夜ごと日ごとに

雄牛の姿をした母が、台所で涎を垂らし飼葉をんでいる


この土地で 夜ごと日ごとに かき抱く


群れは死を迎えている

どんなに追い払っても去ってくれない

忌まわしくも優しい死が、戸口で佇んでいる

壁の隙間から伸びる影に覆われる、群れ


「おかあさん、葬式をしていたよ。誰のだろう」

雄牛の姿をした母が、跳びあがり涎を撒き散らしながら叫ぶ

「おまえのだよ!」

そうして大きないびきをかいて寝てしまう

台所ごと 雄牛は飼葉に覆われる

もうなにも見えない


わたしは群れに戻ろうとした

右の群れには、ベッドがない

左の群れには、窓がない


わたしは夜ごと日ごとに 抱きしめる

すでに海は失われ

新しい夜が欲しかった

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