第2話

ゴールデンウィーク明け、少しずつ高校生活にも慣れてきた毎日。

外はぽかぽか暖かくて、少し動くと汗ばむ季節。

太陽も元気いっぱいで、清々しい陽気のある日、私たちは写生教室で、課外授業に出かけた。

学校から電車で30分。

青々とした木々と花が咲き乱れるこの丘は、今回の写生テーマの「自然の風景」を描くのにぴったりだ。


みんなそれぞれ何処で描こうかなーと構図を練っている。

私も決めて、さっさと描かないと。絵はあまり得意ではない。

そうやってきょろきょろしていると、視界の端に宗くんが見えた。

と思ったら、すっと人影のない方へ行ってしまった。

宗くんどこに行くんだろう。


宗くんの後をこっそりついて行くと、誰もいない見晴らしの良い広場に出た。

「わあ!ここすっごく綺麗だね!遠くに海も見えるし!私もここで描こうかなー!」

ちょっと無理して、わざと明るい声を出すと、宗くんがビクッとしてこちらを振り向いた。

最初は驚きの目だったのに、すぐさま冷たい瞳に変わってこう言った。

「ここは駄目だよ。」

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