12月25日 フルエルクチビル
おれはケーキを買って家に着く。おれにはクリスマスを一緒に祝う人はいないし、カレンダー的には平日だ。だが季節の行事を忘れると、次第に日にちの感覚を忘れ、曜日の感覚をわすれ、今日と明日の違いを忘れだす。おれは今日と明日の違いを知るためだけに、一人で食べるには大きいケーキを口に入れる。
クリスマスにはプレゼントが必要だ。クリスマスプレゼントというには寂しすぎるが、おれはDMMを開き、半額になったエロマンガを一冊バスケットに入れた。
犬「フルエルクチビル」
オレは犬さんの作品「初犬」をすでに全巻持っていた。アレはたいへん寂しさが消し飛ぶ作品だった。だから半額で売っている以上、オレが買わない理由はなかった。
表紙の時点でだいぶ煽情的、裸エプロンで寝そべり、唇に当てた指がオレの感情を刺激する。そして下のほうに目を向けると恥骨とパンツの隙間がオレの心に突き刺さる。オレの好みを知ってやがる…。そんなはずのない妄想をついついしてしまう。
表紙をめくり本編「放課後マリアージュ」がはじまる。先生と生徒、ついつい先生が魔が差し生徒を襲ってしまう。そこからはじまる破滅的な関係。カラーと白黒にまたがるこの話は、かなりいける。だがこの話はメインではない。イケルしイっちゃったが、オレは表紙の女の子「コン」がヒロインの話「fuzzy lips-ファジーリップス-」に移る。
いきなり職員用トイレで抱くシーンからはじまる。ボタンだけ取れて開かれた制服の破壊力は抜群だ。先生はコンちゃんを乗せて激しくピストン!だが何となくそういう関係になってしまったので、互いの気持ちに疑問を感じてしまう先生。チクショウ、激しくやっときながら考える余裕なんて持ちやがって…。一発ぶちかまして話は先生の家に続く。
シャツ一枚パンツ一枚で作業中の先生をさそうコンちゃん。集中できんわと蹴っ飛ばす仲睦まじい光景を見せつけていく。コンちゃんは頻繁に先生の家に出入りしてるらしい。先生は素行不良だったコンちゃんに構っていくうちに一線を越えてしまった。だがコンちゃんの本心がわからぬ先生は、ついになんでオレと一緒にいると尋ねる。逆にコンちゃんは何でいさせるのか尋ね、ついにはキレて出ていこうとする。修羅場だ!どうしたと引き留める先生に、バカな人には教えないと無視するコンちゃん。言わなきゃわからんと言う先生に、先生も何も言わなかったといい返すコンちゃん。
「(そうか、わからなかったのはオレも一緒だ、はっきりさせることで壊しちまうのが恐くて)」
「オレはな、お前が……す………き…」
「…最低っ」
ガッツリ飲み込むコンちゃんに、しっかりベロベロする先生、お互い罵倒しあいながらも、やることやっちゃう仲直りセックス!しっかり濡れたところでずっぽりハメていく!相変わらずグチャグチャだとか、そっちこそカタいじゃんとか言い合いながらもセックス!セックス!イきまくり!そして
「…ねェ先生、いってよ…、もう一回ちゃんと」
「…好きだ」
ハッキリクッキリいってさらに体を求めあう!WHOOOO!やるぅ!そして次の日
「…で結局、お前はどう思ってんの?」
「私はもちろん先生のこと、す……」
「す…うどん」
くだらないギャグを飛ばし、恥ずかしくハッキリ言えないコンちゃんの顔が何ともたまらない。この後晴れて恋人同士になった二人がデートする話と、最初の話よりちょっと前の話。そして別の本「ガールズショック」でコンちゃんの卒業式の話で「fuzzy lips-ファジーリップス-」の話は終わる。
フルエルクチビル自体はこの後、中二病でお兄ちゃん大好きエッチな妹の話に、乱交する部活動と不思議な少女七原ミズキのお話「RED」が三話、そしてエロマンガメタ的なお馬鹿な話が続く。
最初に破滅的な先生と生徒の関係を描きながら、次にラブい関係を描くという展開はカタルシスがある!
お気に入りの作者だっただけに俺の中の寂しさはかなり吹き飛んだ。明日は何もない平日に戻り、そして年の終わりに近づく。クリスマスには何もない男でも年末には県外の友達が帰ってくる。数少ない大切な友人だ。俺はそれをもてなすために散らかった部屋を少しでもきれいにしようと掃除をはじめた。
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