三日目②

 ホテルに戻ったサクヤは、階下のオープンスペースで、キョウと朝食を食べはじめた。

 二人はミークアンとコーヒーを選ぶ。

 ミークアンとは、きしめんのような太く平打ちの米麺に肉や魚介、トマトなどを煮込んで作った出汁をかけ、豚肉やハム、エビやレタス、卵の具がのる料理である。


「味付けは薄味ね」


 口に入れたキョウの言葉にサクヤはうなずく。


「麺はカオラウとくらべると柔らかく、うどんに似て、もっちりしている。日本人ならおいしいと思うにちがいない」


 ミークアンのミーは小麦粉、クアンは、ダナン市クアンナム省のクアンが語源である。米粉から作る麺なのに小麦粉のミーと呼ぶのは、小麦粉から作った麺みたいだから。

 サクヤはせんべい状に揚げたライスペーパーを砕き、混ぜて食べてみる。


「これはいい。食感が楽しめて」


 キョウもサクヤのマネをしつつ、青唐辛子も入れてみた。


「青唐辛子は味が引き締まるよ」

「ミークアンは、他の具材を入れることで、美味しさを楽しめるのか」


 ホイアン最後の食事に、二人の心は踊った。

 サクヤたちはチェックアウトを済ませ、次なる目的地ダナンへ向かう。

 そこで友達と合流する予定だ。

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