第3話
口調はいつもの宗くんみたいに穏やかだったのに、その瞳は見たことがないほどに鋭かった。
「え?でも…。」
私がおどおどしていると、宗くんがその瞳のまま近づいてきた。
何だか怖くて、反射的に目を瞑った。
すると、
(ちゅっ)
理解するのにしばらく時間がかかった。
え!?私今キスされたの!?
状況が理解出来ないまま驚いて宗くんを見ると、彼の瞳はいつもの優しい瞳に戻っていた。
「ごめんね。忘れて。」
彼が優しく言うので、本当にキスされたのだとわかった。
いてもたってもいられなくなった私は、顔を真っ赤にしてその場から走り去った。
はあ、はあ、何で!?
何で宗くん私にキスしたの!?
しかもあんな宗くん見たことない…
宗くんのあの瞳を思い出すと怖くなった。
「わっ!奈央どこ行ってたの!?探したんだよ!」
声がして慌てて足を止めると、目の前に香織がいた。
「あっ…ごめんごめん。いい場所ないかと思って、探検しすぎちゃった!」
いくら友人でも香織に話すわけにはいかない。
宗くんはいわば「クラスのアイドル的な存在」だ。宗くんを好きな子はいるだろうけど、「みんなの宗くん」にスキャンダルがあってはいけない。
「そうなの?向こうで亜子と描いてるよ!一緒に行こ!」
何とか平然を装い、香織に手を引かれて亜子の待つ場所へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます