桜月二十一日

八日目①

 目覚めたときあなたのベッドは空っぽ、と歌ったアニメは何だっただろう。

 サクヤは横になったまま、隣の空いたベッドを眺めていた。朝から暖かく、窓からみえる空は白く霞んでいる。

 昨晩は体調がすぐれず、トモの言うとおり帰ればよかったと後悔したが、目覚めてみると体が軽い。サクヤはすこぶる元気になっていた。


「七日間も友達とずっと一緒にいたのがストレスになってたのかな」


 独断専行するキョウに気配り、渡航ビギナーのカコに気を遣い、気兼ねないトモであっても気疲れすることもある。仲がいいならなおさらだ。


「それとも、わたしが一人旅に慣れてるせいかも」


 両腕を天井へ突き上げて背筋を伸ばしつつ、サクヤはあくびする。

 寝ぼけ眼をこすっているとお腹がなった。

 そういえば昨日の夕食はシャコしか食べていない。

 元気になったのなら栄養補給は必須。

 サクヤは目をこすり、朝食を食べに出かけた。

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