二日目④

 チャンフー通り、ホアンジエウ通り、バクダン通りの三つの通りに面しているホイアン最大級の市場から、料理教室ツアーはスタートした。

 日用雑貨やお土産物、野菜やフルーツ、ずらりと台に並ぶナイフで捌かれた赤い肉、獲れたての生きた魚など多くの品が並んでいる。営業は早朝から日没まで。多くの外国人観光客も、買い物や写真撮影をしている。

 ここで食材を買い込むのかもしれない。サクヤはガイドのお姉さんに近寄り、訊ねた。


「Do you buy food in this market?(食材はこの市場で買うの?)」


 すると、料理教室の近くにもっと新鮮なものが売っている店で材料は購入済み、と答えが返ってきた。

 ガイドのお姉さんは、売られていたビンロウの説明をし始めた。

 台湾には幾度と訪れているサクヤは知っている。大陸よりも台湾でメジャーな嗜好品の一つだ。タバコと同じような存在ではあるが、依存性があり、人に対して主に喉頭がんの危険性がある。バンコクやバリ、上海や香港、シンガポールのインド街にも売られていたのを見たことがある。知識として知っていたが、そうでなければ英語の説明だけでは理解できなかったかもしれない。

 つぎに、ベトナム中部ではあまり野菜が育たないと教えてくれた。

 ベトナムは南北に長い国である。北部はハノイ、南部はホーチミン、中部ではダナンが中心都市である。中部は高温多湿で、とくに雨が多い。九月から十二月の雨季には、毎年洪水災害になるほど雨量が降っている。二〇一六年の十月からは、くり返し大雨洪水に襲われ、十二月にも熱帯低気圧の影響から、季節外れの豪雨に死傷者も多数でている。

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