「うあああああ!!!」



 張り上げた叫びは、どんな感情によるものだったんだろう。

 分からない。

 恐怖だったのか。悲しみだったのか。それとも怒りなのか。


 はたまたなけなしの勇気を鼓舞する為なのか。


 喉が裂けんばかりの絶叫は、でも国の騒ぎの中にはあっさりと掻き消される。


 其の後オレは必死に走った。ただひたすらに。

 道中で見付けた無事な人達を連れて、背後を振り返る事はせずに。

 きっと後ろを見たらオレはもう2度と走れなくなってしまうから。だからオレはひたすら走った。

 父さんから授かった武器と防具の重みを両腕に感じながら、しっかりと抱えて。


 絶叫、悲鳴、嘲笑、爆音。


 そうした、オレの国を支配していた喧騒が一切聞こえなくなっても尚、オレは壊れたカラクリの様に足を動かし続けて、兎に角走り続けた。

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