二日目⑤

 見学を終えると、サクヤたち参加者は市場を抜け、船着き場から大勢乗れるラウンドボートに乗船する。

 バスケットのような形状で、竹で編まれている。

 お椀の船に乗った一寸法師の気持ちが体感できそうだ。

 ここで、もうひとつの参加グループと一緒になり、サクヤはその中に韓国人の女の子が二人いるのを発見した。


「英語しゃべられへん仲間が」


 つかの間によろこんだ矢先、サクヤは彼女たちの言葉を耳にした。

 ネイティブスピーカーみたいな英語を話している。

 思わずサクヤは顔をしかめた。


「ひ、卑怯者ーっ」


 これぞまさしく一人旅の寂しさよ、胸の内でひっそり自由律俳句を読み上げた。

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