一日目⑦

 荷物を受け取った二人は、迎えにきてもらうよう手配しておいたホテル側のドライバーと空港出口で合流した。

 ちょっとムッとする甘いような匂いに、サクヤは人差し指で鼻の下を触る。


「Where is the money exchange?(両替所はどこですか?)」


 中学生レベルの英語でサクヤが話すと、ドライバーは二人を両替所へ連れて行ってくれた。だが、両替場は到着した旅行者で混雑しており、どれだけ待てば順番がまわってくるのかもわからない。

 顔をしかめるキョウは、サクヤを見てくる。


「どうする?」

「他に両替できるところがないか聞いてみよう」


 サクヤはつたない英語でドライバーに訊ねると、ホイアンでもできるとの言葉を聞いて安心し、車へと乗り込んだ。

 とはいえ、ホテルに着くころには暗くなっている。両替所の営業時間外なら両替できない。本当にできるのだろうか。

 疑念が残りつつも、ドライバーを信じ、二人はホテルへ向かった。

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