

 そのことを毎日懇願されたんだ。それにいろんな過去の関係から断れなかった」

「証拠はないね」

「マナ、この人は嘘をついていない。心拍数に変化は見られない」

 アンナはいつものように淡々と語る。その可憐な美声が、真奈には心地よい。

「だから、緊急対応プログラムを一次的に解除した。

 腕の緊急ボタンをおさなかったのもそのせいだ。芳江は、首都北郊の違法な業者に依頼して顔までつくりかえたロボ・ナースは、体温低下などを感知して戻ろうとしたはずだ。

 しかし串田さんは言ったろう。このままでいい、と」

「それを信じるとしても、立派な自殺幇助ね」

「え?」

 聞きなれた声に真奈がふりむくと、なんと浪子が立っている。脚をひらいて腕を組み、やや傲慢そうな微笑みを浮かべていた。車もバイクもない。

「ど、どうやって、ここまで来たんですか」

「追ってきたのよ、悪い? 確かに串田さんほどの人物がこの施設に全財産を寄付するなんて、ほかに理由もないわ」

「思い出の芳江さんの写真も手にいれた。声も似せてある。でも実在の人物やタレントに似せて顔を作ることは、本人の同意がないと肖像権と人格権の侵害になる。

 串田さんはけっこう有名なもぐりの業者に大金を払い、自分が幸せにできなかった人の思い出を、ロボ・ナースに投影したんだ」

「そのあと警察にわたす前に、証拠を隠滅したわけかい」

「ああ。これで、この桃源苑も終わりかな」

「坂本さん。わたしたちはわが社の製品に問題がなければ、それでいい。でも警察のほうがかぎつけた場合は、関知しないわ」

「警察に、プログラム改変は見つけられまい。

 機能的なトラブルとして、わたしはなんらかの処分は覚悟している。営業停止と言うことにはならないが」

「どうする、赤穂さんよ」

 赤穂浪子は数秒考え、小さくため息をついた。

「……わたしの一存で決めることではないけど。そうね。

 こっちにとばっちりがかからず、プログラムミスとかメンテ不足でと言うことで責任とっていただけるなら、わたしたちは口出ししません」

「いいんですかい、そんなことで」

「知っているのは三人だけよ。菅野室長はわたしが説得する。苑長が逮捕でもされたら、入所している三十人以上のお年寄りがこまるわ。

 いろいろ調べさせてもらったけど、入所者には感謝されているみたいね。

 ちょっと経営を拡大しすぎて、金策に苦労しているのはたしかなようだけど」

「すまん。君たちの会社に迷惑をかけたり、責任をおしつけるつもりはまったくなかった。新日本機工の『小夜』シリーズのおかげで、わたしのケア施設が成り立ってるんだし」

「いくら本人の希望ってったって、自殺の手伝いって関心しないね」

「ベッドの上で管だらけにして、苦しみを長引かせることはしたくなかった。入居者のほとんどは、延命よりも苦痛の除去を望んでいる。

 酒好きは酒を飲みつつ、タバコ好きは紫煙の中で死にたいんだ」

 赤穂技師はすっかり気落ちした坂本の顔をのぞきこみ、不思議なほどやさしげに微笑んだ。

「その考え方に免じて、なんとしても会社は説得する。あなたはいろいろと政治的なバックもあるみたいだし、警察のほうが納得する報告を書いてね。

 すべてはプログラムミスとメンテナンス不足による、不幸な事故。書類送検ぐらいされるだろうけど。うまくのりきって」

「ねえ、本当にいいのかいそれで」

「串田さんの希望通りになったんじゃない。こっちに被害なければ、それでいい。

 わが社の主力商品は、まだまだ売れてもらわなくちゃなんない。殺人に利用されたなんて評判は、たててほしくないから。それに結局誰も悪くないんだし」


 三人と一体は自動操縦のワゴン車で会社へと戻っていく。助手席の菅野はため息をついた。

「社長と専務にはわたしからなんとか話しておく。それにしてもまあ……」

「誰も傷つかず、無事おわるといいですね。マスコミはうちにも入ってくるでしょうから、広報部と対策を練っておいてください」

「でもさ、豪華な施設だよね、やっぱ。

 自分を仕込んでくれた爺さんは、里の病院の片隅で死んだ。でも父さんは山で遭難、誰にも看取られずに寂しく逝ったんだ。

 山の衆がなんとか遺体は見つけてくれたけど。

 それに比べて串田さんってのは、最高に幸せな死に方をしたんだろうなあ」

「……それにしても坂本苑長と串田さんの関係も妙ね。でも今はいいわ。

 きたるべきバトル・ステーションにむけてあとは全力よ。そんなに時間もない」

「なんでせっかくの遺産の半分を会社に寄付すんだろ。ちょっとわかんないな」

 妙といえば、南部博士と赤穂技師の関係も妙だった。しかし今度のことで、すこし赤穂のことは見直していた。

「でも、ロボット産業ってのも、所詮は金持ちのためなのかな。

 資産がないと、楽に死ぬことも出来ないんだよ」

「日本はそれでもましよ。世界人口は悪疫や紛争で減りに減って七十億に近づいている。しかも三分の一が貧困層。低開発国だと老人になれるものは滅多にいない。

 日本の人口だって、一億二千万をきっている。そのうち三分の一以上が老人。

 しかもきちんとした終末医療を受けられるのは、少ないの」

「それでも、日本は幸せなのかねえ」

「ええ。少子高齢化対策の結論が、ロボット産業。おかげで高齢者でも働ける。

 ギリシアのポリス国家は、大勢の奴隷によって支えられていた。老人大国日本は、ロボ・ナースやロボ・メイドみたいなみたいなロボットに支えられるの。

 政府は十年以内に、総人口の一パーセントにあたる各種ロボを作り出す計画よ」

「そんなにたくさん。会社も大忙しだね」

「アンナみたいな優秀な自学自習型アンドロイドが増えちゃったら、わたし達が支配されちゃうかもね」

「まさか」と言った菅野が、一番深刻な表情だった。


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