一日目②
保安検査場と出国審査を終えた二人は、これから海外に旅立つ者だけが利用できるスターバックスコーヒー関西国際空港エアサイド店に立ち寄る。
この店舗が空いてるところを、これまでサクヤは見たことはなかった。普段は混雑を避けて利用しないのだが、誕生日祝いでもらった電子チケットを持っていたし、なにより寒かったのでサクヤはホットコーヒーを注文した。
「表示価格は税別になっております」
愛想笑いをする店員にサクヤは目を細め、かるく首を傾ける。
「む、そうなんだ」
店員に支払いを済ませたサクヤは、口を歪めながらキョウの待つテーブル席へとホットコーヒーを持っていく。
「キョウ、おかしくないか?」
キョウは、呑気にスマホで自撮りし、すかさずインスタグラムにアップしていた。
「なにが?」
「なんで出国後なのに消費税、いるんだろう」
出国審査が終われば国外扱い。ブランド品や化粧品、香水やタバコ、お酒などが免税となり、普段購入してる価格よりもお買い得な金額で購入できるはず。
キョウはスマホ画面と向き合い、右の人差し指を動かすのをやめない。
「スタバの価格は免税じゃないから」
「まじでか」
頭に冷水をかけられたような気になっていくサクヤに、キョウは素っ気なく言い放つ。
「一般エリアと同じで通常の税込価格。品揃えも普通の店と代り映えしないよ」
サクヤは肩を落とし、だらしなく口を開けて息を吐いた。
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