第15話
「ウッホーッ、今度は、エアーサーフィンかよっ!? 一難去ってナントカやらか~」と早乙女。
ヘリが安定感を取り戻した時にニースリーを見た。
六階の渡り廊下を無くした建物は、まるで炎の十字架に見えていた。
ふと早乙女の口から、つぶやくように言葉が漏れる。
「何だ。 季節外れのクリスマスか〜!?・・・・・・神様も季節感無いね〜・・・・・・とんだ演出だ・・・・・・!?」
心の中でも喋っていた。
( 生き抜いて行くのは、難しいんだよ。 そう簡単には、名を残させねぇーよっ )
「今日、朝早く稲穂地方 高羽尾の・・・・・・」
「本日未明 陽炎県 稲穂市 高羽尾のデザイン建築ビル "ニースリーデポン"にミサイルが撃ち込まれ・・・・・・ビルがテロに乗っ取られた可能性があるかどうか・・・・・・!?・・・・・・ミサイルの誤射か・・・・・・!? どこから飛んで来たものなのか・・・・・・!?」
ローカルニュースでも、全国ニュースでもニースリーデポンの無音の "炎の十字架!?" が映し出されていた。
大型の緑野総合病院の急患出入り口の方ではなく、直ぐ横の病院出入り口に沿った路地に丸みのおびた白と赤のシャレタ未来型パンダは、停まっていた。
たまたま急患出入り口に向かおうとしている途中で、不審な救急車を発見したのだった。
距離およそ三十メートル。 二十六歳の内科医師 保田 友梨だけが誰も居ない、車内の電器の付いた救急車に気付いたのだった。 そして近付いて辺りを見て、乗り込んで車内を見ていた。
そして不審な顔をして出て来て、数歩 歩いた時だった。
車が突如、豪炎に包まれ、突風と炎と共に多くの注射器とメスと点滴チューブがシュッシュッ、シュルシュルシュルと音をさせて友梨の体を目掛けて襲って来たのだった。
「キャーッ!?・・・・・・」 という言葉が出る筈だった。
凄まじい程の風に飛ばされ、丸っこい草木にぶつかった。
そして瞬間的に目を瞑り、顔をかばい、倒れた、爆炎と爆風によるショック死。
しかし、その後は、車すら無く、以前と変わらない風景が目の前に映っていたのだった。 ( だから関心を持つなって・・・・・・ )
暗く・・・・・・雨水が垂れ・・・・・・床に湖ができ・・・・・・。 壁を黒く焼いたニースリーデポンがその場にあった。
切れ者のナンバー1とナンバー2の鏡 春令と剣先 学が、二階のホールに立っていた。
懐中電灯をつけて、辺りを食い入るように見直す。 昔から、言われる現場百回を地でいき、温故知新をわきまえたクールな男達だった。
白い手袋をしてライトを当てたり、写真を撮ったり、覗いたりしていた。
気に成る物を見つける。
天井に円状の何かを発見したのだった。
鼻も微妙に血!?の臭いを嗅ぎ取る。 そして感!?
仕事用の箱を開け、スプレーを回して吹き掛けた。
続いてオルタネイトライトを当てる。
すると中空にルミノール反応・血痕・青い雫が四方八方に、また下から上へ垂れているのが判った!? 同時に
「うっ・・・・・・!?」
言葉が重なり、二人共 目を合わせた。
頭上から静かに一メートル弱位の半透明のキンコジ ( ソンゴクウの頭にはめられていた輪 )が、通り雨のように回転しながら、二人を急襲したのだった。
異空間に飛ばされる!?
スパンッ、スパンッ、聞き覚えのある乾いた音とガラスの割れる音と物の壊れ散る音と叫び声と唸り声・・・・・・!?
二人同時くらいにおもむろにカウンターから顔をだした。
四十〜五十匹位のゾンビが、こちらに
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