引き出しの中戦争
稲庭仁人
引き出しの中戦争
ある日の夜中、なんの変哲もない自分の机に向かって、私は狩猟用のエアライフルを構えていた。辺りには緊張感が漂うが、物を言わない机に真剣な表情で銃を向ける男なんて、はたから見たらなにかの喜劇と見間違うのではないだろうか。
これには理由があるのだが、このへんてこな状況にその理由を知らない家内が出くわしたら、甲高い悲鳴の次に一一〇番通報だろうな。
ありえる、と私はふっと笑うが、実際にそんな状況になってしまったら目も当てられない。彼女はもうぐっすりと寝ているだろうが、もしかしたら起きてしまうかもしれない——掛け時計を確認するとちょうど午前零時。まだ時間には余裕があるし、少し様子を見てくるとするか。
最大の警戒をしながら、抜き足差し足で彼女の眠る寝室へ向かう。音を立てないように寝室のドアをそっと開け、彼女がしっかりと寝ているのを確認したら、また私はそろりそろりと書斎に戻る。
先ほど、なんの変哲もない自分の机と言ったがそれには少し語弊がある。
つい先日の夜のことだ。
その時、私は寝ていたのだがトイレに起き、用を足すために廊下に出た。するとガタンッと大きな音が聴こえてきたのだ。
普通はこんな夜更けに音がするなんて泥棒しかないと思う。だから私は急いで寝室に戻り、クローゼットにしまっていたエアライフルを静かに取り出し、恐る恐る断続的に聞こえる音の方へ足を向けた。すると、私の書斎に着いた。
おかしい、と私は直ぐに疑問を感じた。何故ならこの書斎は窓が多いがひとつひとつが小さく、とてもじゃないが大の大人が入れる大きさではないのだ。では、野良猫でも迷い込んだのだろうか、いやしかし書斎の窓はキチンと閉めたような……。
ならば、一体なんだろうかと私の中の恐怖は好奇心に負け、私は海外ドラマのエージェントさながらの動きで勢いよくドアを開け、エアライフルを構えた。
部屋を一通り見廻すが、本はすべて本棚に収まっていて荒れた様子はなかった。窓も締まっていて誰も侵入した痕跡はない。
そして気付いた。音の正体は野良猫でも、ましてや泥棒でもなく、机だったのだと。
より詳しく言うと、机に付属してある上から数えてふたつ目の引き出しが原因だった。どうやらそれが揺れて、机の本体に当たりガタガタと音を鳴らしていたらしい。けれど、おかしい。この引き出しの中には勝手に動くようなものは入っていないはずなのだ。
変な物を入れた記憶も無く、昨日までごく普通の引き出しだったそれを見て私は恐ろしくなった。私の中には恐怖の他にも好奇心は確かにあった。いっそ、その引き出しを思い切って開けてしまって、中身を確認してやろうと思った私もいた。しかし、いざそれに手をかけようとすると身体が凍り付いてしまってどうにも思う通りに動かず、引き出しを開けることはできなかった。
結局、その日はさっさと書斎から撤退してベットに戻り、机の音を遮断するように毛布を頭まですっぽりと被って私は未だに聴こえる引き出しの音に怯える夜を過ごした。
ひたすら碌に覚えていない般若心経を心の中で反芻していると、いつの間にか日が昇り始めていて、その頃にはその音は聴こえなくなっていた。
そして日が完全に昇り、明るくなってから私は再び書斎に向かう決心をした。
時間は立ち、昼間になってから私は再び書斎に向かった。
音を立てずにその扉を開け、警戒心をむき出しに机を目指して、そっと引き出しの様子を窺ってみた。だがそれはなんの変哲もないただの引き出しと化していて、ピクリとも動き出す様子は無かった。一安心した私はついに昨晩の元凶たる上から数えてふたつ目の引き出しに手をかけた。身を引きながらゆっくりとそれを開けていく。
限界まで開け切った引き出しの中身を恐る恐る覗いてみるとそこにはなにも無かった。いや、その言い方は正しくない。正確には怪しい物はなにも無く、いつも通りに整頓されていたのだ。
この引き出しにはもともと私の文房具が入っているのだが、揺れたことによってその中身はバラバラになっていると思っていた。
だから、ここまで整理されているということはあれは夢だったのではないかと私は疑い始めた。昨日は旧知の友人と久しぶりの狩猟に出かけていて帰る頃にはへとへとだったからだ。
そうだ、疲れていたのだからあれは夢だったのだ。そうに違いない。と私は自分を納得させ書斎を去り、いつもの日常に戻ったと思った。
しかし、その日の晩のことだ。私は寝ていたのだが、家内に揺さぶり起こされた。
「ねえ、あなた……、下からかしら? なにか聴こえて来ない?」
彼女からそう言われたとき、私はゾッとした。
「き、気のせいなんじゃないか?」
そんな筈はない。あれは夢だったのだ。これは彼女の勘違いに決まっている。そう考えながら私は耳を傾けると、ガタンッ、ガタンッ、またあの音が聴こえた。
「あなた、ちょっと様子を見て来てよ」
「わ、分かった」
そういえば今日は書斎の窓を閉め忘れた気がするし、野良猫でも忍び込んで来て暴れているのだろう。きっと、そうに違いない。あれは夢なのだ。大丈夫、大丈夫。そう自分に言い聞かせながら廊下を進み、音の原因がある書斎にたどり着いた。
どうか野良猫であってくれ……。書斎の扉に手をかけ、切に願う。ゆっくりと扉が開いていき、部屋の様子が見えていく。
机が、揺れていた。
息をのみ、その場から直ぐに走り出した。寝室を目指して上の階へ登り、廊下を駆け抜けた。そして寝室に着き、私は布団に包まった。
「どうしたのそんなに息を切らして……、もしかしてなにかいた?」
「……いや、なにもいなかったよ。風かなんかみたいだね」
「……そう」
家内には話してしまおうとも思ったが、何故かこの時はなんとなく、ただなんとなくだが、話さない方がいいと思った。
「もう、遅いし寝よう」
「そうね」
*
それから、昨日まで毎日その音が鳴り続けた。家内はその日きり音には気付くことはなかったことが救いだろう。
毎日音を聴かされ続け、私はあることに気付いた。あの音は午前一時ぴったりになると鳴りだすのだ。
そして、今日、このはた迷惑な音の原因を探し出し、それを鎮めることを私は決心した。現在の時刻は午前零時十一分、引き出しが揺れるまであと五十分ほどある。
まだ時間があるのに銃を構えるまで警戒しなくとも大丈夫か。
「ふう」と身体の力を抜いて、銃も机の上に直ぐに手に取れるように置き、お気に入りのレザーチェアに深く腰を掛ける。
時間になるまでなにもすることが無い。ただ時が来るのをじっと待つ。
そういえば、音の原因——引き出しの中ではなにが起こっているのだろうか? ある日を境に毎日毎日飽きもせず、この引き出しは揺れている。
風がどうこうで室内の大気の濃度があれこれしたのが原因で、一定の時間から特定の物が動き出すとかそんなよくドキュメンタリー番組で見るような自然現象なのか。それとも、ただ中に鼠が入り込んで夜な夜な暴れまわっているのか。はたまた、幽霊の仕業かもしれない。
……いや、馬鹿な考えはやめよう。私は幽霊やら宇宙人やらそんなものは全く信じていないのだ。そんなものいるわけがない。具体的な証拠もないのによくそんなものを信じられるな。
ちらっと時計を見るが、まだ午前零時二十分だ。
待つということは意外に長く、蔓延していた緊張感がほぐれ、睡魔が襲ってくる。いつもならとっくに就寝している時間帯だ。船を漕いでも仕方ないとはいえ、寝落ち対策と直ぐに動けられるように軽く関節などをほぐしておく。
そんなことをしているうちに午前零時五十分となった。
「そろそろだな」と机に置いていたエアライフルを手に取り、一定の距離を置き構える。辺りには霧散していた緊張感が再び戻ってくる。
あと一分になった。ごくりと大きく唾を呑む。
果たして、鬼が出るか蛇が出るか……。
——残り十秒。
例の引き出しがカタカタと小刻みに震え始めた。エアライフルの引き金に指を置き、しっかりと構え直す。
五、四、三、二、一、——零。
時計の秒針が十二時に当たり午前一時になった途端、引き出しは大きく揺れだし、机に勢いよくぶつかり、部屋に鈍い衝突音が響き始めた。
「すぅ、ふぅ」
深呼吸をしてその引き出しの取っ手に片手をかける。振動がかけた手から伝わって来て、腕が大きく揺れる。
「せいっ!」
私はそれをもう片腕も使い、揺れを懸命に抑えた。そして、そこから勢いよく引き出しを引く。
「いって!」
勢いよく引きすぎたせいで、引き出しを固定していた金具は外れ、私はしりもちを搗いてしまった。
「いてて……、そうだ、原因は⁉」
辺りを見回すと、引き出しは見事にひっくり返っていて、そこら中に文房具が散らばってしまっていた。しかし、原因のようなものは一切見当たらない。引き出しがあった場所に手をかざしてみるが、風もなにも無かった。自然現象が無かったということは鼠か。
ひっくり返っていた引き出しを表に返すがそこにも文房具があっただけだった。さては逃げたな?
「明日、鼠用の罠でも買ってこなくちゃならないな」
正体も分かったことだし、さっさと片付けて寝ようか。
まずは引き出しを元に戻そうとしたが、金具が折れてしまっていた。これは明日ホームセンターに行って鼠用の罠に加えて金具も買ってこねければな。床に置いた引き出しは取り合えず机の上に置いておくか。
そう考え壊れた引き出しを持った時、私はなにか違和感がしたが、特に気にせずにそれを持ち上げると、カンッと引き出しから木を叩いた良い音がした。なにかと思ってそれを見るとその中には一本の万年筆が入っていた。この万年筆は確か退社祝いで後輩たちから貰った高級な物だったはず。
しかしそんなことはどうでも良く、私は違和感を抱いたのは別にある。
なぜこの中に万年筆が入っているかだ。いや、これは引き出しに入っていた文房具のひとつだから入っていることは別段不思議に思うことはないが、問題はタイミングだ。
私はついさっき、ひっくり返ってしまった引き出しを元に戻した。当然ひっくり返ってしまったからにはその中身は空っぽであるはずで、物など入っているはずがない。もちろん、自分からも入れていない。そんなことも覚えていられないほど、私はもうろくしていないのだ。
だが、現実には入っていた。これはいったいどういうことだ? 俗に言う心霊現象とかか? いや、そんな非現実的な物なんて存在しない。するわけがない。
カチャ、と背後からなにかが動く音が聴こえた。私は驚いて引き出しを放り投げてしまったが、急いでエアライフルに持ち替え、振り返った。が、音が聴こえた先にはペンが一本落ちているだけだった。
「………」
気にしすぎだ。さっきの万年筆だって入っていたことに気付いていなかっただけで、なにかの拍子で入ってしまっていたのだろう。
もう夜中なのだ。早寝早起きが日課の私にはそろそろ限界が近づいてきている。
「ふぁ……あ」
寝室に戻ろう。部屋の片づけは明日すればいい。
エアライフルを机の上に置き、さっさと寝ようと思いながらドアノブに手をかけた瞬間、カチャ、カチャとさらに動く音が耳に入り、
「気のせい、気のせい」
きっと、空耳だ。眠すぎて意識が混濁しているのだ。と気のせいと自分に言い聞かせて、廊下に出るもドアの向こうからいまだにそのなにかが動く音が聴こえてくる。
なんなのだ一体。あの引き出しはどうしてしまったのだ。この部屋の中でなにが起こっているのだ……? いい加減、気のせいだとごまかすのも限界がある。
とうとう私はドアをそっと開け、その中を覗いた。
第一に目に入ったのは散らばっている中でも、ひとつ抜きんでて飛ばされていた定規だった。しかし、それには奇妙なことがあり、なんとも見事に直立しているのだ。盛大に落として散らかしてしまったとはいえ直立なんてするものだろうか?
「あ」
しばらく見ていると定規がついに倒れてしまった。するとどうだろうか、なんと倒れたはずの定規が再び立ち上がったのだ。
「はあ?」
それだけに留まらず、定規はその調子で回転するようにゆっくりと移動し始めた。どうやら、窓の方へ向かっているらしい。
散らばった他の文房具に目を移すが、鉛筆、消しゴム、マーカーペン。そのすべてが街灯に群がる虫のように窓の方へ集まって行く。まさか、本当に幽霊の仕業とか……?
乾ききりそうな勇気を振り絞り、逃げたくなる気持ちをなんとか抑える。
落ち着け、幽霊の仕業なわけがない。架空の存在であるものが現実に現れるはずがないのだ。だから、あれはおそらく泥棒だ。私の引き出しの中には貰い物の万年筆しかり、高級なものも入っている。それを泥棒がどこからか聞きつけて、なにかしらのトリックで盗み出そうとしていたのだ。
なにか手掛かりがあるはずだ。心臓が激しく耳の奥を撃つ中で耳を澄まし、目を澄ます。すると、なにか話し声が聞こえてきた。
……早く戻らなければ。
定規遅いっ。
しょうがないだろ!
速く引き出しに戻れっ。
目指していたのは窓ではなく、壊れた引き出しだったらしい。
なにやら揉めているようだが、どうやら複数犯で、声が聞こえるということは犯人は近くにいるのだ。もう少し様子を見よう。
しかし、しゃがむのは少し腰にくるな。
しゃがむ体制が辛くなってきて、体制を立て直そうとした私はバランスを崩し、ドアにぶつかった。そして、その勢いのまま書斎へ倒れ込んでしまった。
しまった。犯罪者どもにばれてしまった。もう少し様子を見ようと思ったのに……。こうなってしまった以上は仕方ない。相手は複数だが、せめて顔だけでも見てやる。
そう意気込んで腰が痛まないようにそっと立ち、急いで窓に行く。トリックを仕掛けるにはここからしかないのだ。
「なにをしている!」
窓をすべて確認したが、窓はすべて閉まっていた。他にも触ったりして軽く調べるが、それらしい跡は見つからなかった。
主様にばれた?
ばれたのか?
やった。
くそう。
後ろからさっきの声が聞こえる。
「後ろか!」
振り向くがやっぱり誰もいない。散らばった文房具があるだけだ。
しかし、それらは依然として聞こえてくる。
「……しょうがないか」
色々な声が聞こえる中で、その声はひときわ私の耳に響いた。
「主様、こちらを見てください」
主と言うのは私のことか。こちらって言ったって一体どこにいるんだ? 声は聞こえるんだが、いかんせん部屋中を見回しても姿が一向に見えない。
「足元です。足元」
足元を見ると、そこに万年筆が落ちていた。ちなみに例の退職祝いの万年筆だ。
「落ちてはいません。立っているのです」
どっちでもいいよ。
そんな突っ込みができるくらいには不思議と冷静だった。それはこの数日間恐い思いをしていたからなのか、それとも万年筆と話す男というシュールな絵面を想像したからなのか。もしかしたら、一周回って恐怖を感じ忘れたのかもしれない。
「君はなんだ?」
だからこんな質問ができた。万年筆から聞こえてくる声なんて少なくとも泥棒ではないなにかに違いなく、普段の私ならそんな未知の存在に質問なんてできるはずがない。いつでも未知とは恐怖の対象なのだ。
「万年筆です」
それはそうだろうな。だけど、そういうことを聞きたいわけじゃない。
「ふざけて言っているわけではありませんよ。私——私たちはあなた様の道具です」
「道具……」
「はい。ワタクシたちはあなた様に使われることこそが至高なのです」
使われてこその道具だと言う万年筆は、表情は読めなくともその声色から誇りがあることがうかがえる。
「毎晩騒がしくしていたのは君たちか?」
「はい」
「なんでそんなことをしているんだ?」
冷静であっても余裕があるわけではない。私は寝不足と恐怖を解消するために、ようやっと決心ができてここにいるのだ。ぶっちゃけてしまうとすぐに終わらせてしまいたい。
「いい迷惑なんだ」
「申し訳ございません。実は、戦争をしているのです」
「せ、戦争?」
予想だにしていない答えだった。
「戦争って本当に……」
自分の机の引き出しの中で、毎晩戦争が行われていたなんて誰が予想できるだろうか。
「いえ、戦争と言っても殺し合い、もとい壊し合いをしているわけではございません。ゲームのようなものです」
なんだ、と胸を撫で下ろす。私の近くで知らないうちに自分のものが殺されもとい壊されていたと思い、ゾッとしたが杞憂だったようだ。
じゃあ、なんで数日前からいきなりその戦争を始めたんだ? それまでは静かだったのだから戦争はしていなかったはずだろう。
「それが……」
いやに間を開けてきて、私はごくりと唾を呑み込んだ。
「暇だったのです」
「はあ?」
「ですから、暇だったのです」
一瞬、その言葉を疑った。もっとなにか重大なものがあると思ったのだ。
だから、その口(万年筆に口があるとは思えないが)から発せられた言葉を理解したとき、そんな理由で私は怖がっていたのかとちょっとした憤りを覚えた。
「ワタクシたちは道具ですから、動きません。動けません」
確かに道具は普通動かないものだが、この状況でそれは余りにも説得力がない。
「今回は特殊な例なのです」
「はあ」
「しかし、意思は常に持っています。万物は皆、意思を持っているものなのです」
なるほど。少し違うが付喪神の一種のようなものか。万物は意思があるとは面白い。
「あなた様はここ数年間、ワタクシたちをお使いになられましたか?」
ふとこの数年間を思い出してみるが、定年してからの間あまり文房具を使っていなかったかもしれない。せいぜいメモ書き程度だ。
「先ほども言いました通り、ワタクシたち道具は使われることこそが至高なのです」しかしと万年筆は続ける「何年間と使われないとやはり不満が溜まるものです」
そんなある日、彼らは突然動けるようになった。原因は分からないらしい。だから、自分たちを使って欲しいと私に伝えたくて戦争というゲームを始めて大暴れして、引き出しを揺さぶり私を呼び寄せようとしたそうだ。
「そんな行き当たりばったりな作戦よく上手くいったなあ」
「ええ。ワタクシもそう思います」
私に言いたいことは言った。となると彼らはこれからどうするのだろうか?
「それはワタクシたちにも分かりません」ですが、と「ワタクシ個人としてはもう動けなくなっても構いません」
伝えたいことは伝えましたから、と万年筆は言った。
「そんなことより、あなた様の体力の方が切れかけているのでは……?」
「え——」
考えてみればそれはそうだ。六十過ぎのこの身体に夜更かしは禁物に決まっている。
その例に漏れず、私は意識を手放した。
*
結論を言うと私は寝落ちしてしまっていたようだ。朝起きると書斎の床に倒れ込んでいて、その周りには私の文房具が散らばっていた。
なにか夢を見ていた気がするが、そんな気がするだけでなにも思い出せない。
「いててっ」
起き上がると、背骨や腰が大きい音を立てながら正常な位置に戻っていく。
身体を解し、なぜ寝落ちしてしまったかを考えるが、やっぱりなにも思い出せない。
すると私は衝動的になにかを書きたいと思い、散らばっている文房具を集めた。紙と鉛筆を持って取り合えず感じたことを書き綴る。
題名はそうだなあ、引き出しの中戦争、とかだろうか。
引き出しの中戦争 稲庭仁人 @ruiwatanabe2000
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