12月21日 大嘘 女忠臣蔵

 おれは扉を閉め鍵をかけ時刻を見る。明日まで5時間、やることは色々とある。メシ、フロ、明日の準備、必要なことばかりだがおれが最初にやったことは、前に投稿した話がどうなってるか見ることだ。


 星がついている、応援がついている。おれはまだはじめたばかりで、これがどれほどの意味を持っているか知らない。だが読んでくれた人がいる、おれの文章はだれにも見られず、暗黒の虚無に吸い込まれることはなかった。その事実がむねを小躍りさせる。


 感慨深くおれはパソコンのまえでしばしたたずむ。このままでは何もせずに明日を迎えてしまうだろう。おれは高ぶりを抑えるためにDMMを開き、半額になったエロマンガに目を通す。冬の半額キャンペーンで数がかなり多い。大量のエロマンガに目を通しながら一冊の本をバスケットにいれた。


 GEN「大嘘 女忠臣蔵」


 サンプルに目を通した感じは歴史上の人物の女体化でふたなり。中々良さそうだと購入して読んでみると、最初に忠臣蔵の軽い説明がある。知らない人もいるかもしれないから軽い説明は必要だろう。だが次のページをめくると異常に項目のある目次が現れる。おれは嫌な予感がした。


「無限に広がる大宇宙」

「大嘘女忠臣蔵は時代劇のアレンジではなく宇宙がぶたいのSF(すごいファンタジー)です。」


 この後この世界の科学技術文化説明、女の子は好きにちんこを生やせます、切腹するはずの内匠頭が吉良上野介に捕らわれ犯されている、登場人物たちの解説等々の設定の話が100ページ近くあるという濃厚さ。おれの高ぶりはすっかりこのぶっ飛びに当てられ消えていった。だがついにエロマンガパートがはじまりおれの感情がよみがえる!


 いきなりはじまるフタナリセックス!ここまで待たせた以上チンタラした展開なしで飛ばしていく!女体化された大石内蔵助が子である主税を犯す!近親相姦ネタは苦手なのだが、もうそんなことはどうでもいい。濃く激しいセックス!おれの感情も激しくなる!ひたすら続く激しいセックス!ついに俺の感情が爆発する!

 爆発した感情が落ち着きを取り戻し、おれはまたページをめくる。このあと3つほどマンガがつづき、その後一枚絵と文章でストーリーがつづられ物語が終わった。

 あとがきを読むと元は同人誌のものであり、それをまとめ修正したのが今回のものだ。元同人ということを考えれば今回の類をみない構成はよくわかる。作者の趣味の爆発だ。全編をマンガ化したいという希望があるようだ。おれもそれは読みたい。今回はマンガ部分だけ見れば短かったが非常に読みごたえはあった。



 時刻に目を向けると明日まで3時間。マンガ探しに時間を掛け過ぎたか。軽く体を伸ばしてから、おれはパソコンの前から立ち上がり、次にやることに取り掛かった。

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