第3話 クラスの子達にも最弱芝居をしておく


3話

1日で退院できた俺は早速、学園に向かった。


(ふぅ~、人間様に手加減して勝つのも難しいな……)そう思いながら歩いていると、


「遅刻遅刻~!!」


パンを加えながら走ってきた女の子が俺にぶつかる。


「キャッ!」


鞄のチャック開けっぱなしなので教科書などの荷物が散乱して空中に飛び交い、後ろにこけようとしていた。


しかし、ザタンは他人には目の見えぬスピードで空中に飛び交った荷物を手に取り空きっぱなしになっている鞄に教科書を戻しチャックをして、後ろにこけそうになっている女の子を起き上がらせ立たせる、この時間僅か0.5秒!


「あれっ?あれ?今こけそうになってたのに……」


「よそ見していて悪かったな」


「えっ……と、こちらこそぶつかってごめんなさいごめんなさい」


ペコペコと何度もお辞儀をする女の子、俺は先程ぶつかり空中に飛んでいたパンを受けとり女の子に渡す。


「ありがとうございます。お詫びに何かを…………って!こんなことしてる場合じゃなかった!遅刻するぅ~!!!」


猛ダッシュで去っていた女の子であった。


「遅刻……?まだ30分もあるじゃないか……。あの子もしや天然だな?」


俺は彼女がいずれ気付くと信じて、俺も指定されたクラスに行く。


俺のクラスはE組、クラスの振り分けはそれぞれのランクで決まる。


俺はヘロヘロになりそうな演技をしながら審査員を倒したのだから、低ランクですんだのだ。


計画は順調といったところだ。


俺は教室に入るとすでに3人の女性が座っていた。


全員がこちらを見てきたが、顔見知りが1人いた。


その1人はさっきの天然の子である。


「あっ!」


指を指してきた


「君はさっきの……」


「えっ!何々?2人とも知り合い?♪」


興味よさそうに天然の女の子の隣に座っていた尻尾をぶるんぶるん振りながら聞いてくる女の子


「うん、さっき遅刻になりそうな時に、彼とぶつかって荷物が飛んだと思ったら、何事もなくてね?」


「意味不明……」


ツッコミを静かに入れる眼鏡のかけた女の子、……と言うかまだ遅刻のこと気づいてなかったのか、そう思った俺は彼女に教えることにした。


「遅刻だって言ってるが、まだ25分前だぞ?」


「えっ?だってこの時計正確に……。しまったぁ!電池切れだった~!!」


まるでイエローカード出されたサッカー選手のように頭を抱える天然の女の子


「気づいて良かったと言うことで、全員揃ったし自己紹介しないか?」


そういうとみんなが賛成してくれたのでまずは俺から自己紹介をする。


「俺の名前はザタン、父は伝説の勇者、母は幻の召喚師……だけど俺は戦闘のセンスがない。将来は一夫多彩結婚して、全員を幸せにすることだ」


戦闘のセンスがないと嘘をついたが、3人は信じてくれたみたいなので拍手をする。


「じゃあ、次は私ね。魔女の里から来ましたアーチです。皆さん私と仲良くしてほしいな」


アーチ 魔女 Eランク 天然だが、ここぞと言うときに力を発揮する能力か……これで面接官を倒したんだな。と俺は分析する。


「次私ね♪私はミッド、ウルフの里からやってきたよ♪よろしく~♪」


ミッド ウルフ Eランク どうやら語尾に♪をつけるのがクセだが、獣化でウルフに変身出来るみたいだな。と俺は分析する。


「賢者の里から来たオリマ、よろしく」


オリマ 賢者 Eランク 口数は少ないけど、どうやら自分の考えたオリジナルの魔法を放てそうだ。と俺は分析する。


俺は女性たち3人のすぐ後ろ、つまりミッドの後ろに座った。


席順としては俺の座っている席から見て、左からアーチ、ミッド、オリマである。


「ハイハイ~静かにして~」


教室に入ってきたのは聞き覚えのある声だった。


「あっ!」


俺はつい声を出してしまった。


「へぇ~偶然もあるものねザタン」


そう、俺の幼馴染みが先生として教室にやってきた。


「もしかしてザタンさんお知り合いですか?」


アーチがビックリした表情で見ながら聞いてくるので俺はうなずき、


「あぁ、俺の幼馴染みのワリンだ」


「え~!!!なんで幼馴染みが先生やってるの~♪!!」


「意外」


「コラ、私は今日から先生なんだから名前で呼んだら、承知しないわよザタン」


「あいよ先生」


俺は適当に返事をして、身振りをする。


そんなこんなで授業を開始するのであった。

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