第9話 最弱の治療は薬師レベル
9話
私の名前はオリマ、学園に行き、勉強して、家に帰り寝るのが、習慣だが、そんな私の楽しみは、口をあまり聞かない私に友達が話しかけて来てくれることだ。
「私、ザタンくんにキスまで行きそうになったんだよね~♪」
「私は、ダーリンに私の全てを見せたぞ」
「ちょっと2人とも、よそうよ」
ザタンがまだ来ていない教室でザタンとどこまで言ったかの自慢がおこなわれている。
「そんないきなり関係を望まないで先ずは弁当から支給するほうが、ザタン君も喜ぶと思いますけど、オリマさんはどう思います?」
「確かにオリマさんの意見も聞きたいよね♪」
「私もだ」
私は本を閉じて皆に視線を合わせる。
「勉強」
「「「…………」」」
「変?」
「いやいや、そんな発想はなかったですね」
「私も♪」
皆は気を使ってくれている。
普段口数は少ないがリアクションもする時はするこの私を。
「お~す……」
ザタンが教室に来た。
私以外の三人がザタンくんに群がり、誰がタイプか決めてもらおうとしているのでザタンくんは頭を掻いて困っている。
私には関係のない話だ。そう思っていたのだが……。
「そうだな……。好きなタイプはオリマかな」
(え~!!!私!?)とオリマは心の中で驚く
「なんかオリマさん顔が赤いけど大丈夫ですか……?」
「幻覚」
デレをなんとか誤魔化したオリマ。
「ところでダーリン、なんでオリマさんがタイプなんだ?」
「なんか落ち着いていてかわいいじゃん」
プシュー!!と頭が煙が出るオリマ
「髪型とか眼鏡も良いよね。あと姿勢とか?」
テレ過ぎて顔が真っ赤っかになり倒れるオリマ
「大丈夫かオリマ?」
ザタンはオリマーに近づいておでこに手を当てる。
「熱っ!!スゴイ熱だ。俺、医務室に運んでくる」
「私たちもいきましょうか?」
「いいや、いい。お前たちは先生の授業受けろよ?あとで戻るからな?」
オリマをお姫様だっこで運ぶサタンにオリマは頭から煙が出まくるのであった。
医務室に運びオリマをベッドに寝かせて布団をかける。
「待ってろ、今熱冷まし持ってくるからな」
カーテンの仕切りを閉めて、自分のポケットから熱止めの薬を出してコップに水を入れ、ピットの寝込んでいるカーテンの仕切りを開ける。
「大丈夫か?オリマ」
うなずくオリマ
「ほら、熱冷ましの薬だ。これを飲めばすぐ治る」
オリマは体を起こして薬と水を飲む。
「よし、飲んだな?もう一度寝てくれ、あとは寝れば治る」
オリマはふたたび横になり、布団をかける。
「俺さ、今日は授業出ないよ」
私は(そんなことしたら先生に怒られるのに?)と思う。
「大丈夫、言いたいことは察知出来る。心配ない」
(あのときミッドを助けたのは紛れもなくザタンくんだった。けど、私たちはザタンくんが最強であることはあの日から問い詰めないことを約束して、いずれは自分が話してくれることを信じていたんだ)と私は思っていると、
「わかった、本当のこと話そう。あいつらにも時が来たら言うつもりだしな。聞いてくれるか?」
オリマはうなずく
「俺、実はワリンに嫌われたくないがためにこんなことやってんだ」
(なぜ?そんなことを?)
「あいつ、5歳の時に『強い人嫌い、弱い人なら守りたくなるから付き合ってあげてもいい』って言い出してさ、それが原因で両親に戦闘が向いていないと思わせたんだ」
(…………。)
「そして、10歳の時に『私、強い人は嫌いだけど、頭は良い人がいい』って言い出してさ、元々記憶力がよかったから、勉強もいつも1位で、すんだけどな」
(でも、最強なら最強で正直に言えば……)
「それは出来ない。俺は昔ワリンの両親にも世話になっているんだ。俺はワリンの両親に大きな借りがある。借りを返す前に最強だとバレて絶交なんかされて借りを返せなくなったら自分が嫌になる。」
(だから将来の支援も安心できるこの学園に……)
「あぁ、本来なら俺もワリンと同じ先生になってたが、もし俺が先生の立場だったならこうしておまえたちにも会えなかっただろうし、お前たちを助けてやれなかった」
(そうだったのか)
私はそう思うと脳内に何かが見える。
それは将来ザタンと幸せに一緒に暮らす予知である。
「どうしたんだオリマ?」
「何も」
「ならよかった。どれ?おっ、熱も冷めたな。でも振り返すかも知れないからなまだ寝てろ、俺はやっぱり授業に戻るとしよう、殴られたら痛いしな」
「ありがとう……」
「何かあったらこの無線で呼べ、授業中であれ駆けつけるからな?元気になったらまた話そう」
俺はグッドサインをして出ていく
「ん?誰かの気配がしたような気がするが……まぁいいか」
ザタンの声とは逆の方向の曲がり角に隠れていたワリン
「嘘……私のせいでザタンは最弱を貫いていた……?」
真実を知ってしまったワリンであった。
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