第2話
僕には妹がいる。しかも年子の妹である。
忘れもしない3年前、僕は妹と同じ中学に行きたくなくて、「お前頭いいんだろ?どっか受験してくれよ」と妹に言った。世の兄妹はめっちゃ仲いいかそれとも同じ家に住んでるだけの他人かに分かれると思うんだが、僕たちの関係は明らかに後者だった。そしたら、その兄妹の話を聞いていた母親が「お母さん別々の中学の行事行くのとか大変だから、一緒の中学行って。高校とか大学はまあ仕方ないにしても中学とかある程度一緒で何も問題ないでしょ。
ちなみに僕は中学入試自分では結構解けたんじゃないかと思ってたけど、見事落ちた。妹?お前この流れでわかんないのかよ、妹は受かったわ。しかも首席で。そのため、僕のささやかな計画は結果として叶ったのだが、僕は無性に悔しくて悔しくて家族が「まあお互いの学力にあったところに行くのが大事だしね、煉はそっちの中学行きたがってたし、あんたは違う中学行きたっかったって言ってたしよかったんじゃないの」と慰めてくれてむしろ辛かった。
そのため僕は、中学では絶対妹の行く高校に行ける学力を身に着けることに注力する3年間を過ごすことになる。結果良ければ全て良し!妹の行く高校に受かった。今思うと、高校の合格書もらって入学するまでが僕が自分は最強なんじゃないかと思えた唯一の時期だった。
高校入学、僕はすごくワクワクしていた。「今度は夢を追いかけるんじゃなくて夢を見つけにいくんだ!」って高校生活に無限の可能性を感じていた。寮生活ということで今までと環境が全く変わってしまうが恐れなどなかった。
そういえば妹に会うの久しぶりだな。あいつは勉強はできるし弁が立つので忘れがちだが、生活力がすさまじく低い。よく考えると、あいつ寮生活なんてできるのか?今までは俺が大体カバーしてやった記憶があるんだが。妹は長期休暇とか帰ってくればいいのにもかかわらず「飛行機乗りたくないし,そっちは特に変わりはないんでしょ?こっちは快適だし帰らない」と3年間全く帰らなかった。サービス精神とか人を喜ばせようとかそういう意思1ミリも感じさせないタイプの女だから仕方がないが。いや妹が帰ってこなくてこっちこそありがたい。
「久しぶり」
妹が迎えに来てくれた。
「おう久しぶり,元気だったか?」
「まあね。高校遠いから車乗って」
「わかった」
会話終了。非常によくある光景だ。久しぶりだから積もる話はあるだろうと思ったか?ないよ。
車に揺られて1時間半ようやく着いた。そこでようやく妹が口を開いた。
「高校では他人のふりして。決して私を見かけても話しかけないで。会いに来ようとするのももちろんやめて。あと私と兄妹って言わないで」
「俺だってあんまりばれたくないし言わねえよ。苗字鈴木だし基本ばれないだろ」
「約束よ」
「ああ」
なんで妹がこんなに嫌がるのか僕にはわからなかった。自分が拒否するのはわかるんだがなんで妹側がこんなに言ってくるんだ?反抗期ってやつ?くらいにしか考えてなかった。
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