第8話 最弱はウルフとデートする

8話

俺とミッドは放課後待ち合わせることになった。


誰かに見られている気配がするので後ろを見ると、明らかに不自然な草むらがそこにあったので、(隠れられてねぇだろ)とツッコミをいれると、


「ザタンくん♪」


「おっ!早いな……って、マジかよ……」


俺はおめかしをした彼女を見て驚いた。


普段知っているミッドの姿では無く、明らかに美人の域を越えている。


「どうかな♪」


「味噌汁作ってくれ……」


「え?」


「いやいや、なんでもない。スゴイ可愛いよ」


「ありがとう!♪」


ミッドは喜んでいる。


「さぁ、行こうか」


俺はミッドの手を取り、エスコートする。


先ずは遊園地でデートをする。


コーヒーカップ、ジェットコースター、お化け屋敷など色々遊んだ。


「楽しかったけどもっと遊びたいな♪」


「だな、俺もまだ足りないしな、水族館行こうか」


「うん♪」


ふたたびミッドの手を繋いで水族館で魚を観賞した。


たまにミッドが水槽で泳ぐ魚を見て「美味しそう♪」とよだれを垂らしていたが、いつか捕ってやると約束してその場をしのいだ。


そのあとはミッドがイルカショーの手伝いをすこしして、観客を盛り上げさせた。


外に出るとすっかり暗くなっていた。


「今日は楽しかったね♪」


「あっ……」


「どうしたの?♪」


「そういえば俺たちあのストーカー野郎にデート監視されてたんだった」


「さすがにあれだけ楽しんでいたら、私たち恋人同士に見えたのかもね♪」


俺は気配を探った。


どうやらまだ俺たちを監視している、そのことをミッドに伝えると……。


「え~……まだ諦めてなかったの?」


「あぁ、どうやらアーチに教わった最後の手段を使うときが来たようだな」


「えええええええ!!もしかしてキス!?」


「ダメか?」


「い、いや、でも心の準備が……」


「大丈夫、俺を信じて目を瞑ってくれ」


ミッドはその言葉を聞いて、デートの楽しい出来事を思い出して、この人なら信じても良いと思った。


ミッドは目を閉じる。


俺はストーカー男にキスしているように見せようとする。


「ちょっと待ったあ!!!」


我慢できずに飛び出してきた。


「やっと出てきたかストーカー男」


「ミッドちゃんとキスなんて認めないぞ!」


ミッドは状況に気づき目を開けて、すぐさまザタンの後ろに隠れた。


「もう私たちが恋人だってわかったはずよね!?」


「黙れ!こうなったら彼氏のお前を殺して強引に俺の彼氏にしてやる」


気のオーラを高めて一瞬で距離をつめてかかってくるが、俺は攻撃を受け流して腹にヒザ蹴りをする。


「グハァ!バ……バカな!強いだと!!貴様はEクラスの中では最弱のはず!」


「やれやれ、今なら本来の力を出せると言った所だ。さぁこいよ。貴様の動きは見切った」


「フハハハハ!な~んてな」


ストーカー男はボタンを押すと地面から植物のようなものが現れてミッドを捕捉する。


「何よこれ!」


「ハハハハハ!ざまぁ見ろ。もう人質をとったようなものだ」


俺は拳を構えると、


「おっと攻撃するなよ!俺を攻撃したならその植物が、ミッドちゃんを連れ去るぜ!!」


「なるほど、考えたな。しかし、お前はもう負けてるんだよ」


「はぁ!?何を言ってるのかな?お前はとっくに終わってるんだよ。降参しろ……グフッ」


口から血を吐き出すストーカー男


「な……なぜだ?ヒザ蹴りの攻撃あとはなにもくらってないはず……」


「覚えておくがいい、俺は普段は弱小の皮をかぶった男だぜ?……と言うも貴様はモンスターだから覚えてもらう必要はないか」


人間の姿から変異して現れたのはオークであったが、ストーカー男の正体であったオークは力尽きた。


ついでに植物はミッドを離して地面に帰った。


「ふぅ~ミッド大丈夫か?」


「うん♪ザタンくんが守ってくれたから♪」


「はぁ~ついに正体がバレちまったな。最低でも1年ぐらいは設定をつらぬこうとしたのによ」


「スゴイよザタンくん!♪本当は強かったんだね!♪」


目を輝かせながらしっぽをふるミッド


「あぁ……」


俺は頭をかかえるとアーチ、ロージ、オリマが草むらから出て来た。


「お前ら、来ていたのか」


草むらに隠れていたのは知ってたがしらをきる


「ダーリン!」


ロージはザタンに即座に抱きつく


「ローちゃん……。」


空気が少し重く感じを悟ったのかアーチが口を開く


「どうだったミッドさんデートは?」


「もちろん楽しかったよ♪ザタン君はまた私とデートに機会があれば行くって行ってくれたし♪」


「ダーリン、そんな約束したのか!?」


「え……あ……」


「欲望」


戸惑っている俺にオリマはツッコム、しかしこの流れとは別に、ある女性は……。


「お嬢様、もうすぐザタン様が所属している学園に到着します」


メイドはカップに紅茶を注ぐ


「もうじき会えるのね。私の昔の友に……」


ヘリに乗り、ザタンのいる学園に向かっているのであった。

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