第八話

変わらないモノ変わるモノ(その1)


 あれから、舞彩さんの弟―春樹くんは何かが吹っ切れたかのように元気に過ごしているらしい。舞彩さんはそのことを自分のことのように嬉しく話してくる。

 舞彩さんはブラコン....などと口にしたら怒られそうなのでそっと心の中で思っておこう。


 そしてまた、いつも通りの毎日が過ぎていった。客は少なくも多くもなく、繁盛してるかと言われれば首を傾けてしまう。

「私も弟か妹が欲しかったなー」

 春樹くんと舞彩さんの関係を見ていたら何だか羨ましく思ってしまった。

「兄弟や姉妹って一人っ子からすると羨ましいですよね」

 マスターはいつものように涼しげな顔をしている。

「そうなんですよ。私も姉か妹が欲しかったです」

 私はないものねだりと分かっているから、はにかんだ顔でマスターに愚痴をこぼした。


 いつもと同じ、変わらない毎日。

 

 いつもと同じ、変わらない大空。

 

 いつもと同じ、変わらない時間。


―私が私として生きている日々―

 


 そして、私の世界で一番好きな場所に。


 

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