吟詠旅譚

里見透

序章

序章

世界が混乱にうちふるえる間、

人々は、それに打ち勝つ英雄を求めた。

 

天の加護と地の恩恵と、

そして、何より人々の願望を受け、

その英雄は武器を取る。

 

しかし世界に平和が訪れた時、

英雄は歴史の表舞台に立つことを許され得なかった。

 

平和な世界に、

力を持ちすぎた者の存在は受け入れられなかったのだ。

 

――物語の始まりは数千年の後、

誰もが英雄の存在を忘れた頃にやってくる。

 

少年達は道を求めて、

まるで英雄の影を縫うように、

ひっそり静かに歩み始める。

 

理由なんて、ここにはない。

打ち捨てられた英雄が、

それでも尚、己が世界を愛したように。

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